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揺れて燃えて、怪獣が踊る京都と宣伝

まずは宣伝。いつも映画のことばっかり書いてますが、これでもモノカキの端くれなんですよ。ネコ・パブリッシングEAシリーズ

『LGEND OF ガイキング』

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で『大空魔竜ガイキング』パートの全話ストーリー紹介を担当させていただきました。本放送時以来に見る大空魔竜ガイキング。胸に髑髏の巨大ロボに怪獣型ロボット要塞という異色の組み合わせ。レギュラー8人という大所帯に暗黒ホラー軍団の暗黒怪獣、漠然としたロボットもの否、ロボットものの王道を行く痛快娯楽作品であります。これまでこうして一冊の本にまとめられることがなかった作品ですので、この機会に是非。そしてリブート版ガイキングももれなく紹介しておりますよ。小さい頃大空魔竜基地と超合金を買ってもらっていた人間がガイキングを書く、そして依頼の電話を受けた日、机の引き出しになぜかカウンタークロス(ガイキングの膝パーツ)が入っていたという不思議な縁、あぁこれは必然なのだなと思いました。

 そんな書き物仕事と介護の間に映画を見に行くという生活もこれで何年目だ……と振り返るのはやめにしておきましょう。前を向こう、前を。

 先日は恒例京都みなみ会館の超大怪獣2022『東京湾炎上』『地震列島』へ。そしてその前に妖怪特撮映画祭『大魔神逆襲』を。

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 シリーズ三本目にして最終作。大スケールのセットとミニチュア、そして前作以上に精度の上がった特撮、いくら邦画全盛期の作品とはいえ、これだけのクオリティのものを年に三本も作っていたことが信じられない。隣国の武器工場設営の人足のために拉致された親兄弟を救うべく、少年たちが旅立つ。少年をメインにしているが純粋な子供向けではない。過酷な旅の途中で死ぬものもいる、家族に会えなかった者もいる。決してハッピーエンドに終わらない、どこかしこりが残ってしまうのがのが大映時代劇らしい。魔神様は禁忌の土地に足を踏み入れた少年たちを闇雲に罰したりせず、ただその行動を見守り、そして少年の命がけの行動にこたえてその姿を現す。吹雪の中、雪の中から出現する神々しい魔神の姿。宝剣を引き抜き白い巨体が悪人たちをずんずんと追い詰めていく。冒頭で部分的に姿を見せ天変地異を起こして民衆を恐怖に駆り立て、山間部に黒い靄のような姿を見せる魔神様の姿が怖い。今回成敗される隣国の城主は直接魔神様に手を出したわけではないが、部下を山に送り込んだことと、少年の祈りをきちんと聞き入れての出現だったんだろうな、と思う。


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 東宝お得意の特撮を使ったスペクタクルパニック映画二本立てです。

『日本沈没』『ノストラダムスの大予言』に続いて東宝が放った『東京湾炎上』は、前2作に比べるとスケールダウンした感が否めませんが、これはパニックスペクタクルというよりもタンカーを占拠したゲリラと政府の知恵比べ的な内容だったりするので、どちらかといえば後年の『ダイ・ハード』『沈黙の戦艦』のような舞台を制限されたアクション映画に近いかと思います。

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 ゲリラの要求を呑んで鹿児島のコンビナートを爆破しなければ東京湾のタンカーを爆破、どちらにしても甚大な被害を及ぼしてしまう。さてどうする? そうだ、コンビナート爆破を特撮フィルムでごまかしちゃえ! という大博打。これをコメディではなく大まじめにやるからいいのです。やや退色したフィルムで見る爆破シーンはかなりの迫力、これならゲリラもごまかせるかもと思ったら雨が降って計画はおじゃん、あとはもう力押しでやるしかない。ゲリラの仲間割れをきっかけに藤岡弘、、丹波哲郎、宍戸錠といった強そうなメンバーが奮闘するのです。

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 そして70年代から80年代へ。忘れていた頃にやって来た震災パニック『地震列島』は、東京直下地震の恐怖とドロドロの愛憎劇を描く異色特撮パニック巨編。三十日以内に地震が来ると発言したがために周囲からひどい仕打ちを受ける地震学者勝野洋は、80年代に入って小さくまとまってしまった『日本沈没』の田所博士の雰囲気。過激発言はするけど、エキセントリックな行動には出ない。政府は動いてくれないわ、家庭は冷たいわ……そんな勝野の思いが天に通じたのか大地震が東京を直撃! ミニチュアと実物大セットで描かれる阿鼻叫喚の地獄絵図と脱出劇。高層マンションと地下鉄浸水という二点に絞ってドラマを深く掘り下げていく。勝野洋の命を懸けた行動に、地下鉄の避難民は救われ、そして恵みの雨が降る。まるで勝野自身が地震を呼び寄せたようで、これは先に見た大魔神とどこか被る部分もあったり、なかったり。

 雪で始まり、雨で終わった特撮映画の日、帰り道も雨で濡れていた。

 そして新しい週が始まり、それなりに働いた夜勤明けの朝、再び京都へ。どれを見ても楽しそうな妖怪特撮映画祭、今回は『宇宙怪獣ガメラ』をきちんとスクリーンで見たかったのですが、ならばついでに『ガメラ対深海怪獣ジグラ』も見ておこうと思ったのです、他にも面白そうな映画をやっているのに、あえて何度も見たはずの怪獣映画を選んでしまう、これはもうそういう性分なのと何事も『見たい』という衝動に勝るものはないからなのです。

