8章:お客さんがいなければ、満足度は上がる。
今までは、組織づくりの話や、プロジェクトマネジメントの話をしてきましたが、この最後の章では、「満足度を上げる方法」というテーマでお話していきます。
いくら完璧にコンテンツを作っても、集客を達成しても、きてくれた人たちが来て良かったと思ってくれなければ意味がないですよね。また、満足度が低いイベントは、次に繋がりません。
そのため最後に、どうすれば満足度が上がるのかという話をしていきます。
1. 期待値デザイン
まず、イベントの当日までにできる、イベントの満足度を上げる方法のお話です。それは、お客さんの期待をデザインする事です。これは、期待値をあげることではありません。確かに、期待をしてもらわないと、申し込みはもらえません。しかし、むやみやたらに期待値をあげてしまっては、期待と現実とのギャップに満足度は下がりまくりです。
そうではなくて、期待してほしいことには期待をしてもらい、逆に理解をしておいてほしいことは、正しく理解してもらうことが必要です。
これを期待値のデザインと呼んでいます。
無人島120人キャンプの場合、「無人島は綺麗な海があって、壮大な自然があって、映える写真が撮れて、美味しいBBQができて、、」といった妄想を持って、申し込んでくれた方も多かったので、期待値には特に注意しました。実際は、蒸し暑い中、お風呂にも入れず、用意されたご飯が出てくる訳でもない、虫だらけの生活が待っているのですから。
期待値を正しくデザインして、「無人島は過酷な場所だけど、自由な場所だ」と正しい期待値にすることが必要でした。そのために、イベント当日までに、参加者さん達のライングループを作り、イベントが近付くに連れて、サバイバル情報を発信していったり、注意事項を発信していきました。
例えば、「当日の熱中症予防に、キャンプの前の1週間は、ずっとエアコンの利いた部屋にいるのではなく、暑い外に運動に行くようにしましょう。」といった内容や、「火のつけ方講座」などを発信しておりました。このように、期待値をデザインしていました。コツとしては、ネガティブな言葉がけはしないことです。内容を工夫することで、過酷な環境であることを暗に伝える視点を持って、内容を考えていました。
そうすれば当日までに、正しく期待して、参加者さんが来てくれますし、その期待に応えることで、高い満足度を得られます。
2. 不安への先打ち
これは、イベントまでもそうですし、イベント中もそうです。不安な事を、先に参加者さんに尋ねられてはいけません。相手の不安を想像して、絶対に先にこちらから手を打ちましょう。それができれば、満足度は大きく上がります。
例えば僕たちの場合、無人島にくるのは初めての人ばかりなので、持ち物や服装なんて全くわからない人が多いと思います。これを、「服装とかってどうすればいいですか?」と先に質問されてはいけないのです。もしされてしまった時は、想像力のなさを反省しましょう。少し相手を想像すればわかることです。
ですが逆に、「服装や持ち物に関して不安な方には、目安の持ち物リストを8月7日までにお送りしますので、少々お待ちください。」と先に断っておけば、気遣いのできる人たちだと信用してもらうことができます。これが満足度に直結します。絶対に不安は先打ちできるように、想像力を働かせましょう。不安をぶつけられた時は、感謝すると共に反省をするようにしましょう。
3. お客さんをお客さんにしない
最も大切なスタンスはこれです。正直これだけできれば、少なくともクレームが来る事はありません。それは、相手を受け身なお客さんにしないという事です。能動的な参加者さんにすれば、満足度は下がりません。
それは、こちら側のスタンス1つで大きく変わります。お客さんを、赤ちゃんのように捉え、なんでも面倒を見てあげようとすると、相手は受け身になり、どんどん甘えてきます。受け身なお客さんにするのも、積極的なお客さんにするのも、こちら次第です。
例えば、運営がなんでもお客さんの面倒を見ていた場合、イベント当日に雨が降った場合、「なんで傘を用意していないんですか。」と文句を言われてしまいます。しかしながら、お客さんを能動的な参加者さんにできていた場合、例えば「雨を凌ぐために、頑張って傘を作ってみよう」という風に、自分でなんとかしようとしてくれるかもしれません。
