自粛期間中に"国際特許"を出願してみた。
こんにちは、みなさん。
アローサル・テクノロジーの佐藤です。
この自粛期間中の目標であった"国際特許"を先日無事出願できたので、今回は、そちらの内容をまとめたいと思います!
弊社で出願したのは、チャットボットに関する特許です。
詳しくは、別の機会に!
そして、今回の国際特許をお手伝いしていただいたのは、スタートアップの知財の専門集団である「iPLAB」さん。代表の中畑さんと直接やり取りさせていただき、親身になってご対応いただきました。
そして、そんなiPLABさんをご紹介いただいたのは、マスターマインドビジネスコミュニティ主宰の土橋さんより。
マスターマインドビジネスコミュニティとは...
オープンイノベーションのプラットホームとして、スタートアップと大企業、自治体、大学をむず日、社会課題の解決に貢献することを目的としています。H31.4の段階でメンバー約1100名の巨大コミュニティです。
私もこちらに参加させていただいてます!
いつも大変お世話になっております、ありがとうございます!
ということで、前置きが長くなってしまいましたが、国際特許出願についてまとめていきます!
※本記事は、【専門化】にチェックいただいておりますが、私の一意見や見解も入っておりますので、その点ご了承ください。
それでは、どうぞ!
1.なぜ、特許が必要なのか?
私はどちらかというと「アイディアに価値はない」派なので、何でもかんでも特許を取ればいいというわけではないと思います。
事業と特許の良いサイクルができてこそ、価値が発揮されます。
任天堂は、多くの特許をとっていますが、彼らは業界全体のことを考え、健全化できるように知財コントロールしていると聞きました。力の行使ではなく、そういったことにも使われていると聞いて、感動したのを覚えています。
特許自体の強みは「攻め」と「守り」が同時にできることです。
下記に活用方法や、スタートアップ向けのメリットをまとめました!
<特許の活用>
・技術の差別化で、営業や、マーケティングツールに使うことができる!
・参入障壁を法的につくり、抑止力の期待ができる!
・ライセンス化することで、収入源にすることもできる!
・知財がしっかりしている会社というブランドにもなる!
<とりわけスタートアップが享受できる特許のメリット>
・スタートアップが攻める新領域について他社の参入を許さない(又は参入を遅らせる)ことができる!
・参入を許すかどうかのバルブとして利用することで、マーケットサイズをコントロールすることができる!(→結果マーケットが荒らされない)
・上記のような優位性をステークホルダに根拠をもっとて説明できる!
2.PCT出願(国際特許出願)とは?
今回私がチャレンジしたのは、PCT出願と言われる出願方法です。
特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願とは、ひとつの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。
国内出願を行い審査結果を見てから、PCT出願というパターンもありますが、最初からグローバルを考えてPCT出願で行うこともできます。(「ダイレクトPCT出願」という)今回は、こちらでチャレンジしました。
ある発明に対して特許権を付与するか否かの判断は、各国がそれぞれの特許法に基づいて行われます。特定の国で特許を取得するためには、その国に対して直接、特許出願をしなければなりません。
国内出願を行い審査結果を見てから、PCT出願というパターンもありますが、最初からグローバルを考えてPCT出願で行うこともできる(「ダイレクトPCT出願」といいます)
そういった手間や煩雑な作業を簡略化し、一本化してくれるのが、このPCT出願です。より詳細な概要は、特許庁のページに書かれていますので、下記からどうぞ!
3.PCT出願の強み
PCT出願の強みは、以下です。
1.1つの言語(母国語)で出願可能
2.PCT加盟国全体で保護される ※2020年1月2日で153ヵ国
3.特許出願国への手続きは、30ヶ月以内に行えば良い
4.国際調査が行われ、フィードバックがもらえる
3と4に関して関して補足します。
出願し受理された後は、実際に特許を取得したい国を選定し、係属されるための手続きが必要となります。PCT国際出願を行うだけでは特許権の取得にはなりません。最後の手続として、国際出願を各国の国内手続に係属させるための手続が必要です。
その手続き猶予が、30ヶ月ということです。
これ、すごくないですか?
30ヶ月の猶予の真のメリットは、
・その間に、同様や近しい内容を出願したとしても、保護される
・海外への移行(現地代理人への支払い)を先送りするとができる
・国際調査の結果を吟味して内容の修正や出願国の選定を行うことができる
・これらのメリットを先願権を確保したままで30か月留保することができる
ということなんです。改めていいます、すごくないですか?
また、上記にもあげましたが、PCT出願時には、国際調査が行われます。
その発明が進歩性、新規性など特許取得に必要な要件を備えているか否かについて審査官の見解も作成されます。
それらの結果は、出願人に提供されますので、出願人は、自分の発明の評価をするための有効な材料として利用することが可能なんです。
これも非常に有効なカードですよね!大変面白いです。
4.特許取得までの流れと予算感
ここからは、実際に出願までの流れと予算感です。
PCT出願のすごさは、ご理解いただけたと思います。
そうなると、「やっぱりお高いんでしょ〜?」と思われる方もいます。
実は、出願にはステップがあり、そのステップ毎での支払いになります。
しかも、ベンチャーの場合、割引が適用になったり、国の補助金の対象になったしります。
詳しくはここでは割愛しますが、「令和2年度中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金(中小企業等外国出願支援事業)」というものがあり、外国出願に要する費用の半額を補助するという制度もあります!
何から何まで助かりますね!
それでは、流れです。
<特許取得までの流れ>
Step1.
特許の相談と、ヒアリング(1、2回)
↓
Step2.
特許取得可能性の調査と評価(1週間程度)
↓
Step3.
特許申請書類の作成(2週間〜1ヶ月)
↓
Step4.
国際出願(PCT出願)
↓
Step5.
国際調査報告(特許性に関する見解書)(約3ヶ月)
ここで、新規性や進歩性に関する結果がわかる
↓
Step6.
日本、米国、、、その他の国に出願(国内移行)
このとき、国際調査報告の結果に基づいて内容の修正が可能
↓
Step7.
各国での審査
↓
Step8.
特許取得
ベンチャー軽減の入った場合での予算感ですが、上記のStep1〜8まで、すべて対応となった場合で、約75万円(税別)くらいの金額となります。内訳は下記です。
<Step毎の金額>
Step4:出願時に、約42万円
Step6:国内移行時に、約2.5万円
※書類修正が必要な場合は、別途6万円
Step7 :審査請求時に、約6.5万円
※拒絶対応が必要になった場合は、別途12万円
Step8:特許査定・登録時に、約4.5万円
初期で約42万円必要となりますが、国内移行時までに、30ヶ月の猶予があるため、その後のステップは、事業の状況に合わせて進めることが可能です。
最悪の場合、事業が上手く行かなかった場合の撤退戦略として、「特許を取得しない」という判断も途中で行うことができます。
企業力を上げる一つの手段として、特許取得を視野にいれてはいかがでしょうか?
5.おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は、「国際特許出願」に関してまとめさせていただきました。
私も、ベンチャー企業を経営している身なので、攻めと守りの戦略は常に考えています。
今回の国際特許は、攻めにも、守りにもなる優秀な武器です。
特許は金額が高い、難しいというイメージがあるかもしれませんが、今回の記事を通して少しでも身近なものに感じていただければ幸いです。
それでは、また!
番外編.商標/特許が取得されているか簡単な調べ方
これ、意外と知らない人多いので、共有しておきます。
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