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【第5回】アウトライナーとしてWordを選ぶ

前回はこちら▼

第4回でさらっと

まず「アメリカン」関連の記事をぜんぶブログから抜き出してWordに貼り付けてもらう。

と書きましたが、そもそも今回なぜアウトライナーとしてWordを選んだのかについて。

いろいろと言われることが多いWordですが、実はかなり本格的なアウトライナーの機能を持っています。アウトライナーとしてはWorkFlowyかDynalistが定番ですが、やままさんはWordのアウトラインモードを使うのがいちばん合っているかもしれない。そう考えたのは、やままさんがもともとMS Officeの操作体系にも慣れているという理由だけではありません。

Wordをアウトライナーとして使う

Wordのアウトラインモードは、そのままでは自由なアウトライン・プロセッシングには向かない面があります。それは主に「アウトラインの項目=文章の見出し」と捉えていることによるのですが、ここで詳しくは解説しません。

ただ、Wordは特性を理解して使えば、文章を書くための強力なアウトライナーになります。汎用的なアウトライナーというより、文章を書く(特に長い文章を書く)ためのアウトライナーとしてWordは優れているのです。

その理由は、モード切り替えによって「文書の形」と「アウトラインの形」を行き来できるからです。これはつまり「読み手の目線」と「書き手の目線」を行き来できるということなのです。

Wordのデフォルトの表示モードは「印刷レイアウトモード」です。これは紙に印刷した状態を画面上で再現する、いわゆるWYSIWYG(What You See Is What You Get)を実現するモードです。Wordは本来ワードプロセッサ(ワープロ)であり、もともとの目的はフォーマットされた文書(ドキュメント)を紙に出力することであることを考えればうなずけます。

その意味でWordは紙の時代の産物なのですが、この紙への出力を再現するモードとアウトラインモードを組み合わせることで、今でも長い文章を書くときに威力を発揮するのです。書き手のために最適な表示(アウトライン)と、読み手のために最適な表示(印刷レイアウト)を行き来できることに意味があるのです。それは、完成形が電子的な形態の文章であっても有効です。

書いている文章をアウトラインとしても見られるし、完成形でも見られるということは、アウトラインを操作した結果を読者の目線で読みながら確認できるということです。あるいは読者の目線で入れた修正がアウトラインに反映されるということでもあります。これができる環境は、実はあまりないのです。

私自身も、メインのアウトライナーはDynalistなのですが、本(というか構成のある長文)を書く必要があるときはWordを使います。特にドラフトができてから完成までは、アウトラインと完成形を行き来できるWordの機能が欠かせません。

今回の「アメリカン本」の場合は、素材となる記事がブログ記事として存在するので、すでに「ドラフトがだいたいできて」いる状態と言えます。つまり、執筆のプロセスとしてはすでに後半なのです。その意味でもWordが適していると思ったわけです。

ということで、今回の作業に使うアウトライナーはWordを使うことにしました。やままさんはWordのアウトラインモードの操作に戸惑ったようです(アウトライナーとしては主にDynalistを使っていた)。

ということで、やままさんに最小限のWordのアウトライン操作を説明します。ほとんどのアウトライナーで、「tabでインデント、shift+tabでアウトデント」という操作は共通です。Wordも例外ではありません。その他の基本的なアウトライン操作は、だいたいこんな感じです……と書くと長いので別ページにまとめました。

やままさんはWord自体の(通常のワープロとしての)操作には慣れているので、最低限のアウトライン操作さえ覚えれば、すぐにアウトライナーとして使えるはずです。

Dynalistの役割

「アメリカン本」を書くためのアウトライナーとしてWordを選んだと言いましたが、共同作業の中ではもうひとつのアウトライナーとしてDynalistも活躍しました。Dynalistの役割は主にやままさんとTak.との間の掲示板です。

Dynalistはファイル単位での共同編集が可能なので、専用の共有ファイルを作り、その上でやり取りします。たとえば上のWordのアウトライン操作の説明みたいな文字ベースのやり取りは、主にDynalist上で行われたわけです。

やままさんが個人的に考える作業(章立ての検討や一部の本文)も一部Dynalist上で行われました。その様子も次回以降に出てくる、はずです。

(つづく)

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最終的にできあがった本はこちら▼


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