宇宙を越えろ、ママの愛
今年『スパイダーマンNWH』その活躍を見て、また出るのか? と思ったけど、この人、他の作品に顔出しすることが多いけど実はまだ主演作品が一本しかなくて、今回やっと続編が作られるのだな、と。あいや、ドクターストレンジさんのことです。
魔法使いのヒーローということで、MCU(マーベルシネマティックユニバース)によく顔を出してるけど、自分のホームに戻ってくるのは実に久しぶり。なんというか、顔はよくテレビで見るけど、冠番組が異様に少ないお笑い芸人さんのような。違うか。
満を持しての続編『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』は『スパイダーマンNWH』でも扱われた多次元宇宙、マルチバースを取り込んだ作品。今いる世界に似てるけどちょっと違う世界が無限に存在する……その世界へ移動するカギを持った少女アメリカチャベスを助け、彼女を狙うスカーレットウィッチの魔手から逃れるためにストレンジ先生が活躍するのです。
たぶんここから内容について触れます。
と、その前に。スカーレットウィッチことワンダってもともとアベンジャーズで、ストレンジ先生の仲間じゃないの? と思ったけど、たぶんこの間に作られた配信番組『ワンダビジョン』で
たぶん色々あった
と思われます。彼女の目的は子供たちを暮らす世界を作ること。でもワンダさん、あなた子供なんて元々いないじゃないの? とか言うと部ちぎれて魔法で攻撃されるからたまったものではありません。そんなママ・ワンダの欲望のために世界が、宇宙が大変な目にあうのです。母の愛は強し、ですがあなた元々子供いないじゃないの?
今回は監督がサム・ライミということで大期待しておりました。16ミリで作った『死霊のはらわた』からついにディズニーで映画を作る人になるとは。マーベルもディズニーも思いのまま、オタク監督には夢のような環境で、さあどうする? クライマックス、別宇宙の自分の死体の体を使い、悪霊どもを身にまとって戦いに挑むストレンジ先生のマーベルゾンビな姿は確かに死霊のはらわたっぽかったけど、てっきり『死霊のはらわた』の主人公アッシュが加勢してくれるかと思ったので、ちょっと期待外れ。せっかくブルース・キャンベルが出てるのに。いや、こっちの期待が大きすぎたのですが、それでもこのナンセンスな戦い方はライミっぽいし、ホラーな演出も実に上手だったと思います。
そして別宇宙のアベンジャーズに相当するヒーローチームの『君ら誰?』な顔触れ。いや、ファンタスティックフォーもいるしプロフェッサーXもいるので豪華な感じはするけど、この外し方もおもろい。ウルトラマン映画にミラーマンとかチビラ君が加勢に来るような感じか。この辺も配信番組やアメコミを知らないと難しいそうだけど、予備知識なしでも楽しいし、プロフェッサーX登場時にアニメ版の曲を流すのはさすがわかってらっしゃると思いました。本当だったら、本筋もこれぐらい砕けた調子でしゃれっ気たっぷりでもいいんですけどね。
この映画のようにディズニー傘下になってからMCUも実に多種多様になってきて、そのすべてをフォローするのも大変になってきたな。ひょっとしたらこれ『悔しかったらディズニー+に入ってね』という壮大な宣伝映画でもあったのかな、いやそんな野暮は置いといても、十分楽しかったです。スト先生も多次元宇宙を旅して新たな力が身についたみたいだし、これからもっと活躍してくれるのかな、と思います。そしてまたディズニー+を観ないとわからない出来事が増えるのかな、とも思いました。