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MGストーリー 「みんなが幸せになる市場を作る」
2009年10月24日〜25日、カネテツデリカフーズさんでのカネテツMG(経営シミュレーションゲーム)にて、森本繁生のMG2回目の記録。
※MGを知らない方にもわかるように多少の説明が入っております。ストーリー仕立てですので多少の演出も入っています。ただ、私が心に残っているとおりに表現しております。同席者の表現に失礼がありましたら何卒お許し下さいますようよろしくお願いします。
当時、MG2回目だった私は皆様に支えられて1日目の夜(3.5期)から、2日目の終了まで売上(PQ)上位者が集まるA卓で貴重な経験をさせていただきました。
今回の私の経験はとても貴重だと思ったので、ストーリー仕立てで2日間全5期の経験を紹介し皆さんと共有をさせて頂きます。
■MGストーリー(1) 「みんなが幸せになる市場を作る」
☆開始前の宣言
阪本啓一さん率いるJOYWOWさんは、
「人と地球を消費し尽くすビジネス1.0から、人と地球をリスペクトするビジネス2.0へ」とおっしゃる。
では本当に参加者全員が笑顔で儲けられる市場を実現することができるのか。
現実には、1.0の強力な引力?重力?に引きずられて、理想はわかっていても価格競争による潰し合いでみんなが不幸!というシーンばかりが目につく。
初回参加のMGでも少なからずそういう場面はあった。しかし、ビジネス2.0の光明も少なからず見えたような気がした。
そこで今回の私のテーマは「みんなが幸せになる市場作る。」朝のご挨拶で宣言させて頂いた。
☆第2期 良品を叩き売りする最悪な市場で、ベテランも沈む
さて、第1期の練習期を経ていよいよ自力で経営する第2期へ。ここでは典型的なビジネス1.0劇場が展開された。
1〜2回目の初心者が多い卓。みんな研究開発をすれば(青チップを買えば)価格競争力ができるということは分かっているらしく、私も他の人も3枚ほど青チップを並べる。
しかしイザ入札競争で売る場面になると、とにかく売れない恐怖、キャッシュがなくなる恐怖でビビってしまい、
入札宣言額が「12円」とか、信じられない安売りに。材料を12円で仕入れているのに。。。
研究開発青チップ多数 = 良い品を作れる職人が売り方を知らないために、本当はもっと高く売れるのに「良い商品を安く叩き売りする」という最悪な市場。
結局利益を出して売れる場面が、卓の6人全員一度もなく終了。これまで22回参加して、皆さんにルールを指導されていたベテラン税理士さんも「22回の中で最悪。」という赤字に陥る。
創業初年度のベンチャー企業 = MG初回参加の初心者に「高く売りましょう!」と言葉だけで言っても不安感の方が勝ってしまうので市場は好転しない。
これはまずい。絶対にまずい。全員倒れる。何とかこの消耗戦から脱出せねば。
■MGストーリー(2) メーカー機能を捨て、商社経営に乗り出す
テーマは「みんなが幸せになる市場を作る。」
卓と参加者が変わった第3期、私の前に材料・仕掛品・商品の在庫はなく、3枚の青チップと工場ワーカー、営業マンが一人づついるだけ。資産は小型機械1つ。
ジャンケンで1番を引いた私はその会社版を目の前にしてそしてみんなの様子を見て1つだけ直感したことは、「このまま普通にやると、もう一度みんな沈む」。
ではみんなが幸せになるには?経験の少ない私が浮かんだアイデアは一つだけ。
「みんなから商品を高く買って、私が市場に高く売ろう」
そのために何をするか?
