1018,消失点
今日書けることはなんだろう、と思って1日を振り返ってみたが、書きたくなるようなことは浮かんでこなかった。小さいとき、寝る前に「きょうのおはなし」を母に頼んでいたことを思い出した。「きょうのおはなし」は、その日あったことを、母が昔話を聞かせるような調子で話してくれるというものだったと記憶している。自分も登場人物としてはなしの中に出てくるので、うれしかった。
一昨日、視点を記録した写真を見返してみて、それをトレースしたアニメーションをつくり始めた。住宅街をただ歩いている自分の視点を地道にトレースしていく作業である。街灯と家屋、木の影などを描いていくが、ぼくは一本の木に向かって歩いている。その木は行き止まり、というか、もう一本の垂直に交わる道とのあいだに植えられたもので、その先に道が続いているわけではない。途中で左折すると、また行き止まりに立つ木に向かって、歩いていく。そこに消失点はない。同じ木をいつまでも追うのだ。