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ファッション特化データが生むソリッドな新収益──ZOZOの広告事業が伸びる理由【記事しま臆測】
【記事しま臆測】とは/気になった記事を勝手に根拠のない推測でまとめていくシリーズのこと。勝手に推測しているのでそんな緩い感じで読んでください~
引用記事の概要:検索連動型広告「ZOZOAD」がけん引
引用:日本経済新聞「ZOZOの広告売上、年100億円へ 検索連動型がけん引」
ZOZOTOWNを運営するZOZO が広告事業を強化中。
検索キーワードや顧客データ、購買データを活用する検索連動型広告「ZOZOAD」 の好調が背景。
ファッション特化ECモールとしての顧客属性データが武器になっている。
他方で、同梱チラシ(ダンボール箱を広告メディア化) なども堅実に人気があり、細かいセグメント分けが可能。
ポイント
20年3月期までの広告売上は横ばい気味だったが、コロナ禍でEC利用が急伸し、新規出店が増加 → 「表示順位を上げたい」「競合から差別化したい」というショップ側のニーズが高まり、21年3月期に広告売上が前年比+50%を超える伸び。
広告メニューは6つ程度あるが、検索連動型広告ZOZOADと、同梱チラシなどの“顧客データ活用型広告”が主力。
ファッションECに特化したデータ基盤を活かし、費用対効果(ROAS)500%を上回るといわれる好調ぶり。
ソリッドベンチャー視点での考察
ZOZOTOWNを運営するZOZOが、ここ数年力を入れている広告事業。もともとはアパレルやコスメなど「ファッション」に特化したECモールとしてスタートしましたが、いまや広告売上が年100億円を狙えるほどの好調ぶりを見せています。この背景には、「既存事業で培った顧客アセット」 を活かし、新分野に収益を広げる「ジワ新規」戦略があります。ここではその仕組みを分析し、ソリッドベンチャー的視点からの示唆を考えてみます。
ファッションに特化した顧客データの「強み」
ECモールといえば楽天やAmazonが圧倒的ですが、ZOZOはあえて「ファッション」に特化する道を選んだ。その結果、以下のような強いアセットを持つことができた。
年間購入者1100万人超
アパレルやコスメなどオシャレ目的でアクセスするユーザーばかり
個々の購入履歴やサイズ感、ブランド嗜好など高濃度のデータが蓄積
総合モールがあらゆるカテゴリーを取り扱うのに対し、ZOZOTOWNは「ファッション」だけにフォーカスしているからこそ、ここで集まるユーザーデータは非常に特化度が高くなる。
その結果、ECだけでなく、広告配信に最適化しやすい独自のファーストパーティーデータを大量に保有できるようになった。
新分野にアセットを展開する「ジワ新規」の構図
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もともとZOZOTOWNはファッションECとして成功し、そこから得た大規模なユーザーデータや運営ノウハウが「既存事業のアセット」となっている。
そのアセットを広告事業(=リテールメディア)にスライドさせることで、ECモール本体の売り上げにプラスして広告収益を重ね合わせる―― いわゆる「ジワ新規」的な取り組み。
EC×広告という隣接領域に入るため、リスクは低く、投資効率は高い
既存の顧客データと流通インフラを使えるので“ゼロから”新事業を立ち上げるより早く成果が出る
ソリッドベンチャーの考え方でいう「堅実に積み上がるベース(EC)」の上に、広告という新たな収益レイヤーが乗っているのがZOZOの特徴。イイ!
ソリッドベンチャー的示唆
ZOZOの広告事業成功には、ファッション特化のデータ資産が大きく貢献していますが、さらにソリッドベンチャーの視点からみると、以下のポイントが示唆的。
既存ビジネスで得たアセットの再利用
「ユーザーデータ」「運営ノウハウ」「営業ルート」「顧客接点」などを、そのまま新規事業に転用。
新分野をやろうにも“ゼロスタート”ではなく、隣接領域への横展開だからリスクが抑えられる。
投資効率が高く収益性が拡張しやすい
新たな設備投資やユーザー獲得費をかけるより、既存ユーザーに広告を見せる仕組みを整えるだけで売上増。
いわば「既存の大規模顧客基盤 × 広告ニーズ」がそのままマネタイズにつながる。
「特化」の強みが差別化要因
総合ECにはない深い顧客データを使い、広告出稿時の費用対効果を高める。
「ファッションならZOZOTOWN」という認知度と顧客心理が、広告ビジネスにも好影響を及ぼす。
結局、つよい既存事業をつくれなければ無意味
ZOZOが広告事業で急成長しているのは、表面的には「リテールメディアが好調だから」「コロナ禍でECが伸びたから」という要因もあると思います。ただ、その本質には「ファッションに特化して積み上げてきた巨大データとノウハウ」という既存事業のアセットがあって、それを広告領域に持ち込むことで高い広告効果を実現してるはずです。
ソリッドベンチャー的には、既存ビジネスの“盤石さ”を活かし、隣接領域で着実に売上を積み上げていく「ジワ新規」の好例といえます。「ITがすべて解決してくれる」とか「規模を追う総合サービスが正義」という発想だけでなく、まずは得意な分野に特化してデータや顧客基盤を育て、それを別のレイヤー(広告・メディア・追加サービス)に展開する戦略が、ビジネスを堅実かつ大きく育てることを示している気がしました。