1.販売力を一番にする
2.仕入れ資金が他の人より必要
次の瞬間、意志決定カードを引く前に宣言。
「小型機械売却して、ワーカーを営業マンに配置転換します。」
商品を作るメーカー機能を捨てて、売ることに専念。このスタイルはMGでもリアルでも「商社」と呼ぶらしい。で、ほとんどの人はMGでは普通やらないらしい(笑)
不安いっぱいだけど、やってみると新たな経験の連続。
「皆さんの商品を買います」と宣言すると「26円なら私の商品を買ってくれ」という地酒メーカーが登場。メーカーはせっせと地酒を造ることに専念し、市場に出すことなく私に確実に売る。
「28円で売る」というYシャツ屋さんには「27円なら買う」と交渉。
商品は自分で作らなくてもすぐ手に入る。営業マン増強しているから常に売る体制にある。
こうすると、そもそも商品を持っている人が少なくなる。誰も売るものを持っていない時に独占的に販売できるタイミングが出てくる。
誰も売っていなければ言い値で市場で最高値で売れるし、多少他の人が売るものを持っていても、営業マンで売れる数が多いから、他の人が売り切った残りのマーケットに高く売れる。
平均して34円で商品売り切り、時には40円でも売れた。
結果、メーカーをやってくれた地酒屋は利益を出し、市場が値崩れすることもなかったのでYシャツ屋も利益を出したようだ。
私も新たな業態ながら利益は1期の▲108円から▲18円まで持ち直した。もう少し仕入れを安く交渉できていたら利益は出せた。何よりも、まずみんなが儲かったのが嬉しい。あとは自分が儲けなきゃ。
さて、売上(PQ)が940にまでなってしまったので、4期は売上上位者、すなわち歴戦の強者が集まるA卓に座ることになってしまった。
資産は皆無、現金もほとんどないベンチャーがいきなり海外で華僑とユダヤ人のひしめく市場に来てしまった。
普通に考えれば、この時点で「お前はすでに死んでいる。」この状態でA卓で生きることができるのだろうか。あるいはどう殺されるのであろうか。
3.5期に続く。
■MGストーリー(3) 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
テーマは「みんなが幸せになる市場を作る。」
ヨーロッパでは「死刑台に立つときは、最も良い衣装を着て誇り高く振る舞え。」という言葉があるらしい。
豊臣秀吉は、丸腰で敵城にたった一人で歩いて乗り込むという最高の危険をわざと冒し、驚いた敵将との直接交渉を成功させるという。
経験も資産も現金もほとんどないベンチャーがいきなり放り出された華僑とユダヤ人のひしめく海外市場。
ここで今できることは「私は死にに来ました」と宣言することのみ。
3.5期とは、3期が終わった後の食事、交流会をしながら翌日の4期のテーブルの顔合わせをして準備する時間。
既にA卓は4期の経営方針談義や交渉が始まり、虎の穴の匂いがプンプンと立ちこめている。
「あ、森本さん、いらっしゃい。」
「MG2回目でっか。。。まあ、頑張りや(ニヤリ)。」
これは面白い殺され方ができそうだ。
「で、今どんな状況なん?」
「在庫全部ゼロ、現金14円しかないんです。青チップ3枚でセールスマン3人、機械も売っぱらって商社やってました。何にもありません。」
「なんやそれ! どうするつもりなん?!」
「何しに来たん?」
「何か私、できることあるんでしょうか?座して死を待つのみなんでしょうか?どんな面白い死に方ができるかな?と思いまして。。。」
MGにはリスクカードというものがあって、ラッキーを引くと「独占販売」「広告成功」などで儲かり、アンラッキーを引くと「ワーカー退職」「火災発生」などで予期しない多大な損失を被る。
私の言葉を聞いた虎たちは、無意識のうちに私自身を「最大のリスクカードが来た」と捉えたようだ。
「このままこのワケのわからん奴を放置していると危ない」
「死ぬつもりで来たから、何でもしよる」
そこで最初に動いたのが、今回の最優秀経営者賞を獲得したK氏。
「しゃーないな。。。じゃあ俺の商品売るか。100円融資したる。26円で商品卸すから売りまくれ。その代わり絶対50個売れ。そやないと俺も儲かれへん、共倒れやし。」
さすが最優秀経営者、リスクをいち早く自分のコントロール下に置きチャンスに変える方策を取る。
