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令和の米騒動に地域差はあるのか【答え合わせ編】

前回のブログで、2024年夏は全国の中では特に九州・沖縄地方米不足が深刻化しているのでは、と書きました。
RAIDAを使って穀類の消費者物価指数を見て、九州・沖縄地方で、穀類の消費者物価指数が全国平均より高い状態になっていることを根拠としました。

ところが、沖縄ではこの夏に米の在庫が十分だった、との報道がありました。
前回の私のブログは逆のことを書いてしまっていますね…すみません。

記事の中では、沖縄県の特徴として以下の点があげられていました。

  • 旧盆の7月13日~15日で、沖縄県ではお中元として米を送る習慣がある

  • 沖縄の米卸業者は在庫切れを恐れ、赤字覚悟で買い足ししていた

消費者物価指数が高い=米の在庫切れ、ということではなかったのです。

さて、前回のブログでは米騒動がひどかった8月のデータは出せていませんでした。
理由は、RAIDAのデータは翌月末に最新データに更新されるため、9月初旬のブログに8月データが間に合わなかったからです。

では改めで、8月の沖縄県の消費者物価指数を見てみましょう
例によって、RAIDAは米単独のデータは出せないので、穀物の消費者物価指数を出しています。

本ブログの出典は以下の通りです。
出典:RAIDA『物価高騰・円安』を加工して作成(2024年10月16日に利用)

沖縄と全国の比較:水色=沖縄地方、オレンジ色=全国

水色が沖縄地方で、オレンジ色が全国の消費者物価指数を表しています。
7月までは沖縄地方が全国よりも高く推移していたのですが、8月については全国の消費者物価指数と沖縄地区の消費者物価指数はほぼ同じ値です。

沖縄地方が先行して穀物価格が上昇し、その後、全国の穀物価格が追いついたように見えます。

沖縄県で何が起こっっていたのでしょうか。

先ほどの旧盆の米需要に関する報道と合わせて考えてみると、次のことが言えるのではと思います。

  1. 米の卸業者が旧盆に向けて在庫を積み上げるため、沖縄県では6月から7月には米需要が高まる

  2. 沖縄県の7月の消費者物価指数が高くなる

  3. 旧盆が終わった8月には沖縄地方の米需要はひと段落

  4. 全国的には8月に米不足が悪化したが、沖縄県では米の在庫は潤沢だったので、価格は横ばい、かつ、米不足にはならなかった

■ 8月の消費者物価指数を見てみる

沖縄だけでなく、8月のRAIDAデータが出たので、全国各地域の消費者物価指数のグラフを出しなおしてみます。

まず、全国の穀類の消費者物価指数の推移を見てみます。

穀類の消費者物価指数の推移

8月の穀物の消費者物価指数の高騰ぶりはすさまじいですね。

次に、消費者物価指数が地域ごとに差があるかどうか見ます。
そのため、全国の消費者物価指数と各地域の消費者物価指数の差をグラフ化しました。
グラフでは、地域ごとに、2019年1月から2024年8月までの全国値からの差を出し、その平均値と標準偏差(σ)を計算し、±2σの線を重ねています。
±2σの点線より上下にはみ出していたら、統計的には普段と違ったことが起こっていると言えそうです。

全国10地域の穀物価格の全国平均からの乖離

8月は、近畿地方が平均からの乖離がプラス方向に大きくなっています。
米の価格上昇は、近畿地方が特にきつく、これが全国平均を押し上げる要因になっています。

9月になって新米が出回るようになり、米不足は解消されたと言われています。
しかし、米の価格は高いままで戻っていない、なんて声も聞きます。

新しいRAIDAデータが出たら、また見てみたいと思います。


IT系企業に所属する企業内診断士です。