映画『パラサイト 半地下の家族』を観た
記念すべき初投稿がこれでいいのか。ザワの感想を書きなぐるために何度かnoteを登録しようとしたが、Twitterに吐き出すことで言いたいことを発散してきた。しかしTwitterではどうしてもまとまりがなく、後で見返すにもタグがつけてないと探しにくいので困っていた。
というわけで、今話題のパラサイトの感想と考察です。
パラサイトは字幕で数日前に観ました。新型コロナウイルスの影響か映画館はガラガラで特等席で観れた。そんなことはどうでもよく本題になかなか入れない。
まず、映画が始まってすぐのピアノ。中低音でどことなく不安にさせる。ピアノなんて一度も映画中に出てこないのに、どうしてピアノなのか。これは今でも分からない。分かったら追記します。曲名が思い出せないのだけど、有名な曲に似てる。
物語の最後の方のガーデンパーティで金持ちの友達が集まるけどそこで披露される音楽はチェロと声楽だ。ピアノじゃない。
一番書きたかったのは貧乏一家の母チュンスクについて。彼女は大柄でガサツでいかにもなおっかちゃんという感じで描かれている。昔、ハンマー投げの選手で何かしらの大会でメダルをとっている。過去の栄光だ。ギテク(父ちゃん)もこのメダルを大事にしていて、大雨の日、生活に必須のものでないのに家からわざわざ取り出している。金持ち一家夫婦は愛し合っているのか?しつこくキム運転手はパク社長に「奥さんを愛していますもんね?」と聞いているが、これに社長は誤魔化すばかりで本当はあまり興味がないのだろうな、と伺える。きっと社長にとって妻ヨンギョは昔はどうか知らないけど自分にとって成功した生活を象徴するアクセサリーのようなものなんだろう。乳繰り合うシーンはあるけど、あれで愛し合っているとは誰も思わないだろう。
話がそれた。キム家の母ちゃんチュンスクについて。ロシアの小説『チャイルド44』で陸上選手を目指していた青年が努力が報われず夢破れて鉄道職員になるという話がある。
それとは別にロシアのギャング(チンピラ?)はアディダスのトラックパンツをはいているという話も聞いたことがある。何が言いたいかと言うとスポーツ選手で成功するのは難しいってこと。成功してスターになれるのはほんのひと握りだし、どんなスターでも年齢には勝てないし、引退したあとのキャリアがうまくいかない。日本でも野球選手などで最近話題になってた気がする。どんなに優秀な選手でも優秀な指導者になれるかといったらそうじゃない。皆が皆バラエティに出てこれるわけでもない。引退後の生活が上手くいかず、過去の栄光にすがりたい分、普通の生活もおくれない。そういった背景から闇の道へ進む人もいるようだ。
チュンスクがどのくらいの選手だったかは明言されていないが、力持ちである描写があるし結構いい選手だったんじゃないかと思う。そんな人でも今は失業中で半地下で暮らすしかないのだ。短期間とはいえ家政婦をやるスキルもあるのにね。ギテクと結婚してから、半地下生活になったのか?ギテクが台湾カステラ屋で失敗してからこうなったのか分からないけど。
地下の男(家政婦の旦那)も台湾カステラ屋で失敗してたよね。あれ、そんなに韓国で流行ってたんか。日本で言う白いたい焼き屋みたいなもんか。次は何がそのポジションに来るのかね、タピオカ屋は意外と儲かるみたいから案外転ばないのかも。
パク家の奥様ヨンギョについて。ヨンギョは冒頭でシンプルな人でそれがいいとしきりに言われている。このシンプルという言葉が相当な皮肉だよね。simpleを単純と訳す人がいるけど、あれはニュアンスがかなり違っている。Simple is best.という言葉がように良いイメージで使われることが多い。洗練された、精査した結果のシンプルという意味合いが正しい。訳者もそれを分からせるためか字幕でsimpleは「単純」と言わずに「シンプル」と出ていた。良いイメージのあるsimpleという単語をヨンギョを馬鹿にするのに使うのは悪意がある。
なぜ殺されたのはギジョン(ジェシカ先生)だったのかについて。彼女は美術講師としてやってくる。誰も手がつれられなかったダソンを大人しくさせるし、ギウがパク家の面接に臨むための書類を偽造したのも彼女だ。これは結局役に立たなかったけど。ギウはパク家に最初にやってくるけど、パク家を騙すことに少々躊躇いがあるように見えたし、物語の最後の方でもダヘに「自分はここにふさわしいか?」と問うている。自分はここにいるべきでない、間違っていると時折、思い出せる人だ。でもギジョンはもっと堂々としている。パク家がキャンプへ行っている間に風呂には入るし、ガーデンパーティでもケーキの女神の役があたる。大雨で家が水浸しになってもトイレを蓋を押さえながらタバコをふかしている。若い運転手をかなり無理がある方法で嵌めたのもギジョンだ。一番堂々と悪事をはたらいているから一人、殺されたのかなと思った。