他にも万が一、コンテンツが楽しくなかった時に、受け身な人は「このコンテンツおもんない。」と文句を言うが、能動的な人は「なんとか楽しんでやろう。」と動いてくれます。
こういったあらゆることに、受け身なお客さんは腹を立てます。しかし、能動的な参加者さんは、自分でなんとか解決しようとしてくれます。後者の場合、クレームが来る事はありません。
それはわかっても、どうやってやるかは、よくわからないですよね。安心してください簡単です。相手をお客さんだと思わなければいいだけです。なんでもかんでも自分が面倒を見るという意識を捨てれば、そのスタンスは伝わります。
例えば、キャンプの前日に
①「キャンプ、絶対いいもの作るから楽しみにしててね!」
と声をかけてしまうと、相手は受け身になります。
②「キャンプ、絶対いいもの作ろうね!全力で楽しみに来て!」
と声をかければ、相手は自分もキャンプを作っている人だと当事者意識を持てます。
また、参加者さんに「入金方法について、何もわからないので教えてください」と言われた時に、
①「わかりました。手順をまとめるので、下記の通りに行ってください。まず・・・」
②「わかりました。では、このサイトを参考にしてください。もしそれでもわからなければまたご連絡ください。」
のどっちの対応をするかで、相手は受け身なお客さんにも主体的な参加者さんにもなります。
このように、相手を受け身にさせるか能動的にさせるかは、運営側のスタンス次第なのです。全て面倒をみようとするのではなく、時には参加者さんを信じて任せるスタンスを持ちましょう。そうすれば、能動的な参加者さん達と共に、より素敵なイベントを作れると思います。
極論、能動的に自分で楽しもうとしている人だけなら、鬼ごっこをしているだけでも、満足度の高いイベントになります。つまり、コンテンツが不十分であったとしても、能動的な参加者さんだけなら、素敵なイベントになり得るのです。
ちなみに、この記事の挿絵には、ライブの写真を使っています。僕はあの写真の中に、お客さんは映っていないと思います。手をかざし、音楽にのり、共にあの時間を作っている、全員が作り手なのだと思います。あんな空間を作ることを目指していきたいですね。
4. お願いをしようとしない。
上の話にも関連していますが、ただお願いや指示をしてはいけません。指示をするだけの人は二流です。それは、自分の都合を相手に押し付けているだけだからです。お願いしたいことがある場合、それをやりたいって思ってもらえるように働きかけることが一流のすることです。
例えば、「協力して、早く荷物を積んでください。お願いします。」と言ってしまうと、こちらの都合を押し付けているだけです。「待ちに待った無人島に早くつけるように、みんなで協力しましょう!」と声をかけるだけで、よしやってやろう!と思ってくれるかもしれません。
このように、こっちの都合だけを押し付けるのではなく、伝え方を工夫しようとすることが重要です。これは僕もうまくできることは少なく、助けられてばかりです。ただし、その最高の人の動かし方を目指している人と目指していない人では、のちに大きな差ができていることでしょう。
5. 終わりに
いかがだったでしょうか。
今まで全ての章を読んできてくださった方は本当に、本当にありがとうございます。お疲れ様でした。
要所要所をつまみながら、読んでくださった方も、貴重なお時間をくださり、本当にありがとうございます。
何かを作りたいと思っているあなたが、それを実現のための一助になることができていれば、これ以上の幸福はありません。
また、ここまで読んでくれた方がもしいらっしゃったら、是非直接お礼を言わせていただきたいです。ので、一言ぼくに、「note読んだよ」とご連絡いただければ嬉しいです。
ご精読、誠にありがとうございました。
もし興味があれば、終章もちらっと見ていただけたら嬉しいです。無人島120人キャンプに関わってくれた人は、是非是非読んで見てほしいです。
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