焼肉店の倒産増は原材料費高騰か原因かどうか、RAIDAでサクッとみてたら…
2024年の上半期に焼肉店の倒産が急増したことがニュースになっていました。
原因の一つとして、食肉価格の高騰があげられています。
どのくらい高騰したのか、前回のブログでも取り上げたRAIDAを使っでサクッとみてみましょう。
RAIDAとは「データにより地域課題を捉え、分析・考察することをサポートし、施策目標の達成を後押しするプラットフォーム」で、
日本国内の旅行・観光の消費
物価高騰の影響が大きい品目
地方公共団体のデジタル実装の実例
に特化したデータを素早く抽出することができるサイトです。
前回のブログはこちら↓
■肉類よりも魚介や乳卵類のほうが値上がり幅が大きい
RAIDAでは、品目毎に消費者物価指数の経年推移を見ることが出来ます。
手順は以下の通りです。
物価高騰・円安、を選択
→課題特定に向けた詳細な分析、に移動
→費目大分類を指定する→食料、を選択
→表示地域を指定する→全国、を選択
このように少ない手順で簡単に目的のグラフを作ることができます(簡単ですので皆さんもやってみてください)。
グラフを見てみると確かに肉類の消費者物価指数は増加していますが、魚介や乳卵類のほうがもっと増加していることが分かります。
魚介をよく使うすし店、乳卵類をよく使うパンや菓子店の倒産数についての報道は、焼肉店ほど目立っていません。
なぜなのでしょうか。
他の報道などの見てみると、焼肉店はコロナ渦で出店が相次ぎ、顧客獲得競争が激化したため倒産件数が増加した、とされていました。
では、店舗数がここ数年でどう推移してきたかを確認してみましょう。
■企業数の推移
店舗数はRAIDAから取得できないので、総務省・経済産業省から出ている統計情報を調べました。
また、店舗数の統計は取れなかったので、企業数の統計を取りました。
具体的には、
経済構造実態調査→企業等に関する集計
から、
「経営組織」「0_総数(経営組織)」「企業等数」
を5年分調査しました。
注:2021年は「経済センサス」実施年で「経済構造実態調査」は実施無しなので「経済センサス」からデータを取得しました。
焼肉店とその他いくつかのカテゴリで企業数の推移を見てみることにします。
グラフは以下の通りです。
コロナ禍において企業数が増加したのは、菓子・パン小売業、日本料理店、焼肉店でした。
一方で、すし店はコロナ禍で減少していました。
企業数が増減した比率を見るために、2019年を100とした時の企業数の推移をみてみました。
焼肉店は他業種に比べて目立って企業数が増加したことが分かります。
■やはり焼肉店は過当競争状態だった?
結論として以下のことが言えると考えます。
焼肉店の企業数は他の飲食業に比べて多いとは言えないが、コロナ禍での相対的な企業数の増加は群を抜いて大きい。原材料費高騰が追い打ちを掛け、顧客獲得競争の激化により採算が悪化したと考えられる。
魚介の消費者物価指数の増加によって、すし店は影響を受けているはずだが、コロナ禍で既に企業数は減少していたので2024年時点での倒産数は目立たないように見える。
乳卵類の消費者物価指数の増加によって、菓子・パン小売りは影響を受けているはずだが、コロナ禍で企業数はそれほど増加していないので2024年時点で顧客獲得競争までには至っていないと思われる。ただし、今後消費者物価指数の上昇が続くと危険である。
■おまけ
今回は店舗数を調べるために経済構造実態調査まで調べる羽目になってしまいました。
本当はRAIDAで店舗数まで調べられるとよいのでは思いました。
ただサクッと短期間で現状確認するにはRAIDAはよいツールだと思います。