OYO Japanを経てインドバンガロールでweb3領域に挑戦を決めた理由
Q:今回OYOの日本創業メンバーであり、現在funverthというWeb3インドでチャレンジしてる川本さんにお越しいただきました。川本さん、簡単に自己紹介お願いします。
OYO Japan設立に至る背景
川本と申します。OYOというインドのデカコーンのスタートアップの日本の創業メンバーとして入り、事業開発・グロース・PMや人事などを経験しました。その後、2020年から独立系のベンチャーキャピタルでインドのスタートアップの投資の担当していました。
VCを2022年に退職、インドに家族で移住してWeb3の領域にダイブしているという状況です。
Q:OYOの話がありましたが、どのような経緯で創業メンバーになられたんですか?
かなりひょんなきっかけでした。私は2015年から3年ほどインドに人材系の会社で駐在していました。
2017年にHR系のメガベンチャーの会社に移り、そこでインドの子会社を立ち上げる任務がありました。実際にインド現地で会社を立ち上げ、子会社の経営をしました。
そのときのつながりで2018年日本に帰国したタイミングで現地法人を任せた後輩から「OYOって知ってますか?」と連絡がありました。日本法人の立ち上げをするらしく、誰かいい人いませんか?と。
人材要件として5つあると言われました。
①30歳前後ぐらいである
②英語ができる
③人事・人材関係のことをよく分かっている
④ゼロイチの立ち上げの経験がある
⑤極めつけは、インドとかインド人のことがよく分かってる
その5つの条件に私がもれなく満たしていたので、もしかしたらそれ私ミートしてるかもしれませんとやり取りをしました。
冗談半分でレジュメ作り送ってみたところ、30分後ぐらいにOYOのインターナショナルのHRから電話がかかってきました。少し話したところ、あれよあれよという間に「来週役員が銀座に行くから銀座のカフェで会ってくれ」と。
バーッと1時間ぐらいOYO役員から凄まじいプレゼンテーションを受け、直観的にこれは面白いと感じました。彼も僕のインドの経験をかってくれたのか、さっそく明日にYahoo!の本社に行ってくれと言われてました。翌日、Yahoo!のOYOのローンチメンバーの方とお話させていただいた上で正式にOYOの参加が決まりました。
Q:その頃のOYOはグローバルでどれぐらいのサイズだったんですか?
そのとき既にソフトバンク・ビジョン・ファンド中心に累計1,000億円単位での調達をしており、ユニコーンになっていました。特にインド・中国を中心として現地でのホテルマーケットにおいてはかなり存在感を示していた状況です。
Q:OYOにジョインしてからすぐに国内に立ち上げをやった?
はい。最初のミッションが、とりあえずしこたま人を採用したいというものでした。愚弟多岐には、当時のOYO役員に言われたのが、1年間で200人採用してくれと。実際に3カ月で70人ぐらい採用しました。そのタイミングでOYO Japanの社長に呼び出され「人事お疲れ様。次は事業開発頑張ってほしい」と言われました。
その後は事業開発に移りました。のべ1年ちょっとの在籍でしたが10個ぐらいの役職・役割を担わせていただきました。
Q:事業開発というのはアライアンスやパートナー開拓などを担当されていたんですか?
OYOは、住まいのプラットフォームでスマホ上で今の不動産の賃貸のユーザー体験をアップデートするということを標榜してたスタートアップでした。
つまるところサプライとデマンドのプラットフォームになっており、サプライ側は不動産を持ってらっしゃるオーナーさん、デマンドはそこに住みたいと思っている個人のフリーランスのような方でした。法人の出張ニーズも一部ありました。
事業開発というのは、OYOの中ではサプライサイドをどのように最短最速で最適なチャネルから最適な条件で獲得できるかを開発する部門でした。
不動産業界といっても様々なプレイヤーが存在しています。デベロッパー、管理会社、仲介、個人投資家などです。それらのプレイヤーがいる中で、どこからどのように調達していくのかをひとつずつチームを組成してやっていたました。
Q:同じようなプラットフォームはグローバルでもあると思うんですが競合はどこになるんですか?
日本市場における競合はいわゆるマンスリーマンションを提供しているような会社です。ユースケースによりますがAirbnbなども競合になります。
いまの賃貸を探すという体験(まずSUUMOなどから検索して部屋見つけて問い合わせをする。その後3日後ぐらいに不動産会社に行き2〜3時間かけて内覧し決定するという体験)に対してOYOはスマホ完結で全て決済から鍵の受け渡しもスムーズにできる体験を提供していました。
このような類似した体験を提供しているところは、マンスリーマンションやウィークリーマンションを提供している会社やでAirbnbみたいな会社が競合にあたります。
Q:住む場所などを提供している方々は正直どこのプラットフォームでも利益は享受できますが、OYOに関してはスマホで完結ができるという点で差別化をされていた感じなんですかね?
まさにおっしゃるとおりで、オーナーからすると早く、そして継続的に埋まればいいのです。
さらにセキュリティ面で怪しい人がすむとにならないか、物件を毀損させないか、も重要になってきます。
これは法人・個人関係なく関心どころになります。
OYOは、Yahoo!とのジョイントベンチャーで設立した背景もあり、Yahoo!不動産という不動産と連携できるなど、ある程度業界の中での信用度を持ちながら不動産の各プレイヤーとコミュニケーション取れたのはOYOならではの特徴的な攻め方だったのかなと思っています。
OYO Japanからweb3領域へのチャレンジを選択した理由
Q:OYOの中でHRや事業開発などをやりながら能力開発をされて、いよいよ2022年に独立されたという?
