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HARF Project 5/16 稽古備忘録 信頼のYes,and

HARF Projectの基礎稽古でした。4月から始まった基礎稽古も半分が終了。みなさんもだいぶトレーニングに慣れてきていて、しかしその慣れが舞台の上では大敵になる、っていうそんな回でした。
慣れてくると思考する余裕が生まれてくるので、「上手にやりたい」「面白いこと言いたい」「ちゃんとした受け答えをしたい」という欲が出てきます。しかしそれは舞台の上では必要ないもの。自分のことを考えるより、相手の提案をノータイムのYes,andで肯定しすぐに提案を返す。安定せずにずっとエネルギーを出して変化し続ける。自分でそこまで追い込んでいくことが今後の課題になってくると思います。

ウォーミングアップ① ボックス

ウォーミングアップはいつも通り、20分強のボックストレーニング。みんなで汗をかきました。毎回セトリを考えて音楽を流しているんですが、次回は参加者のスエくんに音楽をお願いしました。どんなボックスになるか楽しみです。

ウォーミングアップ② ポイホイ

1分×3本のポイホイ。このトレーニングもだいぶ慣れてきた様子。しかし慣れてしまっては意味がない。慣れたところからどうするか。

ウォーミングアップ③ 赤いリンゴ・黒いリンゴ

赤いリンゴが終わったところで一度フィードバックの時間をとって「全体的に慣れを感じる」という話をしました。まあ慣れって別に悪いものではなくて、みんなが成長しているっていうことでもあるんですけど、自分が成長したならそれを認めて新しいステップに進んでいく必要があるよね、という話。「自分が成長したことをちゃんと認める」ってとても大事だけど難しいですよね。とくに日本では謙遜の文化があるので。
演劇のトレーニングでは「攻略法を見つけたらすぐに捨てる」意識が大切だと思っています。なぜなら上手にやることになんの意味もないから。演劇のトレーニングはあくまでトレーニング。本番という舞台で爆発するために稽古があるんです。
赤いリンゴ・黒いリンゴでは「形容詞を言って、すぐに答える」という基本のルールを再確認して再開しました。

トレーニング① Yes,andサークル

みんなで円になって隣の人に何か話しかける。話かけられた方は「はい、そうなんです」と言ってから情報をひとつ足す。Yes,andの基礎トレーニング。慣れてきたら誰から誰に話しかけてもいい、というルールに変えて進める。ちゃんとしたことを言いたくてつい間をあけてしまうんですが、とにかくノータイムでやるのが大切。ノータイムの全力肯定こそがお互いの信頼を生むのです。

トレーニング② ボールパス

2人で2つのボールをパスし合いながら、出される問題の答えを同時に答えるトレーニング。肉体的もなかなかキツい。
出される問題が「1たす1は?」みたいな問題ならスムーズ答えられるけど、「スウェーデンの首都は?」みたいな答えがすぐに浮かんでこない問題になると途端にボールパスもガタガタになる。このトレーニングの肝は正しい答えを言うことではなく同時に言うことなので、声をそろえて「わかりません」でもいいわけです。でも「正しい答えを言いたい」が優先順位の1位になっちゃうと2人がバラバラになってしまう。思考も肉体もしんどい中で、それでも「いっしょになって、相手のために」をキープするトレーニング。

トレーニング③ Yes,andインタビュー

1人はなにかの達人役、1人はインタビュアー役になり、インタビュアーが「●●なんですよね!」と達人に語り掛ける。達人は「そうなんです」と肯定してからそれについて話す。その話を受けてまたインタビュアーが語り掛けて・・・とYes,andでインタビューを続けていく。このトレーニングもできるだけ間を開けずに会話したい。
何を聴けばいいんだ?とか何を答えればいいんだ?と自分の中に入ってしまうと、相手の存在を無視していることになる。意識を自分のなかにとどめずに、相手に集中する。何を聴いて何を話せばいいかは相手の中から探し出す。自分のなかに答えを探してしまうと自分の常識の範囲から出られないんですよね。でもせっかく2人でやっているんだから、その2人でしかたどり着けない場所に飛び込んでいってほしい。

トレーニング④ 自由ボックス

これはNシステムの根本トレーニングなので最後に必ずやろうと思います。ここでもYes,andの意識をもって。誰かが出した提案にノータイムでYesし、自分も提案を重ねていく感覚。
自由ボックスのいいところは本当に自由なので、どんな課題をもっても耐えうるトレーニングだということですね。

さて今回も楽しくトレーニングできました。次回はまた2週間後!


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