他の虎たちが「Kさんが他人を支援している場面を初めて見た!」と驚く。これだけでKさんはMGではかなり有名人であることがわかる。
すると「俺の商品も30個売れ。50円融資する」という虎も登場。
最後には「こんな見せ物はめったにない。見物料で50円貸すわ。」という虎まで現れ、20%の利息で200円の融資が集まった。
私の他の5人中、3人から融資を受けているという市場になった。
絶体絶命の中で、一つだけ生きる道が示された。
「自分の利益は二の次、とにかく市場で数を売りまくってまず虎たちを儲けさせること」
少なくとも今期利息だけでも返せば、虎たちは自分の売上に加えて利息で儲かる。虎たちを儲けさせれば、次の道があるだろう。
夜、ホテルで少しばかり計算していると、自分も儲かるには32円で売り続けなければならないが、そんなに易々と高い値段で売らせてくれる市場でもない。しかしとにかく、数を売りさばくこと。
そうすると営業力(人か広告)と青チップがもっと必要。しかし計算すると200円融資されていても途中で資金が不足する。
翌朝、朝食時に心友であり今回の主催者である東海林さんに相談。
「東海林さん、こういう状況だけど東海林さんから100円借りれます?」
「私の現金は使い道が決まっているので、ある程度自己資本があってお金の使い道が決まってない人を代わりに当たってあげましょう」
自分の金策にまで超ベテランが動いてくれる。何という展開であろうか。これは何としても売らねば。
開始前に徳島のアートギフト屋さんから15%の金利で100円の融資が決まった。私が単独で行って交渉しても貸してくれなかったが東海林さんが説得してひねり出してくれた。
「外部からもう100円調達してきました」と伝えると、虎たちは「よくやった」と喜んだ。
「最初にやることはわかってるな。」
「特急研究開発で青チップを他より1枚多く並べろ。」
「営業力増やすには、今は赤チップ(広告)買え。広告成功のリスクカードがあるから。」
そして。。。「止まったら死ぬで。」
歴代の強者が、私に売らせようと次々と指示を出す。私の売りが虎たちの儲けにリンクしているから。面白すぎるMG劇場だ。
さあ、怒濤の4期目が始まる。
第4期に続く
■MGストーリー(4) それでも、まだ生きている
テーマは「みんなが幸せになる市場を作る。」
「最初はグーッ!」
ジャンケンで順番を決めて反時計回りにビジネスが進む。私は4番目。
始まる前に一人の虎が呟く。
「声や。声が大事なんや。勢いや。」
「どんなにゲームがうまくなっても、声が小さい自信なさそうな奴はA卓に上がって来れん。」
「勢いと雰囲気、市場は自分で作るもんなんや。」
さて、西先生の合図でいよいよ目が回る全力疾走の開始! 。。。。と思ったが。
上位卓は何しろスピードが速いのは前回経験している。意志決定が早く、しかも意志決定回数を稼ごうとしているので数字を書いているうちにすぐに順番が回ってくる。今回も何がなんだか分からないうちに終わるだろうと思っていた。
しかし、やることが「買う」「売る」とシンプルで数を売らなければならない私には、何と今回はA卓のスピードがスローモーションに見えてしまった。
「何や、案外ゆっくりやってくれるやん。」
「しかしこのスピードやったら、計画の84個は売れるんかな。。。」
まずはやることをやるしかない。
価格競争力と営業力をひたすら研ぎ澄ます。
「特急研究開発青チップ40円買います」
「青買います」
「青買います」
「リスクカード:機械故障、持ってないので関係なし!」
「赤チップ(広告)買います」
「カッコええなあ〜。」と融資してメーカーになってくれたK氏が隣で声をかける。
儲かっても儲かってなくても、バンバン売れば「カッコいい」と言われる。もちろんこれはよくある落とし穴だけど、今は素直に受け取っておこう。
商社はアンラッキーのリスクには案外強いことに気づく。商品さえ無災害倉庫に入れて管理しておけば機械故障とか、材料が燃えたとか、ワーカー退職とか半分くらいのアンラッキーは関係がない。
「研究開発失敗」で青チップを1枚返却して買い直したのが、今回の唯一のアンラッキー。
さて営業力はA卓で最高となった、準備OK! 営業マン3人と赤チップ(広告)で8個まで商品の売買ができる。
「商品買います」まずは約束通り? K氏から26円で6個仕入れ。
「売ります」
