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ポスト生成AI時代にブロックチェーンでサービスを提供するということ

この記事は、2023年6月22日に公開した「T&T Vega」というバージョンのテクニカル・ホワイトペーパーの「おわりに」の部分を抜き出したものです。最初に作成した「日本語版」に加えて、「英語版」およびT&T自体の国際化対応が完了したことを受けて、note.comでも公開します。


T&T Technical Whitepaper - おわりにかえて

2022年に「T&T」の開発をしはじめたとき、私たちはあえてフルオンチェーンを指向せず、「ブロックチェーンが得意なこと」と「ウェブサーバーが得意なこと」をプロジェクトオーナーが自由に組み合わせられるようなサービスを構想しました。実際、すでにリリースされているプロジェクトでは、データやオブジェクトはブロックチェーンに記録し、柔軟で高速な処理はウェブで行う、という使い分けがされています。また、そこに人間の参加や貢献も加えてエコシステムの一部を形成しています。

これは、すべてがブロックチェーンで完結することをよしとする「フルオンチェーン」の考え方からすると「純度が低い」と言われるような状態なのですが、トークンをめぐってさまざまなアプリやコミュニティが連動する様は、現時点で技術的に現実的な選択肢であると同時に、ユーザーがトークンの所有を通じてプロジェクトの一部を所有できる度合いが高いという点で理想的な選択肢でもあると思っています。

ところが2023年、コンピューティングリソースの集約によって生まれる生成AIのインパクトに多くの人間が夢中になっている今、フルオンチェーンかどうかという議論は、比較的どうでもいい論点になりました。注目の的が、記録や記憶の外部化の技術から、思考や創造の外部化の技術にシフトしたためです。

ここからはまだ予想に過ぎませんが、生成AIが流行した結果として、人間が自らの手でつくったものをかえっておもしろがるような感性が一般化するでしょう。同じように、何かに参加し、何かに含まれる経験も尊ばれるようになると思います。19世紀のイギリスで手仕事を評価する「アーツ・アンド・クラフツ運動」が起こった原因が産業革命によるマスプロダクトの普及にあったように、AIが生成したコンテンツの普及が、ユーザーの間にあたらしい感覚や運動を生じさせるようになると思います。

そのような世の中を想像したときに、人間の参加がエコシステムの一部に組み込まれていたり、トークンの所有を通じてプロジェクトの一部を所有できる度合いが高いサービスというのは、「めんどくさいこと」ではなく「楽しいこと」であり、「非人間中心的」ではなく「人間中心的」であり、むしろ好ましいものに感じられるようになると思います。

ブロックチェーンが既存のサービスの一部に埋め込まれたり共存したりすることの是非が論点として古びつつ、ポスト生成AI時代において静かに定着していくとしたら、それはT&Tの構想が肯定されることを意味し、引いては、人間中心的な価値観の肯定を意味します。

あらためて、Tales & Tokens(T&T)は、NFTを使うことによって持続可能性・透明性・相互運用性の高いサービス(NFT as a Service)を構築するためのプラットフォームを目指して開発されています。ブロックチェーンの特性をいかしてシステムの維持にかかるコストを最小化・分散化させられるため、小さく始めて長く続けるプロジェクトに向いています。それができるのは、そのエコシステムに人間が含まれているためです。コミュニティの間で流通する物語と、その験(しるし)。それらテイルズとトークンズを支えるサービスがT&Tです。


さらに詳しく

T&Tをさらに詳しく知るためのリンクを紹介します。

プロダクトサイト
https://www.ttt.games/

T&T Technical Whitepaper
https://tales-and-tokens.gitbook.io/technical-whitepaper-vega/owarinikaete

Discordの「#雑談&質問」チャンネル
https://discord.gg/CDcYQrkADz

お問い合わせフォーム
https://forms.gle/HNgMvGqgZJ3LTWnP6


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