【読書メモ】コンセプトの教科書


※読みながらメモを取っています。随時更新されていきます。(2024.3.26)


1.コンセプトとは

コンセプトの定義

端的に言うと「一貫性」。全体を貫く新しい観点。

Airbnbは家賃繰りに苦労する中、空き部屋をオンラインで人に貸すというアイデアからスタート。フェスや特大イベントでホテルなどが予約困難になる中、一度は日の目を浴びたが当時はまだ世間の民泊に関するイメージがよくなかったため、長続きしなかった。
その後、ユーザーにヒアリングを行い、いくつかのキーワードが頻出していることに着目した。それが「居場所になる」「所属する」「一員になる」というワード。そのキーワードを経て、Airbnbの企業コンセプトを「世界中を自分の居場所にする」というコンセプトが生まれた。

『コンセプトの教科書』著 細田高広

コンセプトとは『何のために存在するのか』を示す言葉
人は「何を買うか」より「なぜ買うか」を知りたがっている。存在の意味を中心に構想されるべきである。

「コンセプト」のビジネスにおける役割

1.人々に明確な判断基準を与える
2.作るもの全体に一貫性を与える
3.対価の理由
コンセプトは価値の設計図

コンセプトに価値設計

スターバックスのコンセプト「第3の居場所」
現在人の第1の場所である”家”と第2の場所である”職場”だけを行き来するストレスから解放されるためにと用意した第3の場所。
【立地】あえてストレス度の高い場所を選ぶ(存在意義の主張)
【インテリア】広々とした理想のリビングのよう
【価格】価格競争はしない。空間と商品価値を最大化
【接客】フレンドリーに接する
【音】落ち着けるサウンドレベル。作業や会話を邪魔しない
【香り】基本的にはコーヒーの香りのみ。喫煙NG
家と職場や学校の間にあって寛げる第3の場所

スターバックスのように全体と部分の説明に一貫性がある。コンセプトと構成がWHYとWHATになっている。

機能するコンセプトの条件

1.顧客目線で書けているか

「誰を」「どのように幸せにするか」を意識していることが大事。
某社のmp3プレイヤーのコンセプトは「5GBのMP3プレイヤー」。
iPodのコンセプトは「1000曲をポケットに」。
このコンセプトはUIにも表れ、某社のプレイヤーはテキスト検索や複雑な階層構造。iPadはクリックホイールでのシンプルなボタンに。
技術目線か顧客目線かを問いかける。

2.「ならでは」の発想があるか

「高品質で低価格」は誰でも言える。

ユニクロは「高品質なものを低価格で」を提供するメーカーだが、実際のコンセプトはLifeWear。ヒートテックやエアリズムなど服1枚で生活を快適するものを提供している。

八方美人にコンセプトは書けない。

誰かに愛されるためには誰かに嫌われる必要がある。

3.「スケール」は見込めるか
嫌われる覚悟を持つべきではあるが、ニーズが極小では意味がない。そのコンセプトでビジネス目標を達成できるかを検討する必要がある。
USJは当初、映画の専門店だったが、ターゲットを不必要に絞りすぎた。そこでエンターテイメントのセレクトショップに定めなおし、ニンテンドーやホグワーツなどのエンタメとのコラボを果たした。

またターゲットからコンセプトを変更していくのもあり。
シーブリーズは時代の変遷とともに「家族の肌トラブルの常備薬」から「憧