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【デュエプレ】サソリス調整録

牛乳です、デュエプレグランプリお疲れ様でした。
今回はGPで使用したサソリスのリストについて自分語りをします。
ランクマッチでは前期最終5位に残ったものの、GPでの戦績は4-3と散々でした。

リストやプレイングについて詳しく解説しようかと思いましたが、リストで特筆すべき点は《フェアリー・ライフ》と《雪精 ジャーベル》が4枚ずつ入っているだけです。
3ターン目にブースト+《雪精 ジャーベル》と動ける展開が増えたことで、最速で《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を出すプランに《雪精 ジャーベル》が絡むようになったよ、安定感と速度感がめっちゃ上がったよ、というだけ。

プレイングについても、新弾が数日後に控えている以上今更語っても仕方ない部分が多いですし、そもそもサソリスの基礎的な動かし方については既に記事や動画が数多く存在します。
そのため、改めてここで解説はしないことにしました。

その代わり本記事では、このリストに辿り着くまでの経緯や思考を掘り下げてお話しできればと思います。

後ろ寄せサソリスの課題

そもそもサソリスを調整し始めたのは、アイアント109さんが公開した後ろ寄せの構築がきっかけ。

上記記事のリスト

《霊騎ラグマール》でのコントロールに主眼を置いたこの構築が結構強いという報告が調整グループの中で挙がったため、筆者も真面目に触ることに。

すぐにいくつかの課題が見つかった。

《霊騎ラグマール》では赤青UKをコントロールできない

GPに向けて赤青UKに勝てることはほぼ必須の条件なのだが、メインプランである《霊騎ラグマール》で赤青UK相手にリソース勝負を仕掛けるというのは結構な夢物語であることが判明した。

デッキに深みを出すいいカードではある、間違いなく

そもそもUK相手にマナを与えてしまうのがかなりの利敵行為である。
マナ埋めをサボりやすくなった分だけ擬似的にリソースを与えてしまっているからである。
マナを与えてしまった先の負け筋も明確で、序盤の《熱湯グレンニャー》や《超合金 ロビー》で盾を3枚にまで減らされてしまうと、ガン待ちからの《武闘将軍 カツキング》や《キリモミ・ヤマアラシ》+《神豚 ブータンPOP》で詰んでしまう。

ならばと早期に《我臥牙 ヴェロキボアロス》に龍解させて《界王類絶対目ワルド・ブラッキオ》を出すプランはと思うかもしれないが、これは龍解の主導権を完全にUK側に握られてしまうので現実的ではない。
サソリス側が《我臥牙 ヴェロキボアロス》に龍解させるには盤面を6面以上埋めることが常であるが、6面埋めてターンを返すと《武闘龍 カツドン》で盤面処理されて龍解阻止されてしまうし、かといって7面埋めてしまうと今度は放置されて《界王類絶対目ワルド・ブラッキオ》を出せなくなる。
これに加えて《トンギヌスの槍》で《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を除去されるパターンまで加味すると、《界王類絶対目ワルド・ブラッキオ》を出すことは稀なケースと言って差し支えないだろう。

このように、デッキのメインギミックが赤青UKに有効ではないため、全く別の勝ち手段を模索する必要があった。

後攻時に間に合わなくなる対面が増えた

デッキのコンセプトやマナカーブ上、《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を設置できるのは5〜6ターン目になってしまうが、後攻をとったときにこの速度感だと間に合わない対面が以前より増えてしまった。
具体的には赤白バイク、モルネク、赤青UK、白単サザン。

4月下旬〜5月上旬と言えば、天門は衰退し、5C MASのような耐久デッキもあまり使用されておらず、環境全体のゲームレンジがかなり前倒しになっていた時期。
こんな環境の中、盾からのカウンターギミックも持たないデッキが後攻で3ターンスタートしていては悠長であった。

前寄せサソリスの課題

後ろ寄せが環境に適していないなら前寄せのほうが良くね?ということで前寄せのサソリスも検討し始める。
この段階で「もしサソリス使うならほぼほぼ2コスブーストを厚くとった前寄せの構築だな」と筆者は考えていたが、前寄せは前寄せ特有の問題がある。

