一級建築士設計製図試験を突破できる解法と実際に使用したおすすめ製図用具
一級建築士設計製図試験を突破した実際に行っていた解法やポイント、
製図用具などをまとめていきます。
決まった解き方を見つけられていない方、製図の見落としを無くしたい方、これから一級建築士を目指される方などの学習の参考になれれば幸いです。
実際に持ち込んだ製図用具
実際に持ち込んだ製図用具をリストアップします。
1つ1つはシンプルな製図用具ですが、いざ自分で選ぼうとすると種類が多すぎて悩んだりする方も多いのではないでしょうか。
筆者はかなり悩みました・・・
そんな方のために、細かな特徴と選ぶ際のポイントを書いていきます。
製図ペン
設計製図試験の中で一番メインの文房具です。
実際に使用していた製図ペンはステッドラーの925 35シリーズです。
手持ち部分に滑り止めがあり手汗で滑らないようになっている点や、アルミ製で耐久性に優れている点が良くとてもおススメです。
太さについては事項でまとめていきます。
テンプレート
ポイントは①3mm~5mmの正方形があること、②直径4cmの円があることです。
3mm~5mmの正方形は柱を描く際に多用します。
そして、直径4cmの円は「直径8mの円が1つ入るスペースとする」という指定に対して作図表現するのに使用します。
三角定規
小さいサイズのポイントは①直角線を15cm程度引けること、②角度のバリエーションがあることです。
大きいサイズのポイントはとにかく長い直角線が引けることです。
ちなみに、三角定規につけるフローティングディスクは使っていません。
フローティングディスクで少し浮いた定規で線を引いた時に、1mm程度のズレが気になり、作図速度がロスしたためです。
マーカー
筆者は3色(ピンク、オレンジ、イエロー)で色分けしていました。
具体的な引き方について「問題文の色分けとマーカーの読み取り」でまとめているので、こちらも参考にしてください。
三角スケール(30cmサイズ)
本番中の出番はかなり少ない文房具ですが、主に避難経路の歩行距離を確認する時に使用します。
少なくとも20cm以上は欲しいかなというのが実際に使って分かった感覚です。
また、大きめのサイズの方が本番中に文房具の中から見つけやすいメリットがあります。
その他、作図練習で隣地境界線、道路境界線を描く際に30cmサイズの方が1回で描ける点も地味なメリットです。
ドラフティングテープ
製図用紙を仮止めするドラフティングテープは幅12mmのものを使用していました。
これで特に不便に感じたことは無かったです。
ちなみに、マグネットプレートは使用しませんでした。
製図用紙がずれることがあったからです。
フリクション(黒、0.5mm)
個人的にダントツでおススメの文房具です。エスキス時に使用します。
使用場面やポイントは「実際に使用してよかった文房具」で詳しくまとめます。
ボールペン(赤)
エスキス時に使用します。
マーカー以外に注意すべき点や、延焼ライン、動線計画などを問題文に直接書き込む用として使用します。
消しゴム(一般的な長方形タイプのもの)
一般的なもので問題無いですが、おススメしないのはペンタイプの細長い消しゴムです。
ペンタイプのものは綺麗に線を消せないことが多いので、使い慣れた綺麗に消せる消しゴムを使用していました。
ちなみに、字消し板は使用していません。
字消し板を使用しても周囲の線を書き直すことが多いので、その分時間のロスに繋がったからです。
製図ペンの太さは何が良い?