 平日の昼間に映画館で怪獣映画が見れるという贅沢。大阪―京都間の距離なんて気にならない、もうこの移動を始めて8年になるし。先日と打って変わって外はぽかぽかとしており、実に過ごしやすい気候でした。でもそんなことお構いなしに映画館にこもるのです。

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 『ガメラ対深海怪獣ジグラ』は旧大映最後のガメラ映画。1971年、更盛を誇っていた日本映画界も斜陽の時期、この作品もなかなか再評価の機会に恵まれないのですが、たった一人で宇宙からやってきて地球を壊滅させるほどの地震を引き起こすジグラ星人はかなりの実力者ではないかと思うのです。ただその様子がニュースで語られるのみで、舞台が鴨川シーワールドに限定されてしまうので、なんともこじんまりとした印象を持ってしまいます。ただこの時東京は先の『地震列島』以上のマグニチュード13の大地震の後なので、関東はほぼ壊滅、生き残った人たちが鴨川に逃げてきた、と解釈するととんでもないディストピア映画だったりするのです。ただ、そんな背景が見えないので、ジグラの手下女性Xがパンチラしながら子供を鬼ごっこのように追っかける、のんびりした映画に見えたりしますが。

 ジグラは海中から人間たちを食料にしようと、海をわがもの顔に泳ぎ回りますが、これがいけなかった。宇宙船を壊され怪獣化してしまった時点で彼は詰んでしまったのです。やけくそ気味に暴れるジグラがやったことといえばバチスカーフの命綱を切ったことぐらいです。ガメラに対してオレンジ光線でその行動を止めてしまうけど、落雷で蘇るし、陸に上がると弱体化するし、いいところなしのまま焼き殺されてしまいます。ただ、上陸した際の直立した姿はかっこいいです。人類の攻撃も受け付けない、世界中に甚大な被害を及ぼしたジグラに対し、ガメラは平成シリーズに先駆けて『最後の希望』になってしまいました。スケールはでかいけど、画面はこじんまりとしたこの作品を公開した後大映は倒産、そして9年後、新生大映によってガメラは『宇宙怪獣ガメラ』で帰ってきたのです。

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 70年代後半からのアニメブーム、SFブームに乗ってゴジラ、ウルトラマンの日本特撮リバイバルブームがありました。これに乗り遅れてなるものかと、ガメラも復活。しかもSFもアニメも少年ジャンプも、当時の流行を全て取り込んだ貪欲な作品です。旧シリーズの怪獣バトルに新規ドラマを加えたハイブリットな内容になっており、これ一本で旧作の怪獣が全部見れるというお得な内容。ガメラは映画のキャラで、少年の強いガメラ愛と平和星人の念力によって亀が怪獣化した新ガメラという新たな設定の元に作られた、再編集映画というかリブート作品です。公開当時は裏にドラえもんとモスラ対ゴジラがあってそっちを見たし、『新作じゃないのか……』と思っていた小学1年生の春。なんてもったいないことをしたんだと思うのですが、あの時はヤマトや999と共演するガメラという売りが売りに感じられなかったんですよ、子供にこびてると子供はそっぽを向くというか。そんなこと思いつつも大流行のドラえもんは見たかったんですよ、ゴジラついてくるし、あぁ、やっぱりちょっとガメラを低く見ていたかも。だってゴジラはテレビでもめってに放送しない希少な存在だったから、ガメラは冬休みに腐るほど放送していたから! と当時のことを思い出してみていました。みなみ会館で上映されるのはこれで3回目になるのですが、今までちゃんと見れてなかったんですな。それで今回はぜひとも見たいと思ったのです。前回はオールナイト上映でマッハさんもゲストで来場されておりました。そんなマッハさんは映画の中ではきびきびと動くし、背が高くて宝塚の男役にアスリートのボディがくっついたかっこよさでした。平和星人、他の二人はどうよ? と思いましたが。本作品も『対ジグラ』と同様、たった一人の侵略者+手先の女という組み合わせ。女海賊ギルゲさん、何度命乞いしたよ? 平和星人の姿になってると攻撃されるというシステムの上、武器を持たないという縛りの中で、ガメラがここでも『最後の希望』になってしまいました。対する海賊側もガメラに直接攻撃はせず、次々と怪獣を送り込んでくるから、これは宇宙怪獣代理戦争だったのです。怪獣の架空の存在であるという、現実と同じ世界観に怪獣を出すという点では『シン・ゴジラ』の先駆けだったのでは、と無理やり解釈しました。すると他の怪獣たちも映画のキャラで、それを宇宙海賊が映画の世界から具現化させたものなのか? というシュワルツェネッガーの『ラスト・アクションヒーロー』をも先駆けた構成。そしてガメラは再び永い眠りにつき、15年後全く新しい姿で蘇るのですが、それはまた、来月のみなみ会館で。

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 楽しい映画を見た後、外に出ると、すでに夜。なんだか祭りが終わった物悲しい気分になってしまいますが、また次があるさと家路につきました。


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