実はOYOの後に1つ独立系ベンチャーキャピタルを経験しています。ベンチャーキャピタリストとしてインドのスタートアップ投資をリードさせてもらいました。あとは大企業のコーポレートベンチャーキャピタル立ち上げを担当させていただいてていました。
Q:OYOから離れても領域エリアはインドというのはずっと変わらずやってた感じなんですね?
OYOというインドスタートアップでそこそこ成長しているスタートアップの中に入らせていただいた経験もあったため、「次のOYOはどこだ」というミッションでVCキャピタリストとして動いていました。
Q:funverthという会社を立ち上げてWeb3の領域でやっていらっしゃると思うんですが、そもそもWeb3の領域に興味をもったタイミングや、なぜweb3を選択されたのか教えてください。
興味持ち始めたのは2022年2月ぐらいです。きっかけは、ニュースメディアなどをみていて「最近Web3ってよく聞くようになったなあ」というのがきっかけだったと記憶しています。
なぜWeb3にBETしようと思ったかというと、自分の中でのパーソナルミッションがありました。パーソナルミッションは、結構パキッと決めており(自分で言うのも恥ずかしいんですが)和製ガンジーとして1人でも多くの方々の人生を、人生最後の瞬間まで光を照らすっていうのがあります。
Web3を深堀っていったときに、この自分のパーソナルミッションに非常に沿っているものがあるなと思ったんです。
ブロックチェーンやクリプトというような技術を使うことによって、今まで例えば銀行を持ってなかった方々に対してメタマスクやオープンしたDeFiという金融に近いようなサービスにアクセスすることができるます。
web3は、僕にとっては今まで暗がりにいた人たちに対して明かりを照らすっていうパーソナルミッションに近いようなことをやってるなと思います。
SocialFiなどもそうです。これまでは単になにか、自分がコンテンツを主張するだけでしたが、web3の領域になればスマートコントラクトを通してトークンの分配のデザインをすることができます。つまり、今まで報われてなかった人の努力や頑張りが報われていくっていうところが僕にとっては衝撃でした。
自分のパーソナルミッションを体現する領域として非常に興味深いなと思ってweb3にBETすることを決めました。
Q:web3の情報に触れはじめたのは、既にインドに行ってたときですか?それともまだ移住する前の日本で働いていた時ですか?
そのときは日本ですね。本当に手探りでもう、自分の中でも全然分からなかったので、ウェブメディアやYouTubeコンテンツとかを見ながら学んでいました。ひょんなご縁でクリプトに対して非常に見識の深い友人の方と出会ったのも学びを深めるきっかけだったと思います。いろいろ対面でいろいろ指導してもらい、ブロックチェーンやクリプトの歴史・流れを教えてもらいながらキャッチアップしてたって感じです。
家族で移住を決意したバンガロールの魅力とは
Q:そこから国内での事業展開ではなく、ご家族も一緒にインドのほうに移住されましたが、移住を決めた理由はなんですか?
移住に関しては複合要因です。いま家族は子供2人(2歳と3歳)です。
移住について問いは2つありました。1つ目は、家族としてのQOLが一番高いところはどこだろうということ。2つ目は、Web3で起業する上で自分にとって最適な場所はどこだろうという問です。
お父さんとしての回答と起業家として歩んでいく上での回答が二つ分離していました。
お父さんとしての回答でいうと結構シンプルでした。僕も2015年から3年ぐらいインド現地に住んでいたのでインド人の凄みや、インド人の教育の質などに関しては現地で触れていた部分もありました。
なおかつ自分が25~26歳でインドを含め海外で英語を使いながら仕事をし始めていましたが、「英語を使うのがあまりにも遅かったな」という想いがありました。だから自分が持っている原体験の中での課題を、自分の息子たちにも引き継がせたくないという考えがあり、初等教育からガッツリ英語教育で学べるところかつ、様々な文化や宗教が絡み合ってるインドで多様性を受け入れる感受性を学んでほしいなという想いがありました。
2つ目のWeb3で起業するにはどこなのか?の問ですが、素人ながらにもやっぱり日本の規制は非常に厳しいなと感じています。web3のプロジェクトを見れば見るほどDayOneグローバルは間違いないなと思っていました。
ではDayOneからグローバルでやるんだったとしたらどのようなチーム組成が必要になってくるんだろうと考えたときに、僕は非エンジニアなので間違いなく優秀なパートナーが必要になってきます。
CTOクラスのエンジニアパートナーが必要となったときに、最適な調達場所はどこだろうか、本当にそこで実行可能なのかどうか、その観点を捉えた上で日本よりはインドバンガロール現地に飛び込んでいくのが最適解だと思いました。
インド人のファウンダーはWeb3に限らずDayOneからグローバルを志向している方々です。そのようなファウンダーの人と一緒に仕事をすることで自分の視座・視点も上がる高揚もあるのかなと思い、インドという選択をしました。