2匹の虎が私に競合入札してくる。この1回目で売れなかったら、虎たちが私を押す場の空気が一気に萎える。ここは自分が儲かる32円よりも低く値付けして確実に売るしかない。
「28」のカードを出す。
他の二人は2円上をつけていたので、無事私が6個全部売り抜けた。「あ〜、ちょっと安心した。」K氏が安堵する。とりあえずこいつは裏切らない、とは思ったようだ。
しかしよく自分の収益を考えれば、30円でも青チップが多いのでルール上は私が売り抜けていた。一旦28で売ってしまったのでこの28という数字が経験の少ない私に後々もつきまとい、「虎たちのために売るのが使命」という意識の強い私はこれ以上高く売れなくなる = 自分の粗利は僅か になってくる。
「商品買います」
「売ります」
「商品買います」
「売ります」
「商品買います」
「売ります」。。。
とにかくこれを繰り返す。前半35個売ってPQ(売上)1012まで来る。
「商社が案外頑張ってるからな〜。」と、K氏が他の虎と話す。数が売れれば、私の販売価格はメーカーのK氏には関係ない。そもそも、50個なんて売れるとはハナから思っていないだろうけど。
3分の休憩が終わって後半に入ると、既に損益分岐点を越えてしまった虎達が、販売価格を下げてくる。さらに研究開発を増強し青チップ7枚体制を余儀なくされる。
結局後半は市場競争力の立て直しに時間を要し、売る回数も5回で29個販売追加、4期合計54個の販売で1587のPQで終わる。
売ることに専念していたから、売上は参加者全体でトップ。しかし経常利益は▲328。自己資本も▲198。ネットショップで言うと楽天市場の大赤字店の典型的なパターンである。
現金は多少残っていたが、虎たちに利息を払った後、徳島のアートギフト屋さんが約束通り融資を全額返せと取り立てに来る(笑)
アートギフト屋さんには利息分儲けてもらったがこれでついにお金が▲16に。
資金ショートは、倒産を意味する。。。
これで終わったか、と思う間もなく、利息計算を手伝ってくれていたI氏という虎の一人が「あ、そんならとりあえずここで50貸しとくからまずこれで決算してしまい。」とさらっと言う。
倒産は1秒で免れた。この状況になってもまだ生きている。生かされている。そりゃそうか、倒産したら融資が焦げ付くわけだし。
そして次の虎たちの行動も驚くべきものであった。
私が何も言わずとも、自ら私の資金集めに知り合いを回ってくれ経営指導までしてくれる。
I氏は「俺は卓を変わるから2人営業マンいらんか? 200の融資付きや。営業マン5人でしっかり売れ」
O氏は「第5期は俺が25円で卸す。次はもっと利益出るやろ。俺の友人が100貸すというから、メチャメチャ売れ。」
ついに知らない人からも融資が集まり始めた。どうやらトップ売上高を作る販売力に見込みあり、私をつぶすのはもったいないと思ってもらったようだ。
一瞬は倒産した企業が、第5期スタートでは何故か426の現金持ち。最後の期で虎に借りたお金をどこまで返済できるか、どれだけみんなを儲けさせることができるのか。
許された借金にどれだけの感謝ができるのか。そして、自分自身も儲かる道は見えるのか。恐らくPQ3000は売る必要がある。。。
第5期に続く。
■MGストーリー(5) 静穏と微笑
テーマは「みんなが幸せになる市場を作る。」
東海林さんの生涯の道である剣道をはじめ、武道では「守・破・離」ということが言われる。
最初は達人のマネから入り、その型を守る。それができたら自分の型を作るために型を破り始めついには離れて自分のスタイルを確立する。
誰でもできる型なんて、ない。自分は、自分らしく。
ノウハウとは「私だからできる、私らしい型」を寄せ集めてその上澄みを取った最大公約数にすぎない。
MG2回目の私はまだ「守」の段階である。だから、虎たちの言うことは「例え騙されても」その通りにした方がいい。素直さが多くの教えを引き出す。
4期で「赤チップ(広告)買え」と言われてその通りにしたら、予言された通りに「広告成功」のリスクカードで儲けた。そんなもの。
第5期開始前に、一人の虎が念仏を唱えるように語る。
「あんたは丸腰で来たから潰されへんかった。小型機械1個でも持って自分で何かしようとしてたら、俺はあんたを潰してた。」
潔く、か。
その言葉の余韻を引きずりながら、第5期開始のアラームが鳴る。しかし。
。。。うるさいのに、静か?
