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アセット転用ד中の人”ナレッジで拡張──大和ハウス流“ジワ新規”多角展開【記事しま臆測】

【記事しま臆測】とは/気になった記事を勝手に根拠のない推測でまとめていくシリーズのこと。勝手に推測しているのでそんな緩い感じで読んでください~


引用記事の概要:大和ハウス、米国で見つけた「宝の山」 戸建て依存を脱却

引用:日本経済新聞「大和ハウス、米国で見つけた「宝の山」 戸建て依存を脱却」

  • 大和ハウスは米国事業の多角化に注力し、戸建て住宅(シングルファミリー)依存から賃貸住宅(マルチファミリー)や物流施設、ホテルなどへ事業を広げようとしている。

  • 米国での売上高は25年3月期に6511億円を見込み、9割近くを占める戸建て住宅への依存度を下げるため、アライアンス社との賃貸住宅プロジェクトやテキサス州での物流施設開発などを進めている。

  • 日本国内同様、幅広い事業によるリスク分散を目指すが、「コングロマリットディスカウント」に陥る可能性も指摘されている。

  • 社長が会長職と海外本部長を兼務する体制へ移行し、米国以外の地域展開も含め、海外ビジネスでのさらなる拡大と資本効率(ROE13%以上)を追求している。

ポイント

  • 米国内で戸建て依存を脱却

    • 賃貸住宅や物流施設などを「ミニ大和ハウス」として展開し、戸建てとの逆相関でリスク分散を図る。

  • 国内同様の事業ポートフォリオ戦略

    • 賃貸住宅、物流施設、ホテルなど広範な分野に進出することで、大和ハウスの強みを米国でも活かそうとしている。

  • コングロマリットディスカウントの懸念

    • 多角化が企業価値を実体以上に割り引く要因になるリスクもあり、資本効率の向上が課題になっている。

アセットの活用による“ジワ新規”と多角展開

同じ建築・不動産開発ドメインの横展開

大和ハウスは、戸建て住宅・賃貸住宅・工場・物流施設・商業施設・ホテル……というふうに「建築・不動産開発」の軸を共有しつつ、複数の下位領域を次々に“横スライド”して成長してきました。この「同じドメイン内での多角化」こそが、ソリッドベンチャーが強調する「ジワ新規」にあたります。

  • ジワ新規の要諦

    • 新規事業でも、まったくゼロから始めるのではなく、既存領域で活かせるノウハウ・顧客・サプライヤーなどのアセットをフル活用して、隣接する市場へ段階的にスライドする。

    • これにより、開発・投資コストを抑えつつ、市場ニーズの変化に迅速に対応できる。

顧客ネットワークやブランド力の相乗効果

大和ハウスは国内で多彩な顧客ネットワークを構築してきました。工場を建てる企業、商業施設を運営する企業、ホテル運営事業者、デベロッパーや自治体とのパイプ――これらは「戸建て」を超えた領域でも有効に働きます。

ソリッドベンチャー的には、一度獲得した顧客の課題を多面的に解決するのがベストプラクティス。

大和ハウスのように、建築という共通言語を持ったまま顧客の周辺ニーズへ拡張できれば、“1社との取引”が長期にわたり多角化するチャンスが生まれるわけです。

「ジワ新規」でリスクを抑える構造

不動産開発という領域は1つのプロジェクトの金額が大きい反面、需要サイクルや金利変動などの影響を受けやすいデメリットがあります。

そこで、複数のセクターへ分散投資しておけば、いずれかが落ち込んでも別の領域でリカバリーできる――これが大和ハウスの安定経営の裏付けです。

ソリッドベンチャーの「ジワ新規」はまさにこの考え方。短期急拡大の博打ではなく、持続的に隣接領域へ広げて安定的なキャッシュフローを積み上げる方が、結果的にリスクを減らし成長スピードを維持できると考えます。


「領域の中の人」であるからこそ見える可能性

業界特性を熟知してこそ分かるサイクルの相互作用

芳井社長が「シングルファミリー(戸建て)が好調なときは、マルチファミリー(賃貸住宅)は落ち込む」と指摘しているように、住宅市場には明確なサイクルがあることは、実際に事業を運営する“中の人”だからこそ体感している事実。

  • 金利上昇で戸建ての販売が落ち込みそうなら、賃貸需要は伸びる

  • 逆に景気が好転してローンが組みやすくなれば戸建てへ流れる

  • 物流需要や観光需要など、マクロ経済の動きで異なる施設が浮き沈みする

このようなサイクルを複数事業を組み合わせてヘッジできる点が、多角展開の大きな強みです。

競合が見逃している細分野を発見

大和ハウスが米国で「賃貸住宅(マルチファミリー)」や「物流施設」「ホテル」開発へ踏み込むのは、単に市場規模が大きいからだけではなく、北米の一般的なゼネコンやデベロッパーが強みにしていない領域を把握しているからとも考えられる。

ソリッドベンチャー的にも、自社が所属する業界を熟知していればこそ、競合他社がまだ本腰を入れていないニッチ領域を見つけやすいもの。

大和ハウスならではの「日本式の一括対応」「設計・建設・運営サポートまで包括的に行う」というモデルを米国で横展開し、その上で“誰も取っていない市場”へ踏み出せるのかも。

相乗効果で顧客課題を包括的にカバー

「領域の中の人」が多角展開した場合、顧客から見ると「同じ大和ハウスと付き合っていけば、戸建て住宅だけでなく賃貸や商業施設、物流など何でも相談できる」という包括的なサービス提供が可能になります。

ソリッドベンチャーの考え方だと、顧客のそばで長く伴走し、いろいろな痛みをカバーし続けるスタイルこそが安定収益を生む鍵となるため、大和ハウスのような総合ビルダーのアプローチは非常に理にかなっていると言える。


アセット転用 × “中の人”知見 が生む新たな成長機会

大和ハウスが日本で築いた多彩な事業ノウハウを米国に持ち込む「ミニ大和ハウス構想」は、ソリッドベンチャー流に見ると、既存アセットを横へ広げるジワ新規戦略そのものです。

しかも、業界内部に深く根差した企業だからこそ、競合が見落としている需要のサイクル・細かいニーズ・ニッチな市場を的確につかめるのが強み。

このように、

  1. 既存事業の顧客・ノウハウ・技術を「横展開」

  2. 業界サイクルや顧客の隠れたニーズを把握

  3. 市場全体を俯瞰し、複数の領域でリスク分散

というステップを踏むことで、リスクを抑えつつ大きな成長チャンスをつかんでいく――まさにソリッドベンチャーが大事にする「堅実な拡大の仕方」と一致してる。

大和ハウスは国内ですでに大成功している分、海外でも“アセット転用”と“中の人”的なノウハウ”の組み合わせで、さらなる拡大を狙っていると言える。

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