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元研究開発者の日々の情報:イギリスSARS-CoV2変異株、感染力1.7倍は本当か?(2020年12月28日速報号)

(1)「感染力70%強」本当? 英首相説明に疑義相次ぐ 英コロナ変異種(以下、2020年12月23日・28日、共同通信社配信より引用)

 英国内で感染が拡大している新型コロナウイルス変異種について、ジョンソン首相が従来のウイルスより「感染力が最大70%強い可能性がある」とした記者会見での説明に、専門家らが相次いで疑義を示している。50以上の国と地域が英国発の旅客便受け入れ停止などに踏み切る発端ともいえる発言で、科学的な根拠を求める声が強まりそうだ。

①インパクト

 「かなりの不確実性はある」。ジョンソン首相は19日の会見で、こう留保を加えた上で変異種の感染力の強さを説明した。だが「70%」という数字のインパクトは大きく、オランダ政府が20日から英国からの旅客便の乗り入れを禁止するなど、国内外に影響が広がった。英政府が20日公表した変異種に関するQ&Aには「70%」に関する記載はなかった。

 英国内ではその後、専門家から疑問の声が相次いだ。英メディアによると、ジョンソン氏に「感染力70%強」の分析結果を伝えた専門家チームの一員で、インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授は「70%は少ないデータに基づいている」と述べ、実際はもっと低いとの見方も示した。

 英保健当局の専門家はこの変異種のサンプルが9月に採取され、10月に特定されたと説明。オックスフォード大の疫学者カール・ヘネガン教授は「この短期間に(感染力の強さを)数値化できることはない」と語った。

②タイミング

 ジョンソン氏は会見で、それまで緩和するとしていたクリスマス期間中の行動制限を一転して強化すると表明。その際に持ち出したのが変異種の感染力だった。与党保守党のスウェイン下院議員は「(この変異種を)9月から調べているのに、なぜ今になって突然明らかにしたのか」と、公表のタイミングにも疑問を示した。

 懐疑論は国外にも広がった。フランス紙ルモンド電子版は21日、ジョンソン氏が語った変異種の感染力について、数値の根拠が明らかでなく科学界は慎重な見方をしていると報じた。

 また英南東部で感染者が増え、変異種が多く確認されたとしても、変異が感染の急速な拡大の原因とは言い切れないとして、さらに調べる必要があると指摘した。

(2)従来より56%強い感染力 ロンドン大研究

 英ロンドン大衛生熱帯医学大学院の研究者らが、英国で拡大している新型コロナウイルスの変異種が従来のウイルスよりも56%強い感染力があるとの研究論文を25日までに公表した。

 感染した場合に重症化するリスクが高まることを示す明確な証拠は見つかっていないが、英国での入院・死者数がより増える恐れがあると警告している。

 研究論文は、査読前のものとして23日付で公開。英政府の専門家チームは、この変異種が従来のウイルスより最大70%強い可能性があるとの初期分析結果を発表していたが、同チームのメンバーは、この数値が「少ないデータに基づいた」もので、実際はもっと低いとの見解を示していた。

 論文は、感染拡大抑制のためにはワクチン接種を大幅に加速させる必要があるとも指摘している。

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