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804,ドライヴ

 CDが取り込まれながら、日が傾いていった。エアコンはぬるめに設定してある。
 意識が朦朧とする僕の傍らを、一頭のイノシシが歩いていく。大きさは、飼っているいぬより一回り大きいくらいで、短い尻尾があった。茂みを鼻でかき分けながらひと通り歩き回ると、奥の山の方へ消えていった。
 ドライヴは取り込み終わったCDを吐き出したが、僕のレポートは完成していなかった。テキストが打ち込まれている途中であることを示すカーソルの点滅が、催眠術を自分の身体にかけているみたいに感じられた。
 昼が終わっても、台風の強い風が吹くだけで、レポートは進まなかった。灯涼みをしているみんなのことを考えると、気が重くなった。周りの時間はさらさらとした滑らかな触感だったが、自分の過ごしている時間は、なんとなくちくちくとした触感で、そこで今度は、CDを焼き上げることにした。


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