《成長の面 ナム=アウェイキ》が弱い

書いてあることは強いカードだが、使えば使うほど環境に適していないと感じるようになった。

  • 前寄せにする動機である赤白バイク、モルネクなどに対しては手札を1枚たりとも与えたくないにもかかわらず、攻撃しないとマナを伸ばせない

  • マナを伸ばすまでにラグがあるので2枚目以降が弱い

  • 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》設置時に盤面に残っていると邪魔

  • 《霞み妖精ジャスミン》と違い、3ターン目以降に引いてもプレー不可能

《大神秘イダ》が弱い

前寄せのサソリスの話をすると必ず「《大神秘イダ》は入れないんですか?」と訊かれるのだが、筆者はこのカードを全く評価していない。

《龍覇サソリス》+《豪勇者「猛攻の面」》+《大神秘イダ》という打点の組み方をする場合、8マナ貯めてから動き始めないと《豪勇者「猛攻の面」》の常在効果を活かせない。
サソリスというデッキは《豪勇者「猛攻の面」》+《邪帝遺跡 ボアロパゴス》の組み合わせでリソース確保能力とワンショット能力を両立するのが強みなのだが、そこに《大神秘イダ》を絡めてしまうとリソースの消費が激しすぎてデッキが大味になってしまう。

卓上調味料を入れすぎて料理そのものの味を台無しにしている感覚に近い。

リーサルの組み方を柔軟にできるのは一応長所だが、それも2枚目の《豪勇者「猛攻の面」》や1点刻むプレーなどによってカバー可能な範囲であり、わざわざデッキスロットを割いてこのカードを入れる意義は薄い。

ライフ型サソリスができるまで

緑単サソリスの再構成

こうした課題意識から、筆者らは「4ターン目の《邪帝遺跡 ボアロパゴス》設置を目指しつつ、5ターン目には防御手段を確保しながら攻勢に出られるミッドレンジデッキ」としてサソリスを再構成し始めた。

後ろ寄せよりも素早くリーサルを組み、前寄せよりも溜めるプレーを肯定する、そんな構築思想である。

AD前期2位のシルクさんの投稿と構築はこの理念を端的に表現している。
(GP直前にこの投稿を見たとき、調整メンバーみんなで「わかる〜〜〜」となっていた)

筆者が演者として参加している「きょうプレ!」の配信で紹介した以下の構築は、このコンセプトに辿り着いた直後のことだった。

今となっては当たり前かもしれないが、UK対面において「《高飛車姫プリン》のパワーを《豪勇者「猛攻の面」》で倍にして、《秘拳 カツドン破》をケアしながらカウンターリーサルを咎める」というアイデアはかなり斬新だった。

《高飛車姫プリン》を実質的なフィニッシャーに据えてデッキを纏める方針が確定したのはこのタイミングで、ここから1週間かけてリストのブラッシュアップが始まった。

《高飛車姫プリン》が現環境でどのように機能するかについては、既に網羅的な解説記事が出ているのでここでは割愛する。

《雪精 ジャーベル》を巡る速度と安定感のジレンマ

対UKのメインプランに据えている《高飛車姫プリン》だが、実はこれは「4ターン目に《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を設置する」という速度を伴って初めてプランとして成立するものである。
折角《高飛車姫プリン》+《豪勇者「猛攻の面」》の形を作っても、ダラダラ時間をかけてしまうと6マナ払って《トンギヌスの槍》を撃たれたり、7マナ払って《超絶合金 ロビンフッド》を出されたりして攻撃制限をかけられなくなるからである。
後攻時には《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を建てる暇もなく《豪勇者「猛攻の面」》+《高飛車姫プリン》で攻めないといけないケースもあり、速度感の指標として4ターンパゴスができることは必須の条件だった。

赤青UK以外にも、赤白バイクやモルネクといった人気デッキのビッグアクションが4〜5ターン目にあることを考えると、4ターン目に《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を設置できる構成にしておかないと先攻ゲーの域を出ず、わざわざサソリスを使う意義は薄いだろうと考えた。

