「ものづくり日本」の虚像:ソフトウェア開発の実態 #パワポエンジニア量産工場日本 #エンジニアと名乗るのやめろ
はじめに
日本は長年「ものづくり大国」として世界に名を馳せてきました。トヨタ自動車、ソニー、パナソニックなどの企業が、高品質な製品で世界市場を席巻してきた歴史があります。しかし、21世紀の「もの」の中心であるソフトウェアに関しては、その評価は大きく異なります。本記事では、日本のソフトウェア開発の現状と課題について、具体例を交えながら詳細に分析します。
1. パワポエンジニアの台頭
定義と現状
「パワポエンジニア」とは、実際のコーディングやシステム設計よりも、PowerPointでのプレゼンテーション作成に多くの時間を費やすエンジニアを指します。
具体例
富士通:社内での提案書作成に多くの時間を費やし、実際の開発時間が圧迫されているという報告がある。
日立製作所:プロジェクトマネージャーの多くが、技術的な指揮よりも顧客向けプレゼンテーションの準備に注力しているとの指摘がある。
影響
この傾向により、技術的な深い知識よりも、見栄えの良い資料作成能力が重視される風潮が広がっています。結果として、実際の開発力の低下につながっているという懸念があります。
2. 外注依存の実態
日本企業の多くは、ソフトウェア開発を外部ベンダーに依存しています。
国内ベンダーへの丸投げ
NTTデータ:多くの大手企業がNTTデータに基幹システムの開発・運用を委託している。
野村総合研究所(NRI):金融機関の多くがNRIにシステム開発を依存している。
オフショア開発の増加
楽天:インドのオフショア開発拠点を拡大し、多くの開発をインドで行っている。
ソフトバンク:中国の開発会社と提携し、モバイルアプリケーションの開発を委託している。
パッケージソフトの導入
SAP:多くの日本企業が、自社開発を避けSAPのERPシステムを導入している。例えば、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングスなどが挙げられる。
Salesforce:顧客管理システムとして、トヨタ自動車、日産自動車などの大手企業が導入している。
3. 技術力の空洞化
この状況が続くことで、日本企業内でのソフトウェア開発の技術力が急速に失われています。
最新技術への対応遅れ
AI・機械学習:Google、Amazon、Microsoftなどの海外企業が主導する中、日本企業の存在感が薄い。
クラウドコンピューティング:AWSやAzureが市場を席巻し、日本発のクラウドサービスが育っていない。
問題解決能力の低下
みずほ銀行:度重なるシステム障害の際、自社での迅速な対応ができず、外部ベンダーに依存する状況が露呈。
東京証券取引所:2020年のシステム障害時、原因特定と解決に時間を要し、市場の信頼を損なった。
イノベーションの停滞
スマートフォン:かつては世界市場で存在感があった日本の携帯電話メーカーが、iPhoneの登場以降、独自OSの開発を放棄し、Androidに依存。
4. 「ものづくり」の定義の変化
ハードウェア中心の時代には、日本の製造業は世界をリードしていました。しかし、ソフトウェアが製品の中核となる現代において、日本は「ものづくり」の新しい定義に追いついていません。
自動車産業の例
トヨタ自動車:自動運転技術の開発で海外企業に後れを取り、Googleの子会社Waymoなどに遅れを取っている。
日産自動車:電気自動車のソフトウェア開発で、テスラに大きく引き離されている状況。
家電産業の例
ソニー:スマートTV市場で、独自OSの開発を断念し、GoogleのAndroid TVを採用。
シャープ:IoT家電の開発で、中国や韓国メーカーに後れを取っている。
5. 教育システムの問題
日本の教育システムも、この問題の一因となっています。
大学教育:コンピュータサイエンスの教育が実践的でなく、最新の技術トレンドに追いついていない。
企業内教育:多くの企業が、社員のスキルアップよりも、即戦力となる外部人材の採用を優先している。
危機感の欠如と今後の展望
最も憂慮すべきは、多くの日本企業がこの状況を問題だと認識していないことです。短期的なコスト削減や効率化を優先するあまり、長期的な技術力の低下を見過ごしています。
しかし、すべてが暗い話ではありません。一部の企業は、この課題に積極的に取り組んでいます:
メルカリ:自社でのエンジニア育成に力を入れ、技術力の内製化を進めている。
サイバーエージェント:若手エンジニアの育成に注力し、最新技術の導入に積極的。
ディー・エヌ・エー(DeNA):ゲーム開発だけでなく、AI技術の研究開発にも力を入れている。
真の「ものづくり大国」として生き残るためには、ソフトウェア開発の内製化、技術者の育成、イノベーション文化の醸成が急務です。政府、企業、教育機関が一体となって取り組まなければ、日本は世界のソフトウェア革命から完全に取り残されてしまうでしょう。