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街ごと開発しちゃうユニークな拓匠開発の物件を取材! 他社とは違うおもしろい点と「これは…?」と思った点を分析してみた

文|黒崎さとし

 家を買おうと思う人はたいてい、“条件”から物件を探し当てようとしていると思う。
 会社まで何分とか駅から徒歩で○分とか、商店街もしくは大きなショッピングモールが近くにあり…、マンションか戸建てか、新築か中古か、築年数は何年か――大抵の人は、そんな“理想の条件”をなんとなく思い浮かべ、なんとなくそれに似ている、一番近いものを探し出すのだろう。
 私もそんなひとり。普段はさまざまなメディアで記事執筆や取材を請け負うフリーランスのライターで、都内の賃貸マンションに妻と2人暮らしなのだが、アラフォーに差し掛かり、結婚3年目、そろそろ子供も…と思いはじめ、それに合わせてこれまでの賃貸住宅から住まいの購入を検討しはじめたところだ。
 ところが、限られた時間と予算と体力の中から目的の物件を探そうとすると、実はどうにも思っていたものより条件の悪い物件を引き当ててしまいがち。実際、自分の設定した細かい条件をすべて満たす物件を探し当てることがいかに難しいことか、すでに購入を検討されている方々がぶつかっている壁ではないだろうか。
 実際、ある住宅系サイトのPR記事をみると「物件購入の際にあきらめたことは?」という項目があり、物件の購入にはあきらめが必要ということを、販売側が認めてしまっているわけだ。
 そんな中、千葉県にある『拓匠開発』という会社から、「うちは家を建てるだけでなく、街ごとまるっと開発する会社で、ここ数年で作った街のことを取材して、記事にしてくれませんか?」という、ライター仕事のお誘いをもらった。

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 自分の求める理想の条件と、突きつけられる検索結果の差に頭を悩ませていたところ。「もし面白くなかったり、場合によっては拓匠開発にとって都合の悪いことを感じても、忖度なく、客観的に書かせてもらいますけど、それでOKなら引き受けますよ」と伝えてみると、あっけなく了承してもらえた。半分は自分の家探しの参考にとプライベート、半分は仕事、千葉への小旅行気分で、半信半疑ながら取材に行ってみたところ、いい意味で予想を裏切られたというか、おもしろい発見があった。
 今回はまず、拓匠開発の物件がどんなものか、同社の代表的な街をいくつか取材して気づいた良い点と、あと「これは…?」と思った点を報告。あなたの中にある“住宅購入の条件”を脱構築する参考にしてみてほしい!

○拓匠開発の物件の特徴は?

1.街ごと開発しているケースが多い。

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 拓匠の大きな特徴として、ただ新築戸建の住宅を販売するだけではなく、街ごと開発していること。街ごと開発するので、統一感のある街並みをつくりつつも、こまかな配慮が街全体に施されている事がわかる。
 これにより、家の窓から街の中につくられた緑地や街路樹などがまるで自宅の庭であるように見える“借景”を意識したデザインなど、街を有効活用した住宅設計が可能になっているわけだ。
 さらに同じ区画の中でも、それぞれの家を微妙にずらして配置するなどのコントロールも。窓と窓がかち合わないようになっていたり、隣近所と近すぎない絶妙な距離感がとれるよう、コミュニティとプライベートのバランスを緻密に考えてられているようだ。

2.各戸バラバラのデザイン

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 統一的なデザインと言いつつも、同じ区画内に全部似たような建売住戸を組み立てるのではなく、各戸はどれ一つとして同じ間取りのデザインのものがないそうだ。
 なぜなら、家の場所によって光の入り方、風の通り方が違うわけで、それぞれに合わせて計算した作りが手掛けられているとのこと。モジュール的な発想で南側にでかい窓がドーン! というような条件だけの設計ではないのだ。
 同社の代表的な作品である、平屋の家もその一つ。また逆に、2階建ての家の場合、2階にリビングを設置するなど、採光やくつろぎ空間をそれぞれで設計されている。
 さらに住宅の外側に庭を作るのではなく、建物で囲んで中庭のように作られた住居も。中庭なので安心して全裸になってくつろぐオーナさんもいるという話も聞けた(笑)。

○物件を見学しておもしろかった3つのポイント

 実際に街ごと住宅地を見てみて、「思ってた以上に変わってるな!」と思った部分がいくつかあった。3つのポイントに絞って紹介してみよう。

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・工業デザイン、機能美にこだわった住宅が多い!
 住宅の中を拝見すると、絶妙な位置に窓が設置され、光がふんだんに入り込んでいる。また、無理にLDKを増やそうとせず、吹き抜けから採光したり、玄関に土間的なスペースがある家も。ベビーカーや車椅子、高級なロードバイクなどを室内に保管することができる。

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・自宅に薪ストーブ!? 趣味人的なお宅が多い!
 拓匠開発が街ごと開発したオオソラモ野田みずき(千葉県野田市)の住宅を散策すると、一部の区画に薪ストーブがある家が!?
 また、駐車されている車もかなり個性的で、SUVやミニバンももちろんあるけど、どでかいHUMMERやバカでかいピックアップトラック、中にはジオン公国(アニメ「機動戦士ガンダム」より)仕様の特別デザインJEEPの所有者も。物件オーナーたちによるご自慢カーコレクションをやったら面白そう。

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・宅地ごと開発してるので、街のスペースが広々!
 限られた宅地スペースの中に強引に建物を詰め込むようなことをしないので、スペースが広く感じられた。街の中にはなるべく共用スペースを置くなどしているほか、日陰が多くなりそうなスペースはあえて家を作らず、住民専用の駐車場にしているそうだ。

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 また、道路をストレートに作らずわざと少し歪ませたり、そもそも車の街への入り口が2箇所だけに限定することで他所から車が入ってこないように設計してあり、自動車事故への心配から開放できるよう心がけられていた。さらに街路樹の縁石の角が丁寧に削られていたり、まちなかで遊び回る子供たちの安全にも配慮しているとか。

○こんな人は合わない可能性も…

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 こんな感じで、建売住宅ながら個性的な物件が多く、意外と個性が強いオーナーに好まれている模様の物件たち。それが故に、こんな人たちはもしかしたら合わないかもしれない…というポイントも。

・家は雨風をしのぐためだけのもので、さしたるこだわりがない人
・なによりも会社通勤の時間と利便性が最重要な人
・隣近所とわいわいするとはいかないまでも、住民同士の関係づくり、街づくりや管理・維持を気にかける気はさらさらない、という人

○選択肢は、住宅サイトから与えられるものではない!?

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 たしかに近年、入居希望者が組合を作ってから住宅を作るコーポラティブハウスとか日本の中でもゲーテッドコミュニティとかも盛んに話題になってきている。
 街全体を意識した住宅づくりという発想はたしかにあるものの、それを実際に実行しているところはあんまり聞いたことがない。
 これは、もう少し調べてみてもおもしろいかもしれない!…ということで、このnoteでは、引き続き同社のスタッフやイベント、オーナーさんたちをさまざまな企画で取材し、報告していこうと思う。ただ、良い点をひたすら紹介するのではなく、時にはいじわるな疑問や無茶振り企画を投げかけていく予定だ。
 その中で、これから家を買おうと考えている方に、注文住宅、建売、リノベーションなど、リアルな住宅販売業界の事情と、失敗しない家探しのポイントを伝えていければと思う。


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