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「DNAに刻まれたリズム感」という大きな誤解

始めに、グルーヴやリズムについての僕のスタンスとして『「100%こうである」ということはほとんど言えない』ということを言っておきたいです。

音楽が、人間の脳みそを通して処理されてる以上は全て感じ方の問題であって、真実かどうかというのは誰にも証明のしようがないからです。
その上で、限りなく近づいていく方法はあるはずだと考えています。
点々と1つずつ考え、点と点を地道に結びつけていく方法でグルーヴについて理解していこうとしています。これは相当気が遠くなりそうなことなので、僕が知った点々を、皆さんに共有していきたいんです。

そもそも"グルーヴ"という言葉、概念は黒人たちが使っているものであり、その感覚全てを全く同じ様に理解することは不可能だと考えています。黒人と僕たちは生まれた環境や、文化の違いによりリズムに対する捉え方の前提が日本人とは全く違うからです。
その"感覚"というものを100%理解することは不可能だと思っています。(というか100%理解したと証明することが不可能だと思います。)

黒人のリズム感、黒人の音楽、などなど色々言われていますがその中でも
"リズム感がDNAに刻まれている"という類の話をよく耳にすることがあります。"その人種の遺伝子に染み付いている特有のリズム感"
僕は個人的に、こういう話を信じていません。

もしも遺伝子にそれぞれの人種特有のリズムが刻まれているとして(それはそれでロマンがあるかも知れないですが)、
それでも圧倒的に、生まれてからの生活・文化・音楽の環境による影響が大きいと思います。全ての黒人のリズム感が良いわけでもないですし、全ての日本人のリズム感が悪いわけでもないと思います。

日頃耳にしているもの、目にしているものから受け取っている影響というのは自覚しずらいですが、本当に馬鹿にできないです。

このリズムDNA神話で同様に聞くのが
"日本人はリズム感が悪い"
というような話ですが、この話も嘘だと思います。あんまり無責任にこういうことを言うべきでもないと思います。(適当に理解しようともせず、決めつけた発言をする人たちがいて、それが常識になってしまっていることには憤りすら感じます!)

黒人たちの概念である"グルーヴ"というのは遺伝ではなく「感じ方のルール」なのではないかと考えています。共有しているルールが違うのです。

「同じドラムやベース、ギター、キーボード、同じ楽器を使って演奏している」という点だけを見たら同じルールで演奏しているのかと勘違いしています。
これは例えるなら「この言語はアルファベットを使っているし、Helloと言っているから英語だろう」と決めつけていたが、実は全然違うルールを言語だった、という感じだと思うのです。伝わっていますでしょうか?

恐らくは感じている部分、楽しみ方、もっとお堅い言い方をするなら評価基準が違った所にあるんです。

音楽ジャンルにもそれぞれの楽しみ方・旨味があるように、黒人たちの言うところの"グルーヴ"というルールがあります。


ルールが違うのに「グルーヴを知らない」というだけでリズム感に劣等感を感じる必要はないでしょう。
「日本人ってスワヒリ語話せないよねー」と言われているのとあまり変わりはない気もします。スワヒリ語を聞く環境でもなく、話す環境もなければスワヒリ語が出てくることはありません。しかし、スワヒリ語に関心を持って学んでいけば日本人であっても関係なくスワヒリ語を話すことができるんです。

(グルーヴと言語は似てる部分もありますが、違う部分もあります。これはあくまで例え話です)

パイナップルをデザートとして食べるのか、それとも酢豚に入っている具として食べるのかではパイナップルの印象が変わってきます。
同じ音楽を、違うルールで共有しているんです。

"Groove"という概念を100%理解することが出来ない以上は憶測で定義しない方が良いでしょう。定義すると間違った方向に突き進むリスクがあります。というか完全に言葉で表現するのは難しいものです。
(生活、自然、文化、歴史、宗教観、あらゆる根底にある前提も違うことを一つ一つ考えていくのはあまりにも気が遠くなる話です。)

それでも、同じルールを用いてその音楽でコミュニケーションをとることは出来るはずだと信じています。

そしてルールが違う以上、僕たち日本人が劣等感を感じる必要もないです。グルーヴというものは黒人たちが共有するルールです。そのルールを、黒人以外の人種たちが共有することもあります。

"ブラックミュージック"というと「黒人だけが持つリズム感の音楽」という印象を与えてしまって、それがDNA神話に繋がってくるんだと思います。
僕がこれから使う"ブラックミュージック"という言葉には
「元々は黒人たちが共有していたルールを用いた音楽ジャンル」という意味を込めていきたいと思います。

結果的にブラック・ミュージックをプレイするのは黒人が多くなってしまっているので、"黒人の持つ独特のリズム感"という印象が強くなってしまっています。
ルールが違うんです。
これは抽象的な話ではなく、具体的に違うんです。

日本でも、グルーヴを探究している人は多いです。その多くの人たちが、言葉で「グルーヴとは…」と定義しようとしているように感じます。
僕は思うのです。現地の黒人たちが、子どもの頃に大人たちから「グルーヴとは…」と、言葉で教えられたでしょうか?
当の黒人たちも、言葉でグルーヴとはこうである、と100%説明することは出来ないはずです。感じたままに身体を動かして、いつの間にかグルーヴというとのを体現していたのではないでしょうか?そもそも言葉では表せないものなんだと感じています。

その一方で、「グルーヴにはこういう性質があるよ」とか「こういうのはグルーヴとはちょっと違うよ」みたいな、部分的なことは言えるんじゃないかと思います。
この部分的な、"点"をひたすら集めていくことが、グルーヴの理解を深めることに繋がるというのが僕の考えです。

僕の考えではグルーヴというものは、広く大きく、たくさん聞いて感じて
「なんとなくボンヤリと全体像を理解していく」ことが重要だと思っています。

部分的に見るのではなく、全体的に見る大きな視点が重要です。
僕自身も、noteの文章だけでそれをどれだけ説明できるのかは疑問ですが、伝えられることは伝えていきたいと思います。

「これがグルーヴだ!」と決定的なことは言えなくても
「これらからはグルーヴを感じる」ということは言えるので、僕がグルーヴがあると感じる音楽のプレイリストをYouTubeチャンネルの方で作りました。

グルーヴがあると感じる+僕の好きな音楽です。
再生リストの"Takt Select MUSIC🚀"というMIX LISTです。随時更新する予定です。
https://youtube.com/@takutonishihira?si=Bzdpri_bNJ-ddSff

これらの共通する印象から、グルーヴってなんだろうということを少しずつ感じ取ってもらえたらと思います!

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西平匠杜 / Takuto Nishihira








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