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和声覚え書きシリーズ 第2回・非和声音(掛留音、倚音)
はじめに
第2回では、非和声音を使うことで得られる響きや音の動きの一部を解説します。
また、課題旋律の非和声音の動きから「逆算して」和声付けしていくことも課題を解く際に大きな手助けになります。
譜例はC.D.(ソプラノ課題)の様式を想定しています。
根音への掛留音、倚音
多くの場合、どの和音にも根音への掛留を入れることは良好な効果をもたらします。
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Ⅱ度の第一展開系の和音で根音へ掛留が入る形はよく使います。
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3.の和音に+して第3音への掛留や倚音が入ることも多いです。
一拍目では外見上Ⅳ度の9の和音のようになります。その後一緒に動きながら解決することがほとんどです。
第5音への掛留音、倚音
Ⅴ度(借用和音、減七含む)で用いられることが多い響きです。ほかの和音に用いられることもあります。
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Ⅴ度では第5音への、Ⅰ度では根音への倚音が使われています。
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このように根音へ向かう下からの掛留(倚音)を入れることもあります。
短調の場合の方が効果が強いですが、長調で使われることもあります。
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第3音への掛留音、倚音
半終止や動きを少し緩めたいときに使われることが多い響きです。
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また課題の最後の終止でⅣ度調のⅤ度に入る場合は、必ずといって良いほど第3音への掛留や倚音を経由します。
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2小節2拍目にあるような『導音』へ向かって下から上がる倚音はデュクロの課題によく見られます。
またⅣ度の付加6音は内声で出すのがポイントです。
まとめ
以上のような用例はさまざまな課題で随所に見られます。どのような響きが使われているかを意識して課題を分析することも学習のコツです。ぜひ参考にしてみてください。
コンサートのお知らせ
第一回内田拓海作曲個展「詩と歌」
12月2日、開催決定!
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「詩と歌」と題した本個展では、詩の朗読、そして歌曲、この二つの表現方法で言葉と音楽の結びつきを探究します。演奏曲目は、ハンナ作曲賞で優秀賞となった「Intermezzo for Piano」や、今年奏楽堂日本歌曲コンクールで第三位に輝いた「竹内浩三の詩による歌曲集『うたうたいが……』」まで幅広く取り上げ、今回のための新作の発表も行います。一夜限りの特別な演奏会。ぜひ会場でお会いできることを楽しみにしております。
チケット・詳細はこちらからご覧ください!
https://takumiuchida-1stconcert.peatix.com