使用頻度が最も高く図面の印象がガラリと変わる製図ペンですが、筆者が使用していたのは0.7mmと0.5mmの2本です。
時間がもったいないので1本で良いのではないかという意見もありますが、上記の使い分けだとペンを持ち替えるタイミングも少なく図面のメリハリも出せるので、おススメです。
太さは0.5mmであれば芯が折れずにしっかり描ける細さだと思います。
そのため、0.5mmを基本としメリハリを付けたい部分は0.7mmと少し太めのものを使っていました。
また、作図の際には芯の濃さで差をつけてメリハリを出すことも意識していました。
一方で、3本以上を使い分けるのは時間のロスも大きくなるので、おススメはしません。
実際に使用して良かった文房具
冒頭部分で少し紹介しましたがフリクションは特におススメです。
ポイントは次の通りです。
エスキスには基本的にフリクションを使っていました。
1/400のスケールで下書きでプランを検討する際には柱位置やグリットはフリクションで描き、プラン(要求室の当てはめ)はシャープペンを使用することで、消しゴムを使っても柱位置やグリットは消えなくなり時間短縮に繋がります。
文字を消す際の手間や汚れも無くなるので、製図試験には必須だと個人的に感じています。
問題文の読み取りとマーカー色分け
使用するマーカーは3色(ピンク、オレンジ、イエロー)です。
使い分けをまとめます。
問題文はまっさらな気持ちで内容理解に重点を置いて読む1回目、
1回目の確認のために読みながらマーカー(イエロー、オレンジ)を引く2回目に分けて読み解きます。
ここで読み落としてしまうと、この先の手順が全て水の泡になってしまいます。
個人的には時間をかけても良いと思っているくらいなので、慎重に読んでいきましょう。
読み取りの時間の目安は20分前後です。
エスキスの流れ
受験者の中でも人それぞれ大きく手順や考え方が異なってくるのがエスキスだと思います。
手順に正解は無いですが、自分の決まった手順で進め、どんな問題が出ても正確に正しくプランを完成させることが重要になってきます。
筆者が実際に行っていたエスキス手順をまとめます。
1の手順はエスキスに入る前の下準備のようなものです。
「動線計画」では問題用紙に書かれている敷地図に主要となるアプローチ、通用口の方向を記入したり、要求室同士の関係(例えば直接行き来できるようにするなどの文言)を矢印等で整理します。
この段階で、計画する建物の構成や全体像が理解できることが目標です。
2の手順では1でイメージしたものを具体化していく作業です。
基本的には①~⑤の順番に沿って進めますが、行ったり来たりすることがほとんどなので、トライ&エラーを繰り返して整合性をとっていくようにしましょう。
3の手順では5mmのグリットを利用して、要求室を当てはめていきます。
(5mm四方のグリットを実際の7m×7mや7m×8mのグリットとして考えます。)
ここで重要なのは、基準スパンに関係する寸法は頭に入れておくようにすることです。
例えば7m×7mの基準スパンであれば49m²,半分の24.5m²,廊下をとると35m²といった数字です。
それから、階段やエレベーターなどの縦動線、トイレなどは1マス(40m²~50m²)として考えていきましょう。
第一案で上手くまとめるのは難しいです。
1つのパターンだけでなく複数のパターンを考えるようにしましょう。
3で大まかに要求室を当てはめた後は、4の手順で細かな調整をしていきます。
1~3の手順が上手く出来ていると1/400の下書きで困ることは少なかったです。
見落としがなくなる作図手順
どんなに上手くプランが完成しても作図で必要事項を記入しないと減点、失格に繋がります。
こちらもエスキス同様、手順に正解は無いですが、自分の決まった手順で進め、正確に正しく図面を完成させることが重要になってきます。
筆者が行っていたおススメの手順をまとめます。
他の受験者と比較して「要求室名を記入」するタイミングと「縦動線を記入」するタイミングが特に変わっている点かと思います。
「要求室名を早めに記入」することで、問題文の室名を全て記入したという安心感が得られます。
この安心感が想像以上に大きいです。
全て描き切った後に見返して、要求室が足りない!と焦ることも自分が思っている以上に経験します。
そのような事態に備えて早めに書いておくことをおススメします。
細かいですが、要求室名を記入する際に問題文の上から順に書いていくことも、見落としを減らすポイントです。
また、「縦動線を早めに記入」しておくことで階段位置の不整合や段数不足などのミスがなくなります。
階段は最もミスを起こしやすいポイントの1つでもあります。
早いタイミングで落ち着いた状態のときに描いておきましよう。
最後にはしっかりと見直しをしましょう。
筆者は目視確認ではなく指差し確認くらいに過剰に行っていました。
人間が作図しているので必ず見落としがあります。
その見落としをいかに減らせるかで合否が決まります。
まとめ
一級建築士設計製図試験で実際に行っていた解法やポイント、製図用具などをまとめてきました。
時間が長く決して簡単ではない試験ですが、やった分だけ力がつく試験だとも思っています。
これから受験される方、一級建築士を目指される方、製図試験で伸び悩んでいる方などの参考になり、良い結果の一助となれれば幸いです。