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909,蓄光シャツ

 夕方の睡眠から目が覚めたのは、日没の10分前くらいだったと思う。ほとんど寝ぼけたまま、履歴書に使う証明写真を撮りにいかなくては、という意思が芽生えて、財布だけを持って家を出た。

 一度鍵を閉めてから、炊飯器をセットし忘れたことを思い出して戻った。さらにいま着ているのがみどりいろのTシャツであることに気づいて、白いシャツを上から羽織ってもう一度出直した。

 そのシャツはまるでぼんやりした光を放っているみたいだった。雨上がりの青く薄暗い通りを歩いているのはぼくだけで、理科室の人骨模型のようにぼうっと浮かび上がる光をまとっている。

 証明写真機も、ぽつんと光って見えた。車が来ていないことを確かめて道路を横切ると、カーテンを開けてその中に入った。照明がひとりでに点いて、ぼくの顔を画面に映し出す。レンズがこちらを見つめている。
 こんばんは。

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