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年の瀬に、まとめて映画を書く

 ビボーロクです。今月初頭に永井豪という神様に会ってから、ろくに書いておりませんでした。振り返ればあれから何本か映画を観たまま、放置しておりましたので、SNSの呟きを再録しながら手抜き感想文を。

『空の大怪獣ラドン・4kデジタルリマスター版』

12・16 TOHOシネマズ泉北

『空の大怪獣ラドン、ただいま開場でーす』というアナウンスが流れる令和の師走。『空の大怪獣ラドン4kデジタルリマスター版』は66年前の映画と分かっているけど、さっき現像所から持ってきたような鮮やかさ。山の緑に空の青、そしてヘルメットの黄色。
 
 何度も見た映画だけど、先日シネ・ヌーヴォで井上泰幸さんのイベントでお話を聞いた後では、その深みがまた違う。クライマックスの福岡襲撃シーン、暴れるラドンの背後を旋回する戦闘機を初めて意識した。昔の映画特有のノイズ音がないのも4K効果?
 
 ラドンってお話の構成がゴジラの海底に対して、地底の脅威なんですな。メガヌロン初登場が、ザバザバという水の音というのも怖いし、そのあと、お茶の間に乗っと出てくるのもやっぱり怖い、ボタ山のぎこちない動きが不気味ですよ。メガヌロンにラドン夫婦とラドン雛、怪獣が多くて贅沢ですよ。見終わって劇場を出ると、とある夫婦が『ミニチュアが大きく見えたねぇ』と話してました。画像がクリアになっても合成の粗が見えない、すごい丁寧だなぁ。

 

『ブラック・アダム』

 12・18 TOHOシネマ鳳

 仮面ライダーBlackSun、ブラックパンサー・ワカンダフォーエバーに続く、2022ブラック三部作のトリを務める『ブラックアダム』を見てきましたよ。古代の暴れん坊がいいも悪いも関係なく、ひたすら暴れる! 某戸締りアニメへの対抗心なのか、ドアという概念がない、黒いロボコンのような奴でしたよ

 ブラックアダムは話せばわかるけど、話を聞かない、昭和ゴジラみたいなやつでした。冒頭からアダムがひたすら暴れる、『君ら誰?』なヒーローチームが迎え撃つ、さらにはとんでもない奴がいる、ひたすらバトル、そうそうこれこれ、アメコミ映画はこれぐらいでいいんですよ。強い、かっこいい、おもろい。

 黒いロボコン、あるいは黒いハクション大魔王なんです、ブラックアダムは。とにかくぶち壊し、ぶっ飛ばす。ドウェイン・ジョンソンの説得力がありすぎるごっつい体。肩の上にもう一つ小さい肩が乗っかって首に繋がってるんですよ。色黒のレッドキングか。地獄送り、ブラック参上! もダサカッコいい。

『ブラックアダム』はシャザムと関連あるとか、あれが最後に……とか、JSAのこととか、まあ色々ありますが、個人的には『続夕陽のガンマン』ネタですよ。今年はこれと『がんばれスーパーペット』と、DC映画が痛快でした。あと暗くて長い蝙蝠もいたか。マーベルがイオンモールならDCは商店街という印象。でも、そのDC商店街も聞くところによればシャッター商店街になっていきそうな予感。少々整合性なくても、あれこれ続けてほしいものです。本当なら。シャザムの続編にはブラックアダムが出てもおかしくないんですけどね。『地獄送り、ブラック参上!』は今年の流行語大賞でしょうね。


『サポート・ザ・ガールズ』

 12・21 シネ・ヌーヴォ


 シネ・ヌーヴォで『サポート・ザ・ガールズ』。普段見ないタイプの映画である。ハイウェイ沿いのスポーツバーに働くウェイトレスと彼女たちをまとめるマネージャーの一日の様子を描く。のですが、これが上手くいかない。人種、性別、良かれと思ってやったことが裏目に出るのはなんでやねん? な映画。

 CGバシバシ使ったり、ヒーローが活躍することのない映画、たまにはそんなものも見るのだ。本当は予告でこんな格好のおねえちゃん軍団が出るからでしょ。でもセクハラはご法度。かわいいとセクシイとエロいがきっちりと分断される時代なのだ。そして彼女たちはタフだった。とりあえず吼えよう。うぎゃー!