しかしそこで問題になるのがデッキの安定感である。
サソリスというデッキの負けパターンは以下の2つが大部分を占める。

  • 後攻時に初動が遅れて相手の理想ムーブに対処しきれない場合

  • サーチカードが枯れ、コンボパーツ不完全の状態で進行するしかない場合

特に後者について、《トレジャー・マップ》4枚だけでは《次元流の豪力》と《龍覇 サソリス》の2種を揃えきるのは困難だと筆者は感じた。
そうなると《雪精 ジャーベル》をデッキに入れるのが自然な発想だが、2コストブースト枠を《成長の面 ナム=アウェイキ》と《霞み妖精ジャスミン》にした従来構築の場合、《雪精 ジャーベル》は4ターンパゴスプランに絡めることができず、今度は速度が犠牲になってしまう。

デッキを安定させるには《雪精 ジャーベル》が必要だが、サソリスの最速ムーブには《雪精 ジャーベル》が絡まないというジレンマ。
世のサソリスのリストは《雪精 ジャーベル》を少量しか採用しないのが主流だが、その背景にはこうした噛み合いの悪さがあると筆者は考えている。

《フェアリー・ライフ》の採用

速度と安定感の両立に頭を悩ませていた頃、「きょうプレ!」の配信で出たあるコメントが脳裏をよぎった。

これだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

このバージョンが一番好き

《成長の面 ナム=アウェイキ》の欠点であった複数引き・後引きが弱い問題を解消するどころか、《雪精 ジャーベル》と組み合わせることで2枚目以降の2ブーストが理想ムーブに貢献するというのは革新的なアイデアに思えた。

実際に回してみると思った以上に「ブースト→ブースト+ジャーベル」という動きは再現性があり、4ターン目の《邪帝遺跡 ボアロパゴス》設置に大きく貢献することが判明した。

こうしてデッキの基盤部分が確定し、あとは微調整を重ねることで最終的なGP使用リストとなったのであった。

おわりに〜実際にGPで使ってみて〜

リスト再掲

これまでのサソリスと比べて、デッキの速度と安定感は段違いに良くなったと感じた。
事実、GP予選7回のうち6回は4ターンパゴスができるハンドが配られ、その多くが「ブースト→ブースト+ジャーベル」絡みのパターンだった。(例えばフィーチャーマッチでは、筆者がその展開を選ばなかっただけでその気になればジャーベル絡みの4ターンパゴスができる内容だった)

その反面、デッキの足回りに必要な枠が多すぎて動きに深みを出せるカードの採用枚数がかなりカツカツだったのは困った。
これは明確に《獣軍隊ゴアラ》が枠を圧迫したせい。

また《古龍遺跡エウル=ブッカ》の採用枚数を削ったのも試合内容に影響したと感じた。
理屈の上では相手にマナを与えてしまう《古龍遺跡エウル=ブッカ》が有効に作用する対面はかなり少なそうに感じていたのだが、雑多な対面が多いGPではなんだかんだリーサルの取り合いになるケースが多く、予想以上に防御トリガーが欲しい場面は多かった。
本当は《獣軍隊ゴアラ》を減らして《古龍遺跡エウル=ブッカ》を増量したい。

気になったのはそれくらいで、総じて満足度は高いリストに仕上がった。
最近は《高飛車姫プリン》を4枚入れるのが流行っているが、正規コストを払って召喚するのはテンポ損が大きすぎるゆえ、手札で重なるとかなり邪魔になりやすく、2〜3枚が適正のカードだと筆者は考えている。
2枚は少なすぎるような気もするが、《雪精 ジャーベル》が4枚あるため《高飛車姫プリン》をゲームに絡めるのは思っている以上に容易である。

以上がGPで使用したサソリスができるまでの記録である。
もうすぐ新弾がリリースされることもあり、今更サソリスを真面目に研究しようという人は少ないかもしれないが、この調整録が何かのお役に立てたなら幸いである。


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