#10 ケース4
俺の名は「Tora」。
茶色の毛をなびかせたクールガイなにゃんこ様だ。
「Tora」も勝手に俺がアルファベット表記で考えている。だから、世話係のあいつのいう俺の名前が「とら」なのか「トラ」なのか「虎」なのかは知らない。
まぁ名前なんて個体を示すためのワードであってどーでもよい。
せっかくならかっこいい方がいいから『Tora』にしている。
まぁ俺の話はこれくらいにしておこう。
「ガチャガチャ」
ん?
扉が開く音とともにコツコツという音で察知したので玄関まで出向く。
『ありゃとらちゃん!!!』
といい頭をぐりぐりしてくる女の子はたまに部屋に現れ部屋の掃除や俺のごはんをくれたりする。
家主ではないはずだが俺のごはんを準備してくれるあたり無碍にできないので、しっかり媚は売る。
『んにぁぁぁぁあ!』
『よちよちぃ〜!ごはん準備するね!!』
うむ。よろしい。
それから女の子は掃除機かけたり洗い物をしたりいつものようにしている。
今日はスカートだ。俺の目線から見上げてしまっては見てはいけないものを見てしまうこととなる。俺はそんなずる賢いにゃんこ様ではない。
食事を終え掃除の終わったラグの上でごろごろしていると彼女が隣に腰を下ろし、
『今日は誰と帰ってくるのかなぁ?』
と言った。
"聞いてるよ"と言う意味を込めて、耳だけだが彼女の方向に向けて次の言葉を待った。