モンゴル女子代表チームへサッカーシューズを提供した経緯
僕は2017年にモンゴルという地に渡りました。新しい環境というのは刺激も多いですが、新たな出会いもあります。
僕はGOYO FCというクラブと契約を結び、モンゴルプレミアリーグ(1部リーグ)を戦っていました。
前期シーズンが終わると、後期からは同国内のFCセレンゲプレスというクラブへ移籍しました。
1、モンゴル女子チームとの出会い
モンゴルでの練習時間は毎日あるわけではありませんでした。空いている時間を有効に活用したいと考えた僕は、自分のためにもなるし、人のためにもなることがないかと考えました。
モンゴルで日本人監督さんがいるという情報は聞いていたのですが、面識がありませんでした。彼は女子代表チームの世代別代表監督をしていました。ベガルタ仙台などで指導をされていた壱岐監督です。
僕は監督さんに連絡を取り、ぜひ女子選手たちの練習のお手伝いをさせて欲しいと頼みました。壱岐監督は、実際にプレーをしながら彼女たちがそれを見て学べることもあるだろうと快諾してくださいました。
毎朝7時に家を出て、サッカー協会内にある練習場に通いました。女子選手たちの練習は朝8時から行われました。僕は体も動かせるし、楽しそうに真面目に練習に取り組む彼女たちの姿勢に楽しさを感じていました。
2、モンゴルの練習環境は人工芝
そんな彼女たちですが、練習環境は人工芝が多く、足への負担も一般的には多いと言われる環境です。しかし、彼女たちの足元をみるとその環境に適していないシューズを履いている選手も少なくありませんでした。
必死に上達しようと練習に励んでいるのに、練習をすることで怪我のリスクが伴ってしまうというのは避けて欲しかった。
しかし、その時には僕の頭の中にはまだ彼女たちに何ができるのかと考えがまとまってはいませんでした。
そして、その後シーズンを終えた僕はネパールでのプレーを経て、タイへ挑戦をすることにしました。
しかし、タイでは納得のいく契約を得ることはできませんでした。(この時の話はまた別の機会にしたいと思います。)
そんな僕をモンゴルの古巣であるFCセレンゲプレスが呼び戻してくれました。
3、あの時できなかったことを実行しよう
僕はタイでの挑戦に区切りを付けて、モンゴルへの準備のために一度日本へ帰国しました。
その際に、知人の紹介により関西の大手スポーツショップであるモリヤマスポーツ さんを紹介していただきました。
僕がモンゴルで感じたことを、僕が外部アドバイザーとして携わらせていただいている京都の紫光サッカークラブLadiesの砂原さんに相談をしていました。そこからモリヤマスポーツ さんとのお付き合いが始まりました。
モリヤマスポーツ さんは日本で不要になったサッカーウェアやシューズを集めて、海外などに寄付をする活動をされていました。
その活動の支援先として、モンゴルの女子選手たちを結びつけました。
そして、シューズを僕の自宅に送っていただき、僕がモンゴルへ手荷物で運びました。
運ぶ前には一つひとつ丁寧に手で磨きました。
せっかくプレゼントするのだから、最高の状態にして最大限に喜んでもらいたかったのです。
(実はモンゴル到着の際に綺麗に磨き過ぎたことにより税関に止められました。これをモンゴルで販売するんじゃないか?と。実際に2日間、荷物は空港に保管されてしまいました。)
4、いざ彼女たちへシューズをプレゼント
その後、チームメイトの助けもあり、無事に僕の荷物(シューズ)を回収することができました。
そして、彼女たちの元に向かいました。その時は代表の大会期間で、翌日の試合に向けたトレーニングをしていました。僕はその会場でシューズをサイズごとにセットして渡すことにしました。
僕もサッカー大好きで、新しい靴というのはいつもワクワクさせられます。彼女たちも、はやる気持ちを抑え、なぜ僕がシューズを提供するのかというのを壱岐監督から説明いただき、実際に彼女たちが手に取り始めます。
5、日本は物に溢れている
日本は物に恵まれています。サッカーショップもたくさんあります。
靴が欲しければお店に行って、好きなものを選んで買うことができる。
しかし、モンゴルにはサッカー専門ショップはありませんでした。代表レベルの選手でも粗悪なコピー商品を履いている子もいました。
今回、モリヤマスポーツ さんの協力をもとに、日本では使われていないものをモンゴルへ持ってきました。
モンゴルでは専用の自分の足や環境に合った、サッカーシューズを購入することは簡単ではない環境でした。海外遠征などで、サッカーショップへ行った際に購入するなどしていたようです。
日本で使われていなかったものでも、日本以外の何処かでは必要とされるかもしれないです。これはモノや資源の利活用にもつながることだと考えています。
6、ものを大切にする
今回、こうした活動を発信することによりものや資源に関して考えてもらいたい。
恵まれていることは悪いことではなく、むしろ良いことです。しかし、それを当たり前に思ってしまわないこと。
そうしたメッセージが一人でも多くの子供達に伝わっていけば良いなと思っています。