ビールを飲みながら速くなる~各論の前に~
自分はここまで
「ビールを飲みながら速くなる・・・」
とタイトルを打ちながら、
ビールのマイナス面を少なくすることばかり書いてきました。
これではタイトルが違うではないか!!
「ビールを飲みながら、なるべく遅くならない・・・」
そう思われた方もおられると思います。
確かにお酒はランニングにいい可能性があると言いました。が、確実に悪い点もあります。
さらにそれ以前に、健康のために飲まない方がいい方もいます。
総論から各論にうつる前に、それを確認してゆきたいと思います。
1.お酒を飲まない方がよい方は?
1-1.フラッシャー
アルコールが分解されたあと出来る有害物質アセトアルデヒドが蓄積しやすい方で、飲酒すると顔が赤くなるのが特徴です。肝臓はもちろんですが、発がんのリスクが高く、飲酒はおすすめしません!!(自分の以前のNote記事参照下さい)
ただ、飲酒を続けていると次第に慣れてきて、フラッシャーであることを忘れてしまっている方もいます。なので、飲酒者は一度検査をおすすめします。安価なパッチテストもあるのですが、できればしっかりと遺伝子検査を行うのがよいと思います。
検査は多くの会社が出しているのですが、アスリート遺伝子やダイエット遺伝子とは違って、調べる項目はどこの会社も一緒なので、どこでもよいと思います。価格は6000円前後です。
ハーセリーズ社で調べた自分の検査結果を貼っておきます。自分はアセトアルデヒドの代謝はいいタイプでした(下の表の左下)。そしてアルコールの代謝は高活性型で、日本人に一番多いタイプですね。
ALDH2が低活性や非活性の方は、健康リスクが高いので飲酒はおすすめできません。
1-2.生活習慣病のコントロールのついていない方
飲酒は血圧、尿酸値、中性脂肪の上昇を来たします。また中等量の飲酒は血糖の上昇にもつながります。
若くして生活習慣病にかかり、現在内服している方や、年配の方でもコントロールのついていない方は飲酒を控えましょう。
もしよければ以前、飲酒と生活習慣病についてまとめたNote記事を参照下さい。
1-3.飲酒しない方がよい疾患を持つ方
もちろんお医者さんから「飲んじゃダメ!!」と言われている方。例えば以前に急性膵炎をおこした方、肝硬変、アルコール依存症の方は飲んではいけません。
2.お酒を飲むと、ランニング能力が落ちる方は?
ランニングに最も関係のある最大酸素摂取量、それを決める要素になるのが、心機能・呼吸機能・ミトコンドリア機能・ヘモグロビン・毛細血管の発達などとされています。それらに対して飲酒が与える影響は、それぞれ違います。調べられていることと、調べられていない事がありますが、調べられていない事は自分の推測で書いてゆきます。そして総論②で述べた筋肉の発達も併せて書きます。
それぞれ自分の弱いところを考えて、飲酒はやめた方がいいのか、減らした方がいいのか、気にしなくてよいのか考えるのがよいと思います。
また飲酒とランニング能力については、これだけではないと思います。
意外と疲労回復効果があって質の高い練習ができたり、2-3時間も宴会をする中で少しずつたくさんの食事を摂取して疲労回復に役立ったり(体重オーバーの人は気をつけましょう)、よい仲間を得て高い目標に向かって一緒に頑張れたり。
結果心臓が弱い人以外は、逆に多少なら飲んだ方が良いのでは?と思っています。
では「心臓の強い弱いはどうしたら分かるの?」それは自分で判断するのは難しいと思います。なので少なくとも心臓の持病がある人は飲酒はやめておきましょうね。
3.飲酒を減らすには?
体質も病気もOK!心臓も悪くない!!
