変身、そして変心
だんだん、書き起こすのが面倒になりTwitter(X)の呟きをコピー&ペーストしておりますこのnote。でもここに残さないとどんどん忘れていきそうになる、まさに備忘録。7月下旬から今月頭にかけてみたもの等々、しかし映画ばっかり見てるわ。
7・28 ひらかたパーク『THE 仮面ライダー展』
1号からギーツまで、圧倒的な展示の数々! エントランスで待ち受ける1号軍団! 展示も凝っていて、おしゃれ。図録では伝わらない何かがあるのですよ、これは。あぁ昭和ライダーと怪人、異形ライダーが好きなんですな自分は、と分かった暑い夏の日
THE仮面ライダー展は物販も豊富。図録と……このソフビ、うちにあるやつより小さいぞ! 猛暑で小さく見えてるのか? いや本当に小さい、現行ソフビサイズのシン仮面ライダー。ストア限定商品らしい。そして入場特典のフォトフレームはちょうど世代がジャストなライダーたち。
8・1 なんばパークスシネマ『裸足になって』
この世にはとてもいい映画なのに1、2館でしか上映していない映画がある。人、それをパークス映画という! と書くと、大々的ロードショーな映画はよくない映画なのか、といわれるとそうでもないのよ。大阪ではなんばパークス他一館でしか上映していない『裸足になって』を見た。サービスデ―なので。
事故でダンサー生命を絶たれ、ショックで声も失った女性が、リハビリ施設に通ううち、聾唖の女性たちにダンスを教え、自らも新たな人生の道を見つける、というお話。先週から、あまり戦わない映画ばかり見てるな。一度どん底に落ちた主人公が這い上がる、ベタだけどさりげなく。主演のリナ・クードリは本物のダンサーかと思ったし、聾唖で自閉症、重複障害の方々も本物かと思うぐらいにナチュラル。ダンスも手話もマスターしたのか、と驚く。ドキュメントっぽい撮り方が生々しい。そして普段は小柄なリナが、一度踊るや、大きく見えるぐらいに躍動感があるのです。
ずっとフランスの映画化と思ってたら、北アフリカ・アルジェリアのお話だった。そして単なるヒロインの成長譚ではない。背後にある歴史、紛争の傷跡がお話にもキャラにも深く関わってくる。見終わって、パンフ読んで地図を見て納得。ダンスと手話という二つの肉体言語で彼女たちは悲しみや怒りを表現するのだ。それは自分とその周辺、そしてこの国そのものへ、かもしれない。その思いがスパークしたラストは圧巻。そして初めて羊同士がバトルする闘羊というものを見た。これはいい映画なので、もっと他でも上映してほしい。ちなみにパンフにはあのジャミラについても書かれてますよ。
8・3 MOVIX堺『ビデオドローム4kディレクターズカット版』
VHSはAVのおかげで栄えたが、LDはブレードランナー、遊星からの物体X、そしてビデオドロームのおかげで栄えた、と人の言う。知らんけど、そもそもLD持ってなかったし。大阪では唯一! ビデオドローム4kディレクターズカット版を見る! 80年代ホラー系の本には必ずといっていいほど紹介された映画。公開40年後、人生初『ビデオドローム』。よくわからん! だからビデオドロームって何よ? いやもうこれはそんなことはさておき、めくるめく悪夢のようなビジュアルを見る映画なのだな、と思いたい。あの有名な腹に手を突っ込んで拳銃出したり、テレビに顔を突っ込んだり、とにかく突っ込むのだ!
