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スポーツの力

僕は東南アジアを中心にサッカー選手をさせていただいています。
そして、2016年に行ったカンボジアの孤児院訪問からサッカーを通した社会へのアクションをおこなっています。

もともと僕はJリーグでプレーする事を夢見てサッカーを始めました。
しかし、その夢は叶うことはありませんでした。

それでも夢を諦められなかった僕はたまたま耳にした東南アジアサッカーに興味を持ち、場所を変えてサッカー選手になるという夢を叶えました。

冒頭に記述した孤児院の訪問時に、僕はとても大切な気づきを得ました。
それは僕にとってサッカー選手という概念を考え直させられた瞬間でした。

僕はJリーグでプレーすることができなかったことに劣等感を感じていました。
もちろん、夢だったものを叶えた喜びはとても大きかったです。

しかし、憧れの舞台であったJリーグと比較をしてしまい、どこかで劣等感を持ちながらサッカーをしていたと思います。

そんな中、初めて訪問した孤児院では僕が到着するや否や子供たちが集まってきて
「お兄ちゃん!早く一緒にサッカーをしよう!!」と手を引かれるがままにサッカーをして遊びました。


カンボジア首都プノンペンにある孤児院の子供たちとサッカーをプレーした写真
子供たちはほとんどが靴を履いていませんでした。

それは1時間以上続きました。
そして、彼らは僕に対してこんなことを言ったのです。

「将来はお兄ちゃんみたいなサッカー選手になるから、一緒に対戦しようね!」

僕はその言葉にハッとさせられました。
こんな僕でも、憧れを抱いて夢の対象としてくれる子供たちがいるんだということを教えてもらいました。

そのことによってサッカー選手という概念が変わり、サッカーが上手いことはもちろんだと思いますが、

サッカー選手(スポーツ選手) = 夢を与えてくれた存在

そういう考えに変わりました。
だから、どこの国や環境、レベルであれサッカー選手と名乗るのであれば夢を与える存在にならなければならないと僕は思いました。

もしかしたらそうしたアクションがいつの日か、日本サッカーへの恩返しにもなるのではないかと思いました。

そうした活動を継続して7年目に突入しました。
現在はタイやベトナム、カンボジアに囲まれた内陸国であるラオスにいます。


ラオスはサッカー熱が熱く近年は新たな代表監督が就任して、ものすごい勢いで強化が進んでいます。
19歳以下代表チームは格上のカンボジアやタイに勝利しました。

この国に来たのは2019年3月のことでした。
ちょうど新型コロナウィルスが蔓延したのがこの時期で、僕はラオスへ来てすぐに国外に出ることができなくなりました。

その時点で、ラオス国内でサッカーをプレーする環境を見つけなければならないことを自覚しました。

当初は加入する予定のチームがあり、ラオスに訪れたのですがコロナの影響を受けてチームはリーグ参加を辞退し、行き場所を失いました。

県外への移動も禁止されていたので、その期間はできる限りのことを続けてコンディションの維持に努めました。そして3ヶ月後にようやく県外への移動が許可されて、首都のビエンチャンから車で1時間半ほどのヴィエンチャン県という地を拠点とするチームに加入することになりました。

しかし、加入してからも困難は続きました。
コロナの影響を受けたチームはスポンサーの撤退により経営が難しかった。

そこで、僕は苦言を呈していても仕方がないから一緒にチーム運営も行うことを提案し、結果的にこのクラブには2年間所属することになるのですが

2年目は選手兼GMという役職を務めました。
まずは、サッカーチームがより社会にとって身近な存在になることが必要だと考えた僕は小学校での体育の教師が不足していることを知って選手を教師として学校へ派遣したり、自らが指導を受け持ったりしました。

そんな中で、僕はスポーツの持つ素晴らしい力に改めて気づき、教えられました。

僕の取り組みを知ったラオスの教育関係者の方々が僕のアクションを見てこんな言葉をかけてくださいました。

「渡辺さんがしていることはラオスの社会を変えることですよ。」

もちろんそんな意識はなかった。
途上国において、日本のように恵まれた環境を得ることが極めて難しい子供たちは少なくない。

そして、社会主義国家であるラオスにおいて社会に対する期待はなかなか持ちづらい。子供たちが自分の夢を描き、自分の人生を選択していくことすら簡単ではないのだ。

だから、「変わらないもの」に対して苦労や努力を重ねるのは難しい。
頑張っても変わらないのであれば、頑張らない方が幸せだというのがラオスでの一般的な思考だと考えている。なぜなら変わることが期待しづらいからだ。

しかし、サッカーチームの運営をしている際には違った。
選手たちは試合に勝つために努力が必要なことを理解しているし、試合に負けたとしても次に勝つために努力を重ねることができる。

試合に勝てばボーナスを得ることができるので、改善を試みる。
トレーニングの重要性を理解すれば、時間を守ることさえままならないラオス人たちが練習の30分前には集合して準備しているのだ。

社会はなかなか変わることが難しい。そのスピードはスポーツのそれとは違うのは理解している。しかし、社会に対しては描けないこともスポーツでは描くことができる。

「成功」

というものを追い求める際に、スポーツで取り組んでいることは社会に対しても応用ができることだと思う。むしろ、同じだと僕は考えている。

僕はこれこそが「スポーツの力」だと思った。

だから、僕はスポーツでの成功を導き、自分の人生を選択するというロールモデルを生み出したい。

身近な人が、ラオスであれば同じラオス人がそれを成し遂げることでより説得力も増すと思うし、イメージしやすいと思う。

スポーツは社会を、世界をも変える力を秘めていると僕は確信している。

Twitter @nabeldo_takuya

#スポーツのチカラを感じた瞬間

https://note.sportsmanship-heros.jp/n/na9d00722b166

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