PayPay決済の店舗で8月から売上が減少するなら原因はこれだ!とその対策
つい先日の5月1日、PayPayがクレジットカードのひも付けを停止することを発表しました。
7月より新規のクレジットカードひも付け停止、8月よりクレジットカードを使った決済が停止されます。
PayPayをクレジットカードにひも付けて使っていない方にとっては何が何だか、なニュースですが、クレジットカード利用組にはインパクト大です。
今までシェア拡大のためイケイケで攻めていたPayPayが、いよいよ利益重視に舵を反転させた歴史的な瞬間と言えます(おおげさ?)。
クレジットカードのひも付けとは
そもそもスマホ決済とクレジットカードがなぜ結びつくか、ですが、PayPayはお金を事前チャージする以外にも、クレジットカードをひも付けて、クレジットカードで決済することが現金チャージと全く同じ使い心地で実現出来ていました。
この場合、利用者側から見ると、以下の点がメリットでした。
PayPay決済に対応していれば、クレジットカードが利用出来ない店舗でも間接的にクレジットカード決済が出来る
クレジットカードに対応している店舗でも、クレジットカードを出す代わりにスマホ画面を出して決済が出来るので、スマホだけ持って出歩けばよい
しかしこの方法は、店舗が本来負担すべきカード手数料をPayPayが肩代わりしているに過ぎず、実態は単なるカード決済なのです。
加盟店がPayPayに払う手数料は、1.6%
PayPayがカード会社に払う手数料は、2%程度(と言われているが未公開)
PayPay側から見ると、得られる手数料より払う手数料が多く、逆ザヤ状態です。
今まではキャッシュレス決済の規模拡大のため、手数料の逆ザヤを許容していたPayPayですが、もう許容しない、という姿勢を示したと言えます。
あるいは、キャッシュレス決済のシェアは十分に拡大したので、これからは収穫フェーズだ、と考えているものと思います。
では店舗はどう対応するか
クレジットカード決済対応の店舗では、PayPayからクレジットカード決済へ顧客がシフトするかもしれません。
では、PayPay決済にしか対応していない店舗はどうすれば良いか、
タイトルに書いたとおり、売上が減るかもしれませんし、変わらないかもしれません。
しばらく様子を見るのも手かと思います。
一方で、これを機にクレジットカード決済を導入するのも良いと思います。
その場合に気になるのが導入にかかるイニシャルコストですが、カードリーダー一体型のモバイル決済端末を提供している決済業者もあり、イニシャルコストは昔に比べれば抑えることができます。
専用の回線を用意しなくても、携帯電話網やWiFiなどのインターネット接続環境があれば、クレジットカード決済が出来るようになっています。
例を挙げると以下の通りです。ついでに手数料も掲載しておきます。
AirPAY:3.24%
Square決済:3.25%
スマレジ:3.24%
手数料についてはPayPayの手数料が1.6%~だったので、2倍以上の手数料となります。
PayPay決済の手数料を払った後の利益率が1.64%に満たない場合、減少した売上高を取り戻そうとして上記のようなクレジットカード決済を導入すると逆ザヤとなります(3.24%-1.6%=1.64%)。クレジットカード決済導入に踏み切るかは個々の判断が必要になるでしょう。
PayPayに代わるもの
個人的には、スマホ決済拡大の動きに逆行することになる今回の件はとても残念です。
この利便性を得るためなら、自ら少しくらいの手数料を払っても良い、とさえ思います。
実はPayPayでも、自身が発行するクレジットカードである「PayPayカード」をひも付けた決済は引き続き使うことが出来ます。
PayPayから見ると、クレジットカード手数料を他社に払わなくて良いので、自社発行カードだけは使えるようにしたのでしょう。
そう考えると、カード会社が自らスマホ決済に乗り出すパターンが増えてくるかもしれません。
あるいは、サブスクまたは手数料形式で、クレジットカードが裏にひも付いた、スマホだけで出来る決済手段を誰かが考えているかもしれません(妥当な手数料なら払いますので、是非)。
利用者、店舗、スマホ決済業者、が必要な手数料を少しずつ支払い、スマホ決済の利便性を支える世界が本当は健全なのかもしれません。
IT系企業に所属する企業内診断士です。