2017年6月『お嬢様は素直になれない』
あなたから『好き』って言いなさい!
・プロローグ
どうやら「シュベスタ」とやらを復活させたいとのこと。それは「女学園“時代”の伝統」らしい。ってことは今は共学なのかな? その伝統を復活させたいと言うけど久遠は「女子校が良い」って考えでもなさそう。公式サイトとか見てないので名前言われても顔は分からない。でも声はよくよく知ってる声がする。
・Episode 1 それぞれの出会い
顔見せの章。母親のCV的に絶対なんか技能仕込まれてると思ったら案の定そうだった。やっぱり声のイメージって大事なんですね。学生会長もそう。でも「偏重」は「へんじゅう」ではない。
・Episode 2 ダンスが上手く踊れない
夫婦漫才の章。シュベスタのPV撮るってのは分かるけど、いくら久遠がダンス苦手でもシュベスタとしてシュベスタ同士で撮らなきゃいけないだろ、そんなにシュベスタは軽いんか?
ここまでやって壬生なつきのルートではないらしい。えぇ……
・Episode 3 先輩に教えてもらいたい
タイトルからも分かるように神宮寺先輩の話。でも先輩が絶妙に可愛くない。まぁ壬生なつきは幼馴染みってアドバンテージ持ってたけど。だって先輩と仲良くする主人公見て嫉妬丸出しにしてる壬生なつきの方が可愛いよ。
・Episode 4 妹は心配したい
特に言うことはない。妹が来ましたよと言うだけ。この妹の好感度が最初から高いのは分かってた。義妹は甘え。
・Episode 5 ふたりきりは間がもたない
柊木恵梨香の章。お試しシュベスタってのは良いけどそう言うことされると将来的に振り辛くなるのでやめて欲しい。緋神久遠・壬生なつき・柊木恵梨香の三人と付き合うルートはないんでしょ? もしかしたら柊木恵梨香がメインヒロインなのかもしれない。でも「へんじゅう」だしなぁ。
・Episode 6 あらためてお礼がしたい
どうやらこのお嬢様を悲しませないといけないらしい。ここまでされて「久遠がいい」以外の選択肢選べるんですか? まぁストーリーのために選ぶんですけど。
この緋神久遠とかいう女、本当は自分だって言って欲しいに決まってるのに、最後に「ありがとう」って言えるの凄いよ。
久遠に対して「これからも久遠がいい/まだ決めてない」の選択肢で目に見えてフラグを折るわけで、昼間に姉の恋人のフリであれだけ不機嫌になってたのに、それでも「良い相手を見つけろよ(意訳)」って言った後に、主人公に負い目を感じさせないように「学園祭は一緒に盛り上げてもらうぞ」って言えるの、とてもとても良いよ。これがお嬢様と高潔さであり孤独さだよな。
・美紅先輩
何でこの人に惚れるんだろうね。でも、男子校出身者が、他の男とよろしくしてる様子がなくて、話しかけてきてくれて、間接キスとか言ってくる上に過剰にスキンシップしてくるわの女は自分に気があるのか? と考えることはおかしくはないよ。でもだったら久遠とか恵梨香の方が良くない? 特に久遠。あっちの方がスキンシップとしては過激じゃん。
「俺はもう誰ともシュベスタになる気は有りません」
この一言があったから許せるところもある。本人は言わないけれど、今は解消したとは言えやはり久遠以外をシュベスタとするってのは久遠に対する裏切りでしょう。てっきり都合良くルートごとに恋人を「シュベスタだ」ってやるのかと思っていたから。しかも先輩は「私もシュベスタになれるかな?」とか言ってたからね。良い意味で裏切られた。
まぁ久遠もなつきも野次馬根性嫉妬半々で主人公にからんでるし。
でも、妹の服を着せて(勝手に着た)行為に及ぶのはどうなんですか? 流石に六花がかわいそうすぎる。
まぁシュベスタになったわけじゃないから良いんだけど、ペンダントが空気になったのは残念ね。OP画面ではあれだけ存在感示してるのに。
・六花
主人公に気があることは分かってた。それは母親も気づいてる。
「あいつにシュベスタになりたいと伝えたら……」
この発言にはがっかりだよ。そりゃシュベスタの意味としては姉妹だから「家族として」のシュベスタではあるけれど、この学校内でシュベスタと言ったらそうじゃないでしょう。
でも六花の方は分かってて「兄妹かつガードの師弟でシュベスタですね」って修飾語をつけてシュベスタだと言ってる。
このルートでは珍しく主人公が嫉妬する。尚……
ガードであることがバレると言うことはないのでこのルートが一番平和なのかもしれない。
