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死のロングウォーク リチャード・バックマン名義 スティーブン・キング作

映画好きな上に本好きな私が大好きな作家スティーブン・キングの正真正銘の『処女作』(大学1年生で書き上げた)であり、
後に映画化も多数されている『リチャード・バックマン』名義で発表された長編小説です。
他の作品だと「ハイスクールパニック」「痩せゆく男」「バトルランナー」なんかがあります。(他にもあるよ)キング名義よりハードな作風が多いかな?

さて、なんでキングが別名義で小説を書いていたか。話は簡単「多作過ぎるので出版業界から怒られるから」(大体一人の作家は年に一作発表するのが通例だったらしい)
まあ後に熱烈なファンに特定されちゃって『バックマン文庫』として改めて発表してるんですが。

よくキングの原作は映像化には向かない、と言われます。まあ全部が全部とは言いませんよ、
『クージョ』や『キャリー』『シャイニング』『ミスト』『クリスティーン』『刑務所のリタ・ヘイワース(ショーシャンクの空に)』『スタンド・バイ・ミー』などなど私も好きな映像作品はいっぱいある。
なんなら一般的に大駄作と言われる『悪魔のデビルトラック(キング自身が監督した頭痛が痛いみたいなアホな邦題にされた)』も大好きだ!
でもそんな私でも「大好きだけどコレは映像化には向かないな」と思った作品の一つなんです。
が、
どうやら立ち上がってはポシャり続けた映像化が遂にキャスティングまでこぎ着けて、早ければ来年には映像化される「らしい」(またポシャるかもね)
現在日本では絶版本になっていて、電子書籍化もされていないんですが、映像化にあたって再販されるんじゃあ無いかなと思ってます。
ちなみに私は親がキングマニアな為、小学生の時に読みました。(多分まだ蔵書を探せばある).....読ませていいのか?>My parents

*あらすじ*
近未来のアメリカ。かの国は『少佐』と言われる男の独裁国家となっている。そんなアメリカ最大のイベントが年に一回開催される【ロングウォーク】と言われる勝ち残りゲーム。
参加資格対象者(ウォーカー)は
・12〜18歳の少年からの選抜(ほぼ全米の少年が応募するが、その中から100人まで篩に掛けられる)
・ウォーカー100人以外にも補欠が100人選抜されているが、自分がウォーカーなのか補欠なのかは大会前日まで不明
・選抜者は棄権の権利がある(一定期限前まで)但し棄権は全米に知らされるので(大イベントなので)以後の人生を考えると棄権者は少ない
ルールは
・速さを競うのではなく、最後の一人になるまで時速4マイル(約6.4km)をキープして決められた道を『歩き続ける』だけ
・4マイルをキープ出来ない場合、3回の警告を受ける。4回目の警告で脱落。但し警告を3回まで受けても、
その後1時間警告を受けずに居られれば1警告がリセットされる(3時間警告されなければ警告は0に、勿論3警告を持ったまま歩き続ける事も自由)
・食事は毎朝1回、栄養食を支給される。水は何回でも『自分で申告すれば』受けることが出来る。(他人からの申告は却下)
・排尿、排泄は自己判断でルール内で行う。
・体調、ペース配分は自己責任。如何なる場合でも例外は無し
優勝者の受けられる賞品
・制限のない物、金品、特権、この世の有りとあらゆるモノを手に入れられる

一見凄い事に思えるのだけど、『最後の1人になるまで=99人が脱落するまで』うん、意味は分かるね、ゴールは無いのよ。99人が死ぬまで。

主人公はレイ・ギャラティという16歳のメイン州出身の少年。ロングウォークの下馬評(当然大イベントだもの賭けの対象になりますわな)でも有力候補とされている大柄な少年
故郷の母と恋人のジャン(女の子デス)に再び会う為に歩き続ける事になる。けど、出場の動機は自分でも良く分かってない。
彼の父親は声高に『少佐』を批判して居た為、ギャラティが5歳(だっけか?)の時に当局に連行されて以降消息不明。当然主人公なんだから結果的に勝者になるのは決定なんよ。

だけど、そこを踏まえた上で、ただテクテク歩くだけのお話を一気に読んでしまえるのか。
ウォーカー達がめちゃくちゃキャラが立ってるのよ!!!

死というものをばく然と捉えている未熟な大人になりきれてない『少年達』が、時に冗談を言い合い、励まし合い、生まれて初めて「殺したい程憎む相手」に出会ったり、
すれ違ったり反目してしまったり、救ったり救われたりしながら淡々と歩く。最後の一人になるまで延々と。
みんな当然最後に残るのは自分だって思うのよ。そのまだ未熟な無敵感が読み進めると堪らなく愛しく哀しいのよ!!!
(ちなみに私が読んだのは本当に小学生でしたYO!!!)

これが果たして映像作品足り得るのか?
あくまでもキングの表現力で既に読者が思い描くものを越えられるのか?

ぶっちゃけ、頓挫して欲しいと思っている俺ガイル。
でも再販はして欲しいので悩ましい。今現在読めるのは古本しかないので、見つけたら買って!!!絶対後悔はさせないから!!!

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