【週末雑記#46】ちょっと思い出しただけ
今年見た映画に、そんなタイトルの映画があったが、今週は、やけに「ちょっと」思い出すことが多い週末だった。
金曜日はDIRENGREYの25周年ライブに参加。20代の貴重な3年間を捧げた街「尼崎」で見ることになるとは何ともご縁があり、嬉しい限り。営業の面白さも難しさも、楽しさも、初めて学んだ街だった。
DIRとは高校生からの付き合いになる。学校帰りに友人と学ランでライブハウスに見に行った日から、随分と日が経ったものだ。DIRの進化を通じて、自分自身を振り返ることになる。新旧織り交ぜた25周年のセットリストは凄まじかった。
今の体制、クオリティで当時の曲を聴くと、聞きなじんだ楽曲たちが、全く違った曲に感じる。ここまで追いかけ続けてよかったと心底感じつつ、見ている心境は、高校生の頃、ライブハウスの後ろから見ていた時とあまり変わらない。もう彼らのライブを50回近く見ているはずなのに、全く飽きない。毎回楽しませてくれて、毎回新たな感動を届けてくれる。そうでないバンドとの違いは、いったい何なのだろうか?
土曜日は、かつて、仕事で病みすぎて吉田山を散策していた時に見つけた、いつか、立ち寄りたかったカフェにようやく足を運んだ。近くに引っ越してきたので、いつでも行けるなと高を括っていたところ8月に閉店してしまい、悔やんでいたところの期間限定オープンということで、本当に有難い。
あの時、仕事で病んだ期間があったからこそ、今があると思うと、仕事のストレスなんて大したことないし、むしろあって良かったな、とすら思うものである。あの時、吉田山を散策しなければ、多分訪れることはなかったわけで、きっと引っ越してきてから知ったとしても、こんな感慨深い訪問にならなかったわけだ。年を取ると、こうした出来事が次第に増えていくのだろう。そう考えると、人生は面白い。
そして、その夜は、まるで芸術作品のようなお好み焼きを食べた。
招待してくれたのは、数年前に支援したお客様であり、仲良くしてくださっている同志でもあり、奥様は職場が一緒と、とても不思議な関係性だが、居心地よく飲めて最高だった。ついつい話しすぎてしまった。
考えてみれば、もう転職してから4年も経つ。初心を忘れ欠ける(少なくとも前職では4年経ったら大分忘れていた。)タイミングでもあり、自信を取り戻すにも良い時間だった。きっと当時、良い仕事ができたから、この時間が訪れたのだろう。そういう意味では、仕事って捨てたもんじゃない。
そして、日曜日は新海誠の最新作に足を運んだ。
感想は言うまでもなく。毎回、驚かされる映像美とストーリーだが、これまでに見てきた新海作品とは比較にならない良い映画だった。311は、自身の価値観にも相応に影響を与えた出来事だったが、忘れていたことを思い出させてくれた。震災前と後、それはコロナ前と後、と言うように、人々の価値観に大きな影響を与える出来事だったと思う。今の子供たちは、それを知らない。伝える義務があり、そんな背景もあって生まれたことを考えると、今見るべき映画の一つであることは間違いないのだろう。愛だの恋だの言わない「日常」の中に、すずめの「非日常」が良い感じで混ざり合い、ところどころホロっと来てしまった。最後の「おかえり」がまた、ジーンときたな・・・
「君の名は。」ブーム真っ只中の2016年、博物館の前で秒速5センチメートルを見たことをふと思い出した。確か、傷心中の友人と見に行った記憶があるが、当時、傷薬ぐらいにはなったんじゃないだろうか。良い上映会だった。
確かに、今回の映画は繋がっていた。それは新海監督本人も言っていた。自分の人生も、年齢も、仕事も、立場も、住んでる場所も変わってしまったけど、年々続いて今がある。今のアクションを変えなければ、未来は変わらない。そして、自分が望むように人生は進んでいく。当たり前なんだけど、それでも、どうやってもコントロールできない出来事も起きたりする。それも織り込んでいかないといけないのだ。
ちょっと思い出して、いろいろ前に進むべき理由を見つけることができた週末だった。