#14 ケース1-6
...。
...。
寝れねぇ!!!
もともと慣れないところで寝れない体質もあるが、さらに言うとお店での後半の記憶がないことが大きい。
そして、気づけば同期といえども男の家のベッドの中...。
...こりゃため息もんだぜ。
明日どんな顔で会えば良いのかもわからないし、今彼は起きてるのかもわからない。
とりあえず目をつむり、寝返りばかりを繰り返しているが一向に寝られない。
時計を見るとまだ4時前。
いつから寝てたかわからないお店の後。
起きた後の衝撃。
男の同期の寝室。
目が覚める要素はバッチリ揃っていた。
『はぁ。お手洗い行こ。』
と、廊下に出た時。リビングの扉から漏れる明かりに足を止めた。
『え?起きてる?』
そろりそろりとリビングの方へ歩き扉に耳を近づける。
なにやら紙をめくる音とキーボードを打つカタカタという音だけが聞こえる。
こんな時間に何をやっているんだろう?という疑問が湧く。
というか、よく起きてるな!の方が大きい。まぁベッドとってますけど!寝床はいただいてますけど!!なんて思ったのでこれ以上はやめとく。
すると、『んーーーーー!』と声が聞こえて椅子から立ち上がる音が聞こえた。
あわてて部屋に戻ろうと思ったけどお手洗いを思い出しあたふたしている間に扉が開けられた。
『わっ!びっくりした!』
俺のセリフだよと言わんばかりの顔でこちらを見る...。
『起きた?』という質問に、『...寝れなかった』と返す。
『なんだ、それなら言ってくれればよかったのに。』
いや、あなたも寝てると思ったからさ!
『起きてると思わなかったから』
『あぁ...そりゃそうか。と言っても1時間くらい寝たよ?』
1時間だけ?と思いながらも、なんか飲む?という彼の言葉にうん。と伝えて一緒にリビングに入った。
『水しかなくて申し訳ない』とだけ言いながらコップを渡されたけど、すこしアルコールが残っていた私にはちょうどよかった。
『頭痛くない?』と聞きかれ、心が読まれたかと思った。
『痛くはないけど、アルコールが残ってる感...』
『ははっ、だろうね』という彼のこんな柔らかい表情を見るのは初めてだった。からこそ聞くなら今かと思った。
『私ってお店でどれくらい飲んでどんなことしてたの?』
表情が変わった彼を見て、聞かなきゃよかった?って思ったけど、気になるからその先の言葉を待った。