その時の私の感情はもはやスタジアムが沸き立つような興奮ではなくなっている。
静かだ。
「最初はグーッ!」とみんなで掛ける声は怒声に近いが、自分にはあまり音が聞こえない。心の中は寺の鐘が鳴ったような、極めて静かなスタート。
不思議。
自分の身体は声を出して動いているが、まるでそれが別人にように心と身体が違った位置にある。
「25円で買い、32円以下では売らない。100個売る。」これだけを淡々とやる。
既にセールスマン5人体制、一度に10個売買できる。9個完成投入体制のO氏から、ただ淡々と25円で買う。「6個しかない、ごめん」と言われた時は、前回のメーカーK氏から27円で買い足した。
前期繰越の研究開発青チップ3枚に加えて、特急青チップ4枚をこれまた淡々と追加。
別の虎は、私が高値で売る市場で競合するのを避け、最安値の市場で独占販売を繰り返す。一つの生きる道。
前半はほぼ32円で42個を販売。
引き続き、静か。生かされているが故の、心の静かさだろうか。
後半は、例によって損益分岐点を越えた虎たちが価格を下げてくる。32円以下では売らないと決めているので、青チップを心静かに8枚並べる。
時間がなくなる。もう市場は下がりきっている。「8」なんていうとんでもない入札価格が叫ばれている。最後に2個残った商品を価格を下げて売り切る。
在庫なしになったところで、とうとう5期終了。平均単価31円で合計84個を売る。PQ(総売上高)2628。
。。。心に変化はない。
恐らく、そこでの役割を遂行できている自分と、これからも生かされていくことを最初から感じ取っていたからだろう。
「お、金返してもらえるやん。」
現金残747円の数字を見たK氏の言葉で我に返る。
「返ってくるとは思ってなかったけどな〜。」
「森本さんの決算が楽しみやな。」
あんさん、メーカーやから私がナンボであんさんから買ったかが重要違うの? 私の決算とか、直接には関係あらへんやん。
そんなもん、楽しみにしてくれるんでっか。あんさん、なかなかええ人や(微笑)。
決算と成績発表、まとめに続く。
■MGストーリー(最終回) 幸せが降り積もる市場を求めて
「おっ、森本さん、惜っしいな〜!」
虎の一人であるK氏は、西先生の代わりにマトリックス会計表をチェックする師範代でもある。
決算の結果、MQ(粗利)は521あったがG(経常利益)は▲37。残念ながら黒字決算とはならなかった。借入利息支払の▲98はやはり大きな負担であったようだ。
「しかし、ここでどうやったら黒になったかを考えときや。」
「例えばもう1回転売っていたら確実に黒やったわけやしな。」
今や、虎のアドバイスにも愛情が感じられる。決して、自分の利益とリンクしているからだけではない。
今回は黒字とはならなかったが、確かに儲かる道は見えた。金利と共に借入金元本も半分以上返した。自己資本はまだまだマイナスだが、ちゃんと生きている。
そしてこのまま2日間で終わらずにMGが続けば、現在の市場で最高の販売力を必要とする虎に引き続き生かされ、自分に儲けが出たところでまた違った新たなスタートが始まるのであろう。
(本当に成功した商社はPQ4000越えらしい。)
明日を生きる力、生かされる力はついてきたようだ。
さて繰り返し、今回MG参加のテーマは「みんなが幸せになる市場を作る」。みんなは本当に幸せになったのだろうか。
A卓に行く前は確実に市場を作って参加者に儲けてもらったし、お金を貸してもらった人には金利を儲けてもらったし、
貸してもらったお金も、使い道が定まっていないお金を集めて生かしたと言えるかも知れないし、
表彰式では、私と相まみえた虎たちが自己資本額の1位から4位までを占め、次々とスピーチを続けたし。MG免許証という資格をもらった虎も2人いた。
虎たちは私がいなくても、もちろん結果が出せる。私がどこまで役に立っていたかはわからない。しかし、彼らを落とすことは少なくともしていなかったし、私と一緒にやることで確実に楽しんでもらった、と信じている。
今回はこれでよかった、のかな?
私は自己資本が▲235の大赤字ながら、場を賑やかしたということで特別賞をもらってスピーチをさせてもらった。
そこでは到底私一人の力ではできなかったノウハウを惜しみなく教えてもらい、考えられない融資を協力して引き出してくれた方々に改めて感謝を述べ、
人は一人では生きられない、みんなに生かされていることを実感していた。
ただ、ふと考える。
第5期のA卓全員のPQ(売上)総計は10796。「1万越えはそうそうないで!」と言われていたのでとても大きな活況の市場だったのだろう。
しかし、みんなが幸せになるためには、そもそも拡大しつづける市場が必要なのだろうか?
お客様からお金をいただいている市場。ここを流通する商品は、地球にある以上無限ではない。
地球を消費し尽くして、大きな市場でお金を貯め込んで、物欲の限りを尽くすと幸せではなくなり、今後長くは続かないことは多くの人が感じ始めている。
では今はどんな市場なら幸せが増えるのだろうか?
今回のMGでは日本から旅立ち、華僑・ユダヤ人マーケットを渡り歩いた。
旅を終えて世界を見渡すと、とても小さい市場ながら、みんなが幸せそうな笑顔を浮かべていた卓があったらしい。
まるで、オーロラが出る厳寒の凍てつく北欧の村、温かいろうそくの火が灯る小屋でみんなが助け合いながら生き、談笑しているような市場が。
今度はそちらの方に旅に出てみよう。次の2月の秋田は深い雪の中と聞く。
これまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
(この記事は2009年10月にブログで掲載した記事を、加筆修正の上noteに移行したものです。)