エレベーターの緊急停止。それってトラブル? ~50代からのプログラマー~
地震時に知りたいエレベータの情報とは
地震や停電が起きるとエレベーターは止まる。
これはトラブルではない。
正常だ。
止まったエレベーターが何日たっても復旧しない。
これはトラブルかもしれない。
これをトラブルやハプニングとして報道したい気持ちは、わかる。
「震度5強。首都圏で6400台のエレベーターが停止!」
緊急停止するエレベーターの数は、地震が起きる前からわかる。
昇降機設置台数等調査報告書を読めばいい。
日本エレベーター協会が公表している。
https://www.n-elekyo.or.jp/about/elevatorjournal/pdf/Journal35_01.pdf
地域ごとに集計されている。
わざわざ地震直後に発表する必要はない。
もっと重要な情報があるのでは?
建築基準法第12条(定期報告)
建築基準法第12条に定期報告制度がある。
エレベーター等の点検結果を特定行政庁に報告する制度。
毎年だ。
建築物や設備にも義務があるが、無視する人も多い。
過去にあった有名な新宿や大阪のビル火災。
報告してない場合も多い。
だが建築物の中のエレベーターやエスカレーターの報告率は、かなり高い。
大きな理由は、専属の保守業者が付いていること。
実際に報告するのは、所有者・管理者。彼は保守業者ではない。
だが定期報告書とは、彼ら専門の技術者が責任をもって仕事している証明書でもある。
カゴを吊るワイヤーロープのわずかな赤さびも見落とさない。
カラー写真をとって、その劣化具合を専門的見地から評価して報告してくる。
今回の地震で止まった約6400台のエレベーターは、彼らの業績だ。
トラブルやハプニング的なタイトルに違和感を感じる。
定期報告の内容をチェックしている特定行政庁のおじさんの感想だ。
6400台より知りたい数字
もっと欲しい数字がある。
1)地震が起きても動き続けたエレベーター。
2)最寄りの階にうまく停止できなかったエレベーター。
3)利用者を閉じ込めてしまったエレベーター。
これらの中には、建築基準法第12条の定期報告を出していないエレベーターもあるかもしれない。
それが知りたい。
(おまけ)エレベーターは必需品?
建築基準法で定められた階段がないと違反建築になる。だが、
30階建てのマンションにエレベーターがなくても違反ではない。
非常用エレベーターは必要だが、これは非常時に消防隊員が使うもの。
住民用の設置義務ではない。
エレベーターとは、自動車でいうところのオプションだ。
便利グッズだ。
オーディオやエアコンみたいなものだ。
エンジンやタイヤではない。
あくまで法律上の考えだが。
高層マンションに住んでいる人や買おうとしている人を否定するわけではないが、、、
「高層階に住むということは、オプションがないと家にたどり着けないリスクが高まるということだ。もちろんステイタスも高まるけどね。」
休日に公務員ではなく建築家として相談されたときには、そう答えている。
あくまで個人の見解だ。
もちろん高層に住むことで、得られるものも大きい。
だがそれらのメリットは、一時的なオプションの不具合で一気に吹き飛ぶこともある。
エアコンが付いていない古い車を高額で購入する人がいる。
エアコンでは吹っ飛ばない何かがあるからだろう。
エアコンの効きが悪いレクサスを買う人がいるだろうか?
エアコンの不具合程度では吹っ飛ばない価値を見つけられたら買うだろう。
「腐っても鯛(レクサス)」みたいな。
高層マンションも同じかな?
そこからしか見えない、どうしても見たい景色。
そのような価値があれば買うのかな?
平成3年のスズキ・カルタスに乗っているおじさんだが、レクサスも好きだ。
買えないが。
築23年の木造戸建て住宅に住んでいるおじさんだが、高層ビルも好きだ。
買えないが。
妬みでもやっかみでもない。
あくまでおじさんの個人的見解だ。
車も家もタダでくれるなら喜んでいただく。