なぜペップは怒っていたのか?
見てくださいよ
ペップのこの表情。
これは2019年9月上旬、マンチェスターで会ったときに撮ってもらった写真なのですが…
ペップ、おこでした。
VAR介入の余地もなく、明らかに怒っていました。
まるで、隣で笑っている筆者を嫌がっているかのような一枚………
今までペップと会った時は、いつも笑顔で優しく対応してくれていたのに、この日はめちゃくちゃ怒っていました。
参考までに、2018年4月にマンチェスターで会ったときの写真も見ると…
その差は一目瞭然であります。
では、一体全体何に怒っていたのか?
と、申しますと、
実は筆者に対して…ではなく
僕らと一緒に待っていた、ある人達に対してだったのです。
なぜペップは怒っていたのか?
以前、Twitterでフォローしている清水サポーターの方が、「選手にサインを書いてもらった」ことを、「選手から魂を入れて貰った」と表現していました。
確かに、(特に)海外でファンサして貰う時は、まるで落書きみたいな雑なサインの時も多いですし、必死にサインを貰おうとしてユニホームにペンのインクがついてしまう時もあります。
ジェズスの車にユニホームが轢かれることもあります。
それでも、帰国した後にサインやツーショット、インクの跡を見て拝んでいると、
初めてシルバに会えた時の感動や、
眠そうな顔してファンサしてくれたデブライネのベビーフェイス………
極寒の中で5時間以上待ったのに誰にも会えなかった切ない時間のこと……
日本人女性とシティそっちのけで恋愛トークが盛り上がったり、マンキュニアンの少年達と下ネタばっかり話してゲラゲラ笑っていたりしたこと…………
その時の思い出が、走馬灯のようにドドっと蘇ってくるのです。
(そして、ただただひたすらニヤニヤして話は終わりなわけですが笑笑)
筆者にとっては、そうやって苦労して手に入れた(+正しい方法で手に入れた)サインやツーショットこそ、かけがいのない宝物だと思っていますし、価値のあるものだと思っています。
選手達だって、ファンが喜んでくれると思って、練習や試合前後で疲れている中でもファンサをしてくれているんだと思います。
しかし、世の中には、我々には到底理解できない目的で、選手からサインを貰おうとしている人達がいます。
その人たちとは、
そう、転売屋のことです。
転売屋とかいう商魂込めた死ね死ねくたばれな奴らは、ファンや選手の思いを踏みにじり、優しさに漬け込んで、選手のサインを商売に利用しているのです。勿論、その需要があるからビジネスとして成り立ってしまっているわけですが……
とはいえ、選手の大事なサインを、そうやって転売している人達を見ると本当に呆れます。こういう人たちや、ルールを守らない若しくは他人のことを考えず過度な出待ちをする人たちのせいで、ファンサの制限が厳しくなり、本当に好きで会いたいファンと選手との距離がどんどん離れていってしまう原因にもなっているのです。
選手へのリスペクトの欠片もない転売野郎達。
しかし、
そんな奴らを完全に黙らせ、我々をスカッとさせてくれた人こそ、ペップ・グアルディオラだったのです。
9月上旬なのに、初冬の日本並みに寒かったマンチェスター滞在時のある日の夕方
筆者に加えて、偶々スタジアムツアーが一緒だった日本人グループ、アカデミー選手も全員知ってて写真まで持ってきていたリアルガチなオタクファンの香港人、
そして、おそらくほぼ毎日のように出待ちをしている転売屋のグループが、シティの選手やスタッフの車を待っていました。
転売屋達の目当ては、アグエロやシルバなどの主力選手の中でも特に人気のある人……まあ要は高く売れる選手に限られています。アカデミーの選手に加え、カーソンやブライアンキッドなどには目もくれずスルー……。勿論、選手とツーショットを撮ることに関しても一切興味を示しません。なんてタチが悪いことやら。
転売屋のバックにはユニホームなどのグッズがビッシリと…
ただひたすらに、タグ付き新品のユニホームをバックから次々と取り出し、お目当ての選手からサインをもらうことに命を掛けているのです。転売するためだけに。そこに愛もへったくれもないでしょう。
暇か?
と、心の中で転売屋にツッコミつつ、マリノスサポの日本人の人たちと談笑しながら待っていると…
シルバなどが通過したのちに、ペップがやって来ました。
まず、一番最初にペップの車へ近付いていったのは筆者。以前撮ったツーショットを印刷していており、それを見せて車を止めよう作戦を勝手にしていたからです。
優しいペップは、前回と同じように止まってくれて、写真とユニホームにサインをしてくれました。(なお、ツーショットの方は黒い部分に黒マジックでサインを貰ったので見難い形に……)
その後、一緒にいた日本人と香港人へのファンサも和やかなムードで終わり、
最後に転売屋の順番になったその時、
事件が勃発しました。
なんと、ペップは手で振り払う仕草をし、転売屋からのサインの要求を拒否。
そして、かなり厳しい口調で、次のように言ったのです(以下意訳)
「あなた達とは毎日毎日ここで会っている」
「顔も覚えているしファンでも無いことは知っている」
「あなた達のビジネスの為にサインは絶対に書かない」
まるで試合中にウォーカーに怒鳴るように、優勝セレモニー中にスターリングに説教していたように……
ペップは、転売屋にキレたのです。
その場は一気に緊張ムード。
転売屋は完全に面食らっていました。
そんなピリピリした空気をなんとか和らげなければ…
と、勝手に使命感を持った筆者は、とっさにペップの元へ行き、撮り忘れていた写真を撮りに行きました。
しかし、語彙力もない筆者にペップの怒りを収める事は出来ず……
こういう1枚が撮れてしまったわけです。
「Not for business」
ペップが何度も言っていた単純明快なこの言葉は、iPhoneのLive Photosで撮っていた筆者のスマホにしっかり記録されています。
その後もペップが、畳み掛けるようにして同様の言葉を転売屋に言い放つと、彼らは観念し逃げるように退散していきました。
そして最後に、ペップが窓を閉めようとした時に、
筆者が再度声をかけ、感謝と愛を伝えると、小さくグッドサインをしてから車を走らせて行きました。
ペップ…………
よくぞ言ってくれた…………!!
この一連の出来事の直後、心臓がバクバクしていたのと同時に、全身に鳥肌が立ち、涙腺も崩壊しかけるくらい感動したことを今でも覚えています。
日本から来たサポーターの1人として、ファンサをして頂いただけでも十分に嬉しいし、感謝カンゲキ雨嵐なんです。
なのに、ああいう姿を目の前で見て、うまく言葉で表せませんが少し報われたような気持ちにもなりましたし、ペップがシティに来てくれて本当に良かったと、改めて強く感じました。
Cos we've got♪♪
Guardiola, we've got♪♪
Guardiola, we've got♪♪
Guardiola, glad your mine♪♪
俺たちにはペップがいる。こんな最高な監督がいる。こんな最高な男が最高のクラブにいる。
これからも、戦術のことでたられば言わせて貰うとは思うけど、筆者はペップを最後まで信じるぞ。
改めて、そう心に決めた出来事でしたとさ。
ではまた。
*出待ちの場所などについては、お答えしかねます。ご了承下さい