ただ、「お嬢様は素直になれない」なのかという疑問はある。一般的に女の子をさしての「お嬢様」というよりは「経済的に不自由していない」とか「世間知らず」というイメージを付随させるのが「お嬢様」でしょう。「世間知らず」だから求め方がおかしいとか、自分から求めるのではなく他人に求めさせるのではないかなと。六花の場合「素直になれない」よりは「素直になってはいけない」だし。
・恵梨香
この「好きなんだけど……」みたいな気持ちを自覚して、でもそれを尚秘めようとするのは好き。でも個人的には人が人(特に今回の場合異性)に向ける感情はだいたい恋愛感情だと思ってるし、嶺峰学園のシュベスタでは明らかにダンス部の二人が互いに好意抱いてることは主人公も把握してるはずなのに、なんで自分の番になって「シュベスタに恋愛感情を抱いていいのかな」って疑問がでるんだよ。
嵯峨野さんの下りは必要だったのかな? とは思う。基本的に二人が学生会/学園祭実行委員で働いてるせいで大してイチャつかないし。まぁ学生会室でやることやってるのは、それはそれで分かるけどなんというかなんと言うんですかね。
で、その仕事してる様子も書かれないからなんでベステシュベスタに選ばれたかっていう説得力がない。そりぁね、学園祭に向けて二人で働いてて、互いを信頼している様子が見れたんだろうなとは思うんだけど、だったらそれを書いてくれよ。
ラストはここだけライター変わったか? ってレベルで雰囲気とセリフと凄く良いんだけど、なんというかCGが絶妙に下手。ストレートネックじゃん。
・なつき
「────総一くんが、久遠をシュベスタに選ばなかった」
ちゃんと自分の身心の動きに気がつくの、良いですよね。
まぁ主人公も主人公でそのタイミングで「シュベスタになってくれないか?」は反則でしょう。断れないよ。
壬生なつきもガード、主人公もガードとして久遠の傍に侍るのは分かるんだけど、PVの件で久遠がなつきに主人公を貸しだしてるから久遠とシュベスタにならないのは分かるんだけど、でも二人とも久遠の側にいながらにして久遠のシュベスタではないってのはあまりにも久遠がかわいそうだよ。壬生なつきはかわいいけど。
戦闘シーンでOP流すのはアツい展開ではあるけれど、そんな燃えるようなOPではないし。でも冗長になりがちな戦闘シーンを秒で終わらせたのは正しい判断だよ。
まぁ予定調和的なベステシュベスタではあったけれど、2人は「シュベスタのプロモーション」として出るくらいだからね。
ちゃんと主人公が男を見せたのも良かった。あのシチュエーションとしてで日和るキャラクターも一定数いるし。
横顔キスCG二枚貰ってるのもアド。でもハートマークの痣をシーンで有効活用できていないと言うのが残念な点。もうちょっとこう、そこを見せるような体位とかさ。まぁ女の体の疵なんか見せるものではないのかも知れないけどね。
・久遠
「これからも久遠がいい」
天代雪那さんがヒロインムーブするせいで(おかげで)久遠が自分の気持ちに気づいていく訳だけど、ここまで嫉妬や対抗意識を顕わにする久遠を捨てる他ルートの酷さが顕わになるよ。
振られた女は美しい訳だが、なんというか雪那はちゃんと撤退するべきところで撤退するのでなんというか当て馬勘もなくていい。でもFDでは若葉よりも彼女にルートをあげて欲しかった。
で、事件を起こすのはいいんだけど、それを二人で見た映画になぞらえるのもいいんだけど、カタルシスがない。寧ろこの緋神久遠とかいう女をこれまで不幸にしてたんだし、他のヒロインと違って久遠はルートが「好き」から始まらない分イチャつく時間が短いんだからそれを事件で削らないで欲しい。第一なつきルートではそれ未然に防げてたじゃん? 主人公無能化しないで。確かにアレはなつきと行動してたから気づけてたっちゃ気づけてたんだけど。
舞踏祭用に仕立てたドレスもそれで踊っているCG欲しいし、一緒に仕立てた主人公はなんで制服着てるのさ。
・総評
シナリオの王道性的にも緋神久遠はメインヒロインにふさわしいけれど、ヒロイン力が高いのは壬生なつき。時点で柊木恵梨香。コンセプトとして「素直になれないお嬢様が、素直になると……」な筈なんだけど、そのギャップというのの描写が微妙。もっとこう「あぁなんで私は頭で思ってることと口にしてしまうことがこうも食い違ってしまうのか」みたいなのが欲しかった。
それこそ割とみんな素直で「素直になれない」ってのはなかったんだよな。別に致命的にダメとは言わないし、作品としては普通に面白かったんだけど、そこだけが気になるところ。