 『サポート・ザ・ガールズ』見て思ったけど、セクシーはいいけどセクハラはだめ、ボインはいいけど、乳首見せるのはだめ、という、なんというか、それが正しいのでしょうけど、どこか息苦しくはないか現代? という気持ちになったでござるよ。声高にエロくあれ、とも言いづらい渡世でござるな、梅安殿。

『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』

 12・21 シネ・ヌーヴォ

 令和に蘇る活弁映画、そして京都発のファンタジックなお話。宇宙の守護者ゴードンが風邪を引いたためにバラバラになったピザを探すため、宇宙を旅するジャムとその仲間、という壮大なスケールですが、実際はクラシックで手作り感あふれる宇宙旅行。

 ピザを軸に月世界旅行だったりオズの魔法使いだったり、2001年宇宙の旅だったり。活弁映画ということもあり、手作り感あふれる世界もまた味わいが出ている。タバスコがキーアイテムになっている所で、勝手にアントニオ猪木を思い出す。元気があれば何でもできる。

 他人の夢の中を浮遊するような不思議な感覚。京都発宇宙映画ということで、知ってる人の名前がエンディングにちらほら。こりゃ生の活弁で見たら面白さ倍増だったな。あの間寛平氏に動きと台詞を封じると普通のおじいさんになってしまうのか! という発見がありました。宣伝とパンフ編集は吉田元館長でした。

『ケイコ目を澄まして』


 12・28 MOVIX堺
 大作映画に押されたのか、近所の映画館だとAM8:40らの上映だったよ! 師走の朝イチ、それでも映画館にはそれなりの人数がいた。派手さはない、でもなんだか静かな映画を観たいときもあるのさ。『ケイコ、目を澄ませて』はそんな映画でしたよ。聾啞者のボクサー、ケイコさんの淡々とした日々を綴る。

 冒頭、ケイコがジムのロッカーで上着を脱ぐ。姿見に移る背中が全てを物語ってる。これは演者、この物語の主人公もかなり仕上がってることがわかる。鏡はこの映画で効果的に何度も使われてる。音のない世界に生きるケイコさんには、拳をかわすボクシングはシンプルな対話方法だ。でもセコンドもゴングも聞こえない、孤独な世界でもある。それでも彼女はひたむきに仕事とボクシングを続ける。ロッキーのような劇的な展開はない。でも、ふつふつと熱い。コロナの『コ』の字も出ない世界、マスクをした日常はケイコには不便かもだけど、雑音が聞こえない。シンプルに日常を走る。

 ケイコを演じる岸井ゆきのさんは目つきがいい。タイトル通り『目を澄ませて』いる。小さな体をさらに縮めて軽快にフットワークを踏む。かなりトレーニングを積んできたな。パンフレットはノート型だけど、これがまた映画には重要なキーアイテムとなる。色々あったけど、ケイコは今日もロードに出る。まさに『明日は、どっちだ』なエンディング、でした。

 2022年うろ覚え総括






 今年の映画。ベスト10とか付けないですが『シャドウ・イン・クラウド』『それがいる森』『NOPE』『貞子DX』と、怪獣、バケモノ映画が豊作でした。『大怪獣のあとしまつ』も野心的だったと思う。『シン・ウルトラマン』だけじゃなかったよ。もちろん超大怪獣……もあったし。アメコミはブラックアダム。バケモノが出ない映画だと『サポートザガールズ』『やまぶき』、今日見た『ケイコ目を澄ませて』が印象的。リバイバルは『夜叉ヶ池』『ラドン』4k。今年は戦前の時代劇や『I AM JAM』はじめ新旧の無声映画にも触れることができました。怪獣を軸に、興味を持った映画を観たらどれもよかった、そんな年。

 


映画以外では、動くタローマンとデビルマンVSマジンガーZ展がベスト。永井豪先生、島本和彦先生のトークが見れたのですよ。今年の運をすべて使った? 運は使えば使うほど増えてくる。とんでもないことだらけの位置ねん、結構楽しんでたじゃないのさ。明日はババジラジオでイベント納め。


 終

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