『そんなにビデオが好きならビデオになっちゃいなさい!』とオカンに言われたから作ったのだ。人間と機械のグロい融合や変異は、『ザ・フライ』にも通じるというか、クローネンバーグって全部こんな感じ? たまにリンチとごっちゃになります。三連休前のびっくりどっきり映画でした。
8・4 TOHOシネマズ泉北『地球防衛軍』(4K)
橋の日に、鉄橋から怪ロボットが落ちる映画を。ゴジラも光るシネコンで、午前十時の映画祭『地球防衛軍』4k版。おぉう、すごい綺麗! 銀の地肌に虹色の鎧を付けたモゲラのピカピカっぷり。美麗画像もさることながらシネコンで昔の特撮映画を観る不思議な感覚は健在。水や炎の生の質感もすごいっ。4K画像もさることながら、宇宙人きたからみんなで追い出しましょう、というシンプル過ぎる構成に『どうや!』と堂々たる特撮の外連味、それに音楽が心地よい。実景で米空軍の輸送機を延々見せてから『どや!』と調整中のα号を映すとか、自信たっぷり。大見得切ってα、β号が空を飛ぶ。誰に言うこともなく、あるいは自身に言い聞かせるように『眼鏡をかける』という、軍人が気になる『地球防衛軍』。デカいレンズを開発したり、若い衆がとんでもない兵器開発したり、とにかく豪快なSF映画。なるほどうちのDVDを見直してるけど、色味が違う。夏休みはUFOですよ、UFO、夏祭りから始まるし。お盆休みは地球防衛軍、盆踊りから始まるしね。通常兵器→チョイ超兵器→超超兵器と三段階に分けて描かれる攻防戦。ミステリアンも電気洗濯機で引っ掻き回すような地崩れやら大洪水やら、やることが豪快ですな。『ソ連もアメリカも地球であります』の台詞も、今の世界情勢に通じます、地には平和を。リチャードソン博士役ジョージファーネス氏は東京裁判で日本側の弁護人だった、とのことでシネ・ヌーヴォで上映予定の『東京裁判』を、そして血沸き肉踊りがちな伊福部昭楽曲は、同じくヌーヴォで上映の『ひろしま』でも聞けますので、気になるところです。
UFO飛び交う昭和SF映画の翌日、まさかまさかの展開で、今度はUFOアニメと怪獣の旅へ。それは次回へ。
そして。
8・8 MOVIX堺『映画王様戦隊キングオージャー アドベンチャーヘブン』
恒例、夏の東映ヒーロー映画。
おぉ、本当に先日見た話と連動している。クワガタオージャーことギラ戴冠式直前の、テレビ版に挿入してもおかしくないエピソード、だけどやたら画面とゲストが豪華ですよ。しかもこれ全編LEDスクリーン? 劇場版だからと言って欲張らず、でも豪華。中村獅童氏の敵役も圧巻! 歌舞伎俳優だけあって、その大きなお芝居が、ヒーロー映画によく映える。
『映画仮面ライダーギーツ4人のエースと黒狐』。神殺し、という名のスケールのでかい迷惑系ユーチューバーによって四つに分かれる世界! 昭和ハンサム顔の浮世英寿も四つに! これまでのライダーも集合! 白いギーツに黒いXギーツ! 夏の大顔見世興行の趣。ブルガンダ―のような新ライダーの登場はかなりのインパクト。
映画ギーツ、テレビに負けないアクションなのはいつものことで、一番すごいなと思ったのは、後ろ向きに馬に乗ったギーツが落馬するギャグシーン。地味ですがね、スーツ着て頭からするっと落ちるのはとても勇気のいることでは? と思うのでした。今回はスタンプ押したぜ、入場特典はベルトがないとダメみたい、残念。
8・8MOVIX堺『イノセンツ』
その日の本命はこれでした。これを見るまでに時間があるのでどうしようかと迷った末、東映ヒーローを先に見たのです。その日は子供の見る映画と子供が出る映画を観た、ということです。
大阪で3館! ということは今見ておかないと、今週末ぐらいには隅っこに追いやられそうなノルウェー発のホラー『イノセンツ』をようやく見た。子供の無邪気さと残酷さが暴走する。団地で日々平安に暮らす者たちの中に潜む黒い影。唾を吐いてミミズを踏みつぶし、自閉症の姉には冷たく当たる、主人公のイーダもなかなかのクソガキ(親に構ってほしい気持ちの裏返し)だけど超能力少年ベンはもっとクソだった。自分以上のクソ野郎を見て、イーダはドン引きする。この映画、猫と子供好きには見てられないシーンがあるので要注意。いつ、どうして身に備わったか、それはどうでもいいこと。超能力があるんだから仕方ない。団地に住む三人の少年少女ベン、アナ、アイーシャ、それぞれの無垢な心に異能力。それは親に対する気持ちが強く出たおかげなのか。それはラストにうっすらと分かる仕掛け。夏でも薄ら寒さを感じる団地の風景。能力を持たないイーダは結局力で押し切るしかないのか。子供ながらの単純な発想が、客観的には恐るべき行動にしか見えない。超能力を持った少年たちの葛藤と対決を描いた『クロニクル』を思い出したが、こちらもまだまだ未成熟な子供の話、思い付きを躊躇なく恐るべき企てに転じる様子がこちらの方が恐怖度が高い。派手さはないけど、それだからこそ、静かに、淡々とした凄味を感じる。
アナのお芝居がとても上手で、よく自閉症児をリサーチしているな、と思った。
以上、最近見た映画、ライダーに始まり、ライダーに終わったここ2週間ほどのお話。そして先週末起こったとんでもないことは、次回にて。