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ニュース解説(2024.08.08):米国の景気後退は「遠くない」
動画概要
この動画では、David Rosenberg氏(Rosenberg Researchの創設者兼社長)が現在の米国株式市場の動向と経済の先行きについて議論しています。Rosenberg氏は、最近の株価の反発を一時的なものと見なし、景気後退が近づいていると考えています。その詳細な見解を以下にまとめます。
株式市場の反発について
短期的な反発: Rosenberg氏は、最近の株価の上昇は一時的な反発であり、過去数日の過剰な売り反応に対する過剰な買い戻しと述べています。市場は過去1週間で大きく変動しており、VIX(ボラティリティ指数)が60に達するなど、異常な不安定性を示しています。
技術的な反発: 過剰に売られた水準からの技術的な反発であり、これ以上の上昇を期待するのは賢明ではないと強調しています。ダウ工業株30種平均は依然として高値から約2,000ポイント下落しており、S&P 500も約7%下落しています。
経済の減速とリセッションの兆候
住宅市場の減速: Rosenberg氏は、住宅市場が再び低迷しており、住宅市場は重要な先行指標であると述べています。低金利にもかかわらず、住宅市場の弱さが続いています。
雇用指標の悪化: 非農業部門の雇用増加が停滞し、労働時間や残業時間の減少が見られるなど、雇用市場に亀裂が生じ始めています。非農業部門雇用者数が114,000人増加したものの、その半数以上はモデル上の数値に過ぎず、実質的な雇用増加はほとんどないと指摘しています。
財政刺激策の終了: パンデミック時の財政刺激策が終了し、家計の貯蓄が減少しているため、消費の冷え込みが予想されます。
FRBの対応について
利下げの可能性: FRBが9月に利下げを行う可能性が高いと予測しています。利下げ幅は25または50ベーシスポイントが議論されています。株式市場やクレジット市場の反応を見ながらの対応となりますが、Rosenberg氏は年内にFF金利が1.75%から2.75%の間に設定されると考えています。
金利正常化の言及: パウエル議長が「正常化」という言葉を繰り返し使用し、2019年の水準に戻る可能性を示唆しています。2019年には3回の利下げが行われ、FF金利は1.75%まで下げられました。
株式市場の展望
株式のリスクとリターン: 株式市場のリスクとリターンの観点から、現在の株式市場は割高であり、リスクに対するリターンが十分ではないと指摘しています。株式のリスクプレミアム(株式の収益率と10年国債の利回りの差)は依然として低く、長期平均に比べて魅力が乏しいと述べています。
投資の優先順位: 株式市場よりも、リスク調整後のリターンがより良好な債券市場に魅力があると述べています。現在の株価収益率(P/Eレシオ)が高い一方で、10年国債の利回りが約4%であるため、株式市場への投資はあまり魅力的ではないとしています。
まとめ
David Rosenberg氏は、現在の株価の反発は一時的なものであり、景気後退が近いと考えています。住宅市場や雇用市場の動向、FRBの利下げの可能性など、多角的な要因に基づいています。株式市場の投資については慎重な姿勢を示しており、債券市場の方が魅力的であると結論付けています。投資家は、株式市場の不安定性とリスクを十分に考慮し、慎重な投資判断を行うべきだと提案しています。