ぐるぐる京都映画巡り
日曜日。早起きしたら、ものすごく天気が良かった。それだけの理由で、国道2号線を京都へ。
みなみ会館で『声優夫婦の甘くない生活』を。映画館の出てくる映画、映画の映画には弱いのです。
1990年。崩壊をきっかけに在ソ連のユダヤ人が大勢イスラエルへ移住した。ソ連で外国映画の吹き替えを専門にしてきた置いた声優夫婦もイスラエルへ。しかし、新天地には声優の仕事はなかった。妻はその変幻自在の声を生かしてテレホンセックスのオペレーターへ。夫は海賊版ビデオの吹き替えへ。今まで他人の声を演じてきた二人が、いざ自分を出す際には何も引き出しがなかった、誰かを偽らないと働けないという皮肉がきいている。サダムフセインがイスラエルへの化学兵器攻撃を示唆し、市民はガスマスク持参で生活しているのが、ちょっと現状にかぶって見える。夫はやがて妻に仕事の真相を知ってしまい、別居生活へ。妻は毎日電話をかけてくる常連客に誘われ、外でて会うことになるのだが。イスラエル映画というのも初めてなら、イスラエルの移民事情を知るのも初めて。でも映画はそんな情勢を背景に、正解中のどこにでもありそうな夫婦の姿を描く。クライマックス、フェリーニの『ボイスオブムーン』上映中に鳴り響く非常サイレン。夫は以前、自分が声を入れた警告音声を劇場で聞くことになる。映画館内で迎えるクライマックス、劇中と見ているこちらの観客席が向かい合うという美しい奇跡。どこかとぼけた、大笑いよりもフフっとなるような笑いどころの多い映画。これを日本の声優でやるとなったら誰がするんだろうか、と見ていて思った。
続いて、イオンシネマ桂川へ。京都ではここでしかやってないから見ておこう、と『レイダース失われた聖櫃』4DXを見る。いや、体感する。せっかく4kデジタル化するなら、普通に上映してほしかったけど、映画が始まってからゆっくりと座席が動き出すと、その考えはどこかに消し飛んだ。もともと遊園地のアトラクションのような、アクション満載の映画である、仕掛け満載の4DXとは非常に相性がいいのだ。考古学者インディ・ジョーンズとナチスドイツがモーゼの十戒の石板を収めた聖櫃を巡って争奪戦を繰り広げる、というもう40年前の作品だからこの手のアクションのお手本のようになっている作品。実際そのあざとくもわかりやいスピルバーグの演出はアクション映画の教科書のようでもある。しかもカット割りと編集が実に巧みであり、単純にまねできないものになっているのはさすが、としか言えない。冒頭のシークエンスでインディの人となりを台詞少なく映像で見せて観客に説明するのはさすがである。
そして4DXは、とにかく座席が揺れる、血飛沫の代わりに水飛沫、カーチェイスはひたすら揺れる、銃弾や吹き矢が飛ぶと顔の横を風がかすめ、クライマックスの聖櫃大解放からの未知のパワーでナチス全滅のくだりでは光と風が場内を包む、と映画の内容とともに息もつかせない仕掛けだらけだった。ジェットコースター映画、と謳われた『魔宮の伝説』が4DXになるとさらにすさまじいものになるのではないか、と思った。
でも、エジプトから出土した遺跡をナチスが奪うんだけど、結局アメリカが横取りした、というふうにも見えますな。
そして再びみなみ会館へ。
先週見たというのに『グレートマジンガ―対ゲッターロボ』『グレートマジンガ―対ゲッターロボG空中大激突』のおかわりを。世間ではシン・エヴァンゲリオンのリピーターが続出している中、まずはこれである。ビジュアルもさることながら、音楽の力が大きい。オープニングで主題歌が流れるだけでもう、テンションが最高潮になってしまう。幼少時、何度もソノシートやレコードで聞いてきた菊池俊輔に渡辺宙明の楽曲はもう体に刷り込まれているのだ。『俺はグレートマジンガー』の歌いだしの『ダダンッ』や『ゲッターロボ!』のイントロの高らかに鳴り響くトランペットを聞くだけで、もうだめなのだ。こんな体験を今度いつできるかわからない、だからもう一度体験しておきたかった。30分弱の尺の中に詰め込まれた、大忙しのスーパーロボット対宇宙怪獣の激突。ムサシの死、ゲッターGにグレートブースター登場と『空中大激突』はかなり大忙しの内容。ムサシが死んでもメソメソできない、急いで敵を討ちにいかないと。何度も見て、分かってるのに、主題歌に乗って戦闘シーンが始まると、もうそれだけで満足、お腹いっぱいなのです。
久々に映画をハシゴしたので、その日はぐったりと、泥のように眠りました。そして今日からまた頑張れる。いや、まだ疲れてる。そして昨日の余韻に浸って働こう。
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