Ryuichi Sakamoto @Opus_movie 感想
ゆっくりと噛み締めるように一音一音を弾いていく姿。
音も映像もとても心地良く、自分の部屋のソファに居るかのようにリラックスする。
ウトウトしながら、観るというより聴いていた。
ただただ心地良い空間だった。
雑踏で溢れ返る街の中に、ぽつんと突然出来た、至福で贅沢なプライベート空間も終わりを迎えた。
パラパラと席を立つ音が聴こえてきた。
薄く照明が点くと、館内は悲しみでいっぱいになっている事に気づいた。
あぁ、あの人はピアノになっちゃったんだな、
と思った。
この映画は上質な家具のように永く愛されてゆくんだろう。家具としてのコンサート映画。
100年、200年経って、色褪せても輝きと普遍性、そして実用性を失わないアンティーク家具のように、コンサート映画の古典作品として扱われてゆくんだろう。
毎日世界のどこかで、誰かの手によって流されてゆくんだろう。
@Opus_movie