なら多少のビールはOK!!ではどのくらいならOKなのでしょうか。
ちなみに厚生労働省では「節度ある適度な飲酒」を、男性はアルコール換算で一日20gとしています。ちなみに諸外国と比べてこれは多い方です。
ただ、これは死亡率からみた適正飲酒量です。ランニングの速さについてはどうなのでしょう。自分はアルコールを武器に使えるなら、男性であれば一日20-60g程度ならありなのかな?と思っています。もちろんこれは健康被害が出ない量ではありませんし、そんなに飲んだら遅くなる人もいると思います。ただその程度の量なら飲むことによりマイナス面が出ずに、プラス面が生かせる可能性があると思っています。
でも実際、皆さんはそれよりたくさん飲んでませんか?そこでランニング後に飲酒量を減らす手段を2つ書いてゆきます。
3-1.ビールはじっくり味わう、口喝時は水を飲む
以前ですね、
「最高の飲み方」の書籍にもあったように「脂肪分の多い食事と一緒に飲む」といいよ!とか、ビアソムリエの先輩よりアドバイス頂いた「ビールと同量の水を飲む」といいよ!と書いた事がありました。
で、自分で試してみました。
アルコール度数7%のビール(以下7%Beer)を用いて、7%Beer単独、脂肪(卵)+7%Beer、水+脂肪(卵)+7%Beerの3通りの飲み方を6回ずつ計18回施行しています。水1000ml+7%Beer700mlを一気するのは、もう拷問に近いのでやりませんでした(笑)。
結果は、脂肪分の多い食事を一緒に摂取しても、同等の(ビールのアルコール度数が高かったのでそれ以上の)水分を摂取しても、そんなに高い効果は得られませんでした。やはりビールの量を控えるのが一番だと思います。
ランニング直後は脱水状態です。この状態でビールで補水しても、利尿効果ですぐにまた脱水になります。結果、ビール→排尿→口喝→ビール→排尿→口喝の無限ループに落ち入り、泥酔します。
口喝時は「水」!「ビール」は料理!!
水分をしっかり摂取したうえで、ビールは是非じっくり味わって飲むようにしましょう(口喝時のビールがおいしいことは百も承知ですが)。
ビールをしっかり味わうためにも、色々なビールを飲んでビールの勉強をしてみませんか!?
ビールの勉強のおすすめ
・あの桐谷健太も取得した、ビアソムリエ
・「1級は沼!」びあけん
・好みのビール診断&クラフトビール定期便のHomebr
3-2.飲酒時のガーミン!「アルコールチェッカー」を使う
飲酒していると、段々と自分の酔い具合が分からなくなってきます。
前項で書いた、ビール、排尿、口喝の無限ループでどんどん飲酒量が増えてゆき、気づいたら記憶レス・・・なんてことはありませんか?
どうしてもランナーは前半からオーバーペースで突っ込みすぎて、後半失速する方が多い気がします。そんな方に、飲酒時のガーミン「アルコールチェッカー」はどうでしょう。
10㎝ちょっとの小さな測定器で邪魔にはならないと思いますが、無くしてしまう事はあるかもしれません。お酒を口にした直後や、げっぷをしたりすると高めに出たりしますが、ある程度参考になります。
呼気中アルコール濃度と血中アルコール濃度の関係を表にしてみました。
飲んだ翌日の運転の可否をみる目的の測定器なので、測定できる幅がやや狭いのですが、自分が気持ちよく飲める範囲がおおよそわかります。
測定結果は若干低めに出るようで、自分は呼気中アルコール濃度が0.15~0.30になっている時が一番心地よく感じました。中瓶2本で、2時間おきに1本追加でこのあたりに安定するようです(このあたりはアルコールの代謝の速さで変わります)。
「マラソンはオーバーペースで突っ込んでも、宴会はオーバーペースで突っ込まないようにして下さい!!」
4.最後に
世間的には、速く走るためには飲むな!!という風潮が強いです。
自分も医師ですから健康被害ということを考えると、中等量、多量の飲酒は勧められません。ただ速く走るためには・・・と考えると、必ずしも飲酒はいけない!!というわけではないと思います。呼吸機能などはよくなる可能性もあります。
ですがいくらでも飲んでよいというわけではありません。速く走るために、友達を失わないために、社会的問題を起こさないために、適量飲酒を心掛けましょう。
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