夏の耐久レースの走り方
最近は連日熱中症警戒アラートが発令されています。
不要不急の外出は控えるようアナウンスされていますが、毎年この時期は狂気のイベントが開催されます。
7月3日 8時間耐久レースin戸田・彩湖
7月17日 葛西臨海公園7時間走
要は7~8時間走り続ける競技です。
以前は自分もこの2レースに毎年出ていましたが、夏のレースは、冬のレースとは全く違います。
要は熱暑のレースなんです。
そこでここでは、熱暑のレースの注意点を挙げていきます。
1.しっかりペースを落とす
暑くても決して目標を落とさないランナーがいます。
おそらく2-3km程度であれば、そんなにタイムは遅くなりません。
ですが10kmやフルマラソン、ましてや持久レースになると確実にパフォーマンスが低下します。
人によって暑さに強いランナーもいますが、遅いランナーほど影響がでます。
それを見越したペースで、戦略を立てることが大事です。
オーバーペースでは、あっという間に体温が上昇して動けなくなってしまいます。
2.レース前も中もクーリング
2-1.プレクーリング(ランニング前のクーリング)
暑い時は、運動前から身体冷却すると効果的と言われています。
運動前の体温を下げておくことで、運動時に体温上昇するまでの時間稼ぎをすることができます。
文献でみると、冷水浴やアイスパックによる身体冷却、冷水の飲用が以前から報告されていますが、最近はアイススラリー(水と氷が混じったスムージー)が効果的と言われています。
例えば2010年のアイススラリーの効果を調べた文献では、暑熱下の自転車運動前に4度冷水を体重あたり4.5g飲用すると、疲労困憊になるのに平均40.7分であったのに比べ、-1℃のアイススラリーを同量摂取すると、疲労困憊になるまでの時間が50.2分と延長したとの報告があります。
凍らせて家から持参したスポドリのパックを、レースの直前に摂取しましょう。
暑熱下の運動前はしっかりと身体冷却を心掛け、体を温める目的のアップ運動はしないようにしましょう。
2-2.パークーリング(ランニング前のクーリング)
暑い時は走りながら、どこをクーリングすればよいか。
最近の文献では頭・顔・首とあります。そして手のひらも効果があるかもしれませんが、ドーハ世界陸上や東京マラソンでみられたようなアイスパックを手に持つまでするのは効果が不明とされています。
考え方としては、
・頭が熱くなるとパフォーマンスが落ちてしまうので、頭と頸動脈のある首を冷やす。
・体が熱を逃がそうとしている顔(特に頬とおでこ)と手のひらを冷やす。
ということになると思います。
戦略としては
・頭からかぶり水をする(汗で濡れているかもしれませんが、汗はお湯です!)
・帽子で頭と顔への直射日光をさえぎる。
・手を濡らして、パーにして走る(気化熱で冷やします)。
・冷却ネックウォーマーを用いる。
をしながら、なるべく冷たいものを摂取しましょう。
3.水分・塩分の摂取
暑さのレースでは汗の量も、その中の塩分も爆増します。
暑ければ暑いほど増加するので、どのくらい摂取したら大丈夫!ということはありません。
そして個人差もかなりあります。
その人その人の感覚で、口喝が生じた(水分不足)、ペースの割に脈拍が速くなってきた(水分不足や体温上昇)、ボーっとする(水分・塩分不足や体温上昇)、脚がつる(水分・塩分不足)、気持ち悪い(塩分不足)といった症状が出る前に適切に対処することが必要です。
3-1.水分の摂取
かなり個人差があるとはいえ、目安があります。
米国スポーツ医学は、運動開始の数時間前に体重1kgあたり5-10mlの水分摂取、運動中は0.4-0.8㍑/時間を摂取することをすすめています。
例えば耐久レースでは2-4kmに1度エイドがあります。
キロ5分で走れば1時間に3-6回給水ができるので、給水ごとに100-200ml飲めばいいことになります。
ですが個人的な感覚ではこれでは不十分、日本の夏の耐久レースではこの倍は必要と感じています。
3-2.塩分の摂取
塩分も個人差がありますし、どのくらい摂取した方がよいかの目安もありません。
塩分を喪失しやすい人(ランニング後に周りの人より、顔やシャツに汗塩が目立つ人)は特に塩分をしっかり摂取するように心掛ける事が必要です。
また、補食のうどんのつけ汁や、スイカに振る塩などを摂取してみて、「しょっぱくない!!」と思ったら要注意です。
梅干しや塩昆布、うどんの汁全飲み、経口補水液をしっかり摂りましょう。
なお、塩飴は0.1g/個、スポドリは1.5g/L、経口補水液は3g/Lです。
塩飴やスポドリはあてになりません。