筐体設計のお仕事1 〜概要〜
【自己紹介】
初投稿となります。筐体設計屋のたくわんです
4年くらいTier1メーカーで車載部品の筐体設計をしていました。
(車載部品といっても色々ありますがエンドユーザーから見える部品です)
過去5つの車の部品設計に携わり、
内2つは主担当として初期の企画から量産まで担当しました。
どの仕事もそうかもしれませんが、
筐体設計という仕事が実際どのような流れで、
どのような知識が必要なのかがわかりづらい部分があると思います。
なので経験は浅いですが得た知見を共有し、
少しでも同じ境遇の方の助けになれば幸いです。
この筐体設計の記事は全7回程度を予定しています。
今回はばくっと仕事全体の話をしようかなと思います。
【出てくる分野/スキル】
基本扱っていた製品が樹脂製品(要はプラスチック)なので、
それに関連した分野となります。
またスキルは3D CADや、
上述の樹脂製品の製造工程の知識(射出成形)になります。
・分野:プラスチック製品の筐体設計、射出成型
・スキル:3D CAD、射出成形金型
【仕事の流れ】
筐体設計の大まかな仕事の流れは以下のようになります。
お客様と仕様会議 > 3D CADでの検討 > お客様とすり合わせ >試作>
社内調整(DR等) > 試作 > 最終チェック > 出図
<お客様との仕様会議>
まずお客様との仕様会議で、車のコンセプトやデザインやどのようなモノを作りたいかを説明頂きます。
お客様が目指している姿と、自分たちが動こうとしている方向性に相違がないか、慎重に確認します。
<3D CADでの検討>
頂いた情報を元に、3DCADを用いて形状データを作っていきます。
私が担当した製品では、頂いたデザインデータと寸法の制限情報(奥行きや周りのパーツ)等から中身の形状を作っていました。
<お客様とのすり合わせ>
作った内容を元にお客様と再度打ち合わせを行います。
ここでデザインの修正が入ったり、隣り合う他の部品がもっと自分たちの製品に近づいたり、新しい宿題を頂きます。
<社内調整(DR等)>
何度か検討とすり合わせを行った後、試作を行い、社内でDR(デザインレビュー)が実施されます。
DRとは設計・製造・品質・知財・購買など、各部門が集って様々な観点から仕様が成り立っているかを確認する場です。要所要所で合計3回くらいやります。
DRが一種の「山場」で、これに向けて設計は検討・資料作り・根回しを、お客様とのやり取りと同時進行で行います。
<試作>
そしてまたお客様とのすり合わせも行いつつ、最終的な試作を行います。基本ここから大幅な変更はありません。基本は…。
<出図>
最終の試作品を見て微調整をし、図面やデータに間違いが無いかをお客様・社内で確認し出図となります。これで金型の製作がスタートします。
基本的にはこのような流れですが、突然の仕様変更やトラブルなどで行ったり来たりします。(納期は基本変わりません。)
また出図後も試作立ち合い確認したり、出てきた不良から設計変更したりします。
役職付きになると、受注段階の試作・プレゼン、新技術の採択検討、重要トラブルの対応なども担当するようです。
【筐体設計の1日】
基本的に検討は全て3D CADを使います。
車載だと「CATIA」というソフトが多いかもしれません。
お客様とのすり合わせから出た課題をCADで検討、必要あれば工場へ確認、またすり合わせして…の基本繰り返しです。
また打合せ時、実物があった方がわかりやすい場合は手元にあるもので簡単な試作をしたりもします。
どの作業が1番多いかと言うと、人によるかもしれませんがモデリングだと思います。
一回構想が決まれば一気に作り込むだけですが、あーでもないこーでもないと悩み始めるとどんどん時間が過ぎていきます。
そのへんのお話はまた次に…
【おしまい】
今回、車載系筐体設計の仕事概要をお話ししました。貴重な時間を使って、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。