東日本大震災を忘れない
『東日本大震災を忘れない』タウンニュース社 緑区編集室:坪田拓郎
『日付もの』が象徴するストーリー先行型報道 P86
「日々のニュースで追いかけた『ネタ』がある程度収束してニュースバリューが落ちると、その事象は『日付もの』というラベルが貼られ、資料室にしまわれる。そして、日が改まってその日が近づくと、各担当者がネタ集めに奔走し、箱から出して眺めるというわけだ。ネタはないのか、ネタはないのか。変化が見たい、いや変化がないほうがよい。遅久として進まない現状。課題が多いほうがいい。課題は共感できるか。いや、そんな課題は陳腐すぎる。主人公はどれだけ苦労しているか。普通の市民がどう暮らしているかでないと共感できない。いや、普通過ぎる。人ものが見たい。こうして文字にすると、なんだか、とても苦しい気持ちになる。事件、事故、災害。人の悲しみ苦しみは、こうしたメディアによって物語として再構成され、世に放たれる。『日付もの』はまさにそんな『ストーリー先行型のニュース制作の極至だと言えるだろう」
上記は、普段、毎日ビデオジャーナリズムラボでお世話になっている、ジャーナリスト堀潤さんの著作「僕らのニュースルーム革命 僕がテレビを変える、僕らがニュースを変える!」から引用した。堀潤さんは、日々報道の最前線でこのような姿勢を崩していないことが伺える。
今年の2月~3月緑区で「東日本大震災を忘れない」という連載記事企画を実施した。私自身、書き手として、気を付けていたのは、上記の引用のようにならないことだ。「ストーリー先行型のニュース記事」にはなってほしくない。そんな思いがあった。だからこそ、ありのままの話をそのまま書くように意識はしたつもりだ。また、実際に岩手県の大船渡市にも足を運んだ。何を伝えれば良いのか。すごく模索した。でも、伝えきれない。書ききれない。
でも、伝えなくてはいけないと思う。だから企画記事化したのだ。9年目を迎える来年も記事化したいと思う。模索を続けたい。取材に協力頂いた方に感謝申し上げます。
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【WEBでも記事を配信中!】『東日大震災を忘れない』
<文・写真>タウンニュース社 緑区編集室:坪田拓郎
3月に岩手県の大船渡市へ行ってきました。泊まった宿は、東日本大震災で全壊流失してしまったそうです。過去の津波の高さ以上の場所へ移転し、新たな宿として再開したのは、6年前。絶景の碁石海岸が眼前に広がる宿として人気を博しています。
朝の5時。日の出を見ようと、宿を出て、碁石岬へと向かいました。日の出前から漁船の明かりが真っ暗な海を照らしていました。あの日から8年。少しずつ、”日常”の風景が戻りつつあります。
その後、大海原と一緒に、日の出を見ることができました。朝食には、朝から豪華な海の幸。絶景と美味しい食事に大満足の旅行となりました。
東日本大震災の連載も今号で終わりました。多くの人ができることを探し、奔走している姿を追いました。東北へ向かう理由は人それぞれ。でも、みんな東北を好きになった人ばかりでした。私もすっかり、その一員になってしまいました。
区内の5人に話を伺った連載「東日本大震災を忘れない①~⑤」。 下記からwebでも配信中です。
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東日本大震災を忘れない【1】
「支援の輪、広がって」
横浜創英大学講師 平野友康さん
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/02/14/469301.html
東日本大震災を忘れない【2】
「震災は、終わっていない」
WEショップ・みどり 五十嵐 敦子さん
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/02/21/470026.html
東日本大震災を忘れない【3】
「南三陸町が好きだから」
ツルセミ十日市場校 大西康友さん
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/02/28/471285.html
東日本大震災を忘れない【4】
「地震だ!津波だ!さぁ逃げろ!!」
緑区在住 福島俊彦さん
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/03/07/472070.html
東日本大震災を忘れない【5】
「”心の復興”はこれから」
シンガーソングライター 木村真紀さん
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/03/14/473129.html
記者が見た、聞いた、感じた、を伝える
あっとほーむデスク
https://www.townnews.co.jp/0102/2019/03/14/473124.html