出遅れ男の落とし前
ようやくコロナ騒動も収まり、やっと娑婆に出れると思ったその時、市から救援物資が送られてきた。遅い、と思うが豊富な食料に日用品はコロナだろうが何だろうが有り難いものです。
三月末日。世間は年度末で色々なものが終わったりお別れしたりする時期。京都みなみ会館で最後の最後に滑り込みで『ガメラ3邪神覚醒』を。去年も見たじゃないか、でも1月から始まった妖怪特撮映画祭、そしてこの平成ガメラ特集で大映特撮ロングラン上映も終わるし、超大怪獣大特撮大全集もお引越しである。そんなことを思いながら見ると、ラストの火の海になった京都で一人寂しく歩いていくガメラの後ろ姿が、いつもよりも寂しげに見えた。ラストバトルの戦場となった場所でガメラ3を見るものもうしばらくはないだろうな。館内には、最終日ということもあって、いつもの顔ぶれがちらほら。映画が終わって外に出ると、すぐそばの道路を装甲車が走っており、映画と現実がリンクしたような不思議な感覚になりました。
そしてもう一本。これも最終上映でしかも日本での上映期限が切れるという『ダーク・スター』。ジョン・カーペンターのデビュー作で劇場で見れるのはこれが最後なら見ておかねば、と思った。
地球を離れて20年、宇宙を旅するダークスター号の乗務員のダラダラした生活を描く、恐ろしく低予算なSF映画。これまでの宇宙映画からは考えられない、ごみごみした船内、作業服のような乗務員、高校の部室のような汚れた仮眠室。愚痴を言いあったり、ビーチボールに手の生えた宇宙生物に手を焼いたり。しかしこのごみごみした、妙に生活感のある宇宙船の描写は後年の『エイリアン』に繋がるのでははないか、と思った。どちらもダン・オバノンが関わっているから、偶然ではないと思う。そういえば、ナイフで自分の指の間をこんこんとテーブルを突いていく、ハンド・ナイフ・トリックもやってた。
AI搭載の爆弾が暴発しないように説得するクライマックスは『2001年宇宙の旅』のパロディのようにも見えた。そしてクライマックス、絶望感を感じさせない、爽快な宇宙サーフィンに、新年度へ向かって新たな世界に旅立つ人たちのことを重ねてみた。あれもこれも終わり、そして新しいステージが始まる。と、思う。