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スペインイメージのアンダルス化

Hola!

今回は文字ばかりだし、少し難しい話題なので興味がある人にだけ読んでいただけたら幸いです。
あと先に断っておくのですが、これは論文ではないので正確さを欠くと思います。間違いがあれば指摘していただけると幸いです。


皆さんはスペインと聞いて何を思い浮かべますか?「情熱の国」、闘牛、パエリア、フラメンコ、サッカー…
イメージとしてたくさんのものがあると思います。サッカーはバルセロナやレアルマドリードのように具体的なイメージがあると思います。サグラダファミリアはバルセロナオリンピックで有名になりましたね。このように具体的なイメージがつくものは割と都会の街に集約されています。
ではアバウトなイメージはどうでしょうか。「情熱の国」とかスペイン料理を代表してのパエリアとか…本当にそのイメージはスペインなのでしょうか?

そもそもスペインとは何かを論じなくてはなりませんね。スペインはカタルーニャ、アラゴン、ナバーラ、リオハ、バスク、カンタブリア、アストゥリアス、ガリシア、カスティーリャ・イ・レオン、マドリード、バレンシア、ムルシア、カスティーリャ=ラ・マンチャ、エストレマドゥーラ、アンダルシア、バレアレス諸島、カナリア諸島、セウタ、メリリャの地域を総称してスペインといいます。まあ、日本の都道府県みたいなものです。その中で公用語として、カスティーリャ語、カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語の4つを採用しています。
これがスペインの概要です。

そして重要なのはスペインの歴史に唯一ヨーロッパでイスラームに支配された国であるという要素があることです。(ポルトガルはその後スペイン領ポルトガル伯であったためこのような表記にしています。)北部のカンタブリア山脈まで追い詰められたキリスト教勢力がコバドンガの戦いを始めとする「レコンキスタ」で700年掛けで土地を奪還した話は歴史の授業で習うでしょう。その最後の舞台がアンダルシアはグラナダ。世界遺産のアルハンブラ宮殿。ここを無血開城しキリスト勢力の最前線に戻りました。

そのため私がグラナダを訪れた際、アフリカのような雰囲気を感じました。マドリードやアリカンテとはまた違う雰囲気を。まさに異国に迷い込んだような…でもどこかヨーロッパも感じる。不思議な土地でした。

これが今日の鍵です。

話はスペインのイメージに戻って、スペインと聞いて連想されるものはどこから来たものでしょう。
例えばパエリア。ヨーロッパは小麦が主流。あの食べ物はイスラームが持ってきた米を使っているのです。発祥はバレンシアですが、南ですね。
フラメンコ、これはヒターノというジプシーがしていたものでアンダルシアが発祥のようです。
闘牛。これは起源はギリシアとかローマとか色々な説があるみたいですが、スペインへはムーア人が伝えたようで、これもイスラームから伝来したもの。

このように僕らがぼんやりと浮かべていたスペインって起源がイスラームとかアラブとか、そこから伝来したものが多いようです。

ではなぜスペインのイメージが非ヨーロッパ的なのか。別にヨーロッパ諸国と同じようなものはあるのになぜこんなにイスラーム発のものがイメージとして定着しているのか。

ここからは考察になります。
原因としてはいわゆる今の意味での「旅行」が始まる19世紀にスペインの国力が落ちていたことが挙げられます。そのため、先進国であったフランスやイギリスにとっての見世物であったことがこのイメージに大きく繋がっているのではないかということです。フランスやイギリスにとってヨーロッパ的であるものは興味の対象外であったために、スペインのオリエント的な要素に惹かれた。ジャポニズムとして知られるように、パリ万博から本格的に始まったオリエンタリズム。そこに近くて比較的安全に行けて、尚且つオリエントの雰囲気を纏っているスペインは英仏にとって観光の対象として格好の的だったわけです。
オリエンタリズムについてはエドワード・サイードさんの本を読んでください。
そうして非ヨーロッパの烙印を押されたスペイン。しかし、世界が大戦を迎え、スペインはフランコの台頭から近代化。ヌエバ・エスパーニャを掲げヨーロッパの仲間入りを目指していました。フランコの死後10年でEUに加盟し、晴れてヨーロッパの仲間入りを果たしました。そのため、現代の我々から見るとヨーロッパなのに非ヨーロッパ的な国として存在してしまっているというのが一つの仮説です。

結局は先進国である英仏からの印象が今も根強く、そしてそれをまた珍しいものとして観光する人が多いため現在も続いている企業戦略というところも大きいでしょう。

スペインは一つの国として見るには場所によって違いすぎる国でもあります。内陸は寒いし、雪も降るし、国民性として明るいかと言われたらそうでもないし。まだまだ僕自身スペインという国のことを1%くらいしか知らないとも思うのでもっといろんなところに行って、いろんな人と関わって、よりスペインという国の本質を知りたいと思います。

結論としては、スペインのイメージがアンダルス化しているのは、非ヨーロッパとしてのスペインの部分にもの珍しさがあったからではないかということです。

北スペインに行ってそのイメージも今後綴りたいと思います。

Hasta luego

参考文献

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