NFT化が可能な権利と既存サービスの事例
NFTの技術は急速に進化しており、すでにいくつかの権利や資産をNFTとして取引するサービスも登場しています。以下、具体的な権利とそれに対応する既存サービスの例をご紹介します。
1. 音楽ロイヤルティのNFT化:Royal
「Royal」は、アーティストが楽曲のロイヤルティ権をNFTとしてファンや投資家に提供するプラットフォームです。このサービスでは、ファンがアーティストの作品に直接投資することで、収益の一部を受け取ることができます。ファンにとっては収益を共有できる点、アーティストにとっては新たな収益源として活用できる点が魅力です。
2. チケットのNFT化:YellowHeart
「YellowHeart」は、コンサートやイベントのチケットをNFTとして発行し、転売や価格の不正操作を防ぐプラットフォームです。チケットの販売と転売履歴をブロックチェーンに記録するため、透明性が高く、イベント主催者は二次流通からも収益を得られます。
3. ブランドやキャラクターの使用権:RTFKT
「RTFKT」は、デジタルスニーカーやアパレルアイテムをNFTとして発行し、メタバース上で使用できるブランドです。ユーザーはこれらのデジタルアイテムを自分のアバターに装着したり、コレクションとして所有することができます。ブランドやキャラクターのライセンスをNFTとして提供する先駆け的な例です。
4. 不動産の部分所有権:Propy
「Propy」は、物件の所有権をブロックチェーン上で管理する不動産プラットフォームです。物件の所有権をNFTとして分割し、小口化して投資家に販売することも可能で、海外の不動産投資のハードルを下げています。特に、NFTとして所有権を証明できるため、手続きが簡素化され、透明性が高まる点が特徴です。
5. 教育コンテンツのアクセス権:Ed3 DAO
「Ed3 DAO」は、教育コンテンツへのアクセス権をNFTとして提供するプロジェクトです。教育機関や専門家が独自の知識や講義へのアクセス権をNFTで販売し、購入者は特定の講義や教材にアクセスできます。NFTとして権利を管理することで、アクセス権の転売や他者への譲渡も可能になります。
6. 若手スポーツ選手やアーティストの将来収益権:FANtium
「FANtium」は、スポーツ選手やアーティストの将来の収益の一部をNFTとして販売するプラットフォームです。ファンや投資家が特定の選手に投資し、その選手が成功した際には収益の一部を受け取る仕組みが整っています。ファンにとってはお気に入りのアスリートの成長を応援できるうえ、リターンも期待できます。
7. アート作品の部分所有権:Fractional
「Fractional」は、アート作品を部分所有権としてNFT化し、小口の投資家がアート作品に出資できるプラットフォームです。従来、アート作品は一部の富裕層のみが購入可能でしたが、FractionalではNFT化した所有権を購入することで、小口投資が可能になります。
8. データやアルゴリズムの利用権:Ocean Protocol
「Ocean Protocol」は、データセットやアルゴリズムの利用権をNFTとして提供するデータ交換プラットフォームです。データやAIモデルをNFT化し、研究者や企業がアクセスできるようにすることで、安全かつ透明な取引が可能となります。特に、データの所有権を明確にしたまま共有できる点が注目されています。
まとめ
NFT化の技術は、これまで一般に流通しにくかった権利を広く取引できる可能性を持っています。今回紹介したサービスのように、既存の資産や権利に新たな価値を付加することで、個人でも参加しやすい市場が形成されつつあります。今後さらに多くの権利がNFTとして取引されるようになり、NFT市場が拡大していくことが期待されています。