吉村食ぐ人 #026 決戦前夜のペヤング
15年前に東京という街に住み、11年前に東京という街から離れた。
自分の人生において東京へ遊びに行くことはあっても、住むことはないだろう、と漠然と思っていた10代。
それが今となっては東京に住んでいた4年間が幻だったのではないかと思うぐらいだ。
4年間の思い出は多岐に渡る。
当時のTwitter(現X)の投稿を見るといかに青臭く、青さの濃さが比例して顔が赤くなる。
こうした4年間の日々を綴ったエッセイもあるが、それすらも恥部を曝け出しているようである。
4年間の始まりは受験である。
入試のために東京の八王子のビジネスホテルに宿泊した。
大学の所在地が小金井市にも関わらず八王子のホテルに宿泊したのはあまりに東京に対する知識が不足していたからであろう。
東京でどうしても食べたいものがあった。
それが、ペヤングだった。
北海道にはペヤングが売られていない。
テレビなどで見るペヤングに憧れを抱いていたのだ。
入試前日。
僕はペヤングをホテルで食べた。
北海道ではメジャーのカップ焼きそばである「やきそば弁当」よりもスパイシーだ。
そうか。東京ではこれがメジャーなのか。
記憶が曖昧なのだが、その時、ドミノピザも頼んだ気がする。
入試前日に食べるものではない。
あまりにヘビーだが、1人東京で過ごす夜に背徳感をもたらしてくれた。
最近、ペヤングを食べていない。
またいつか、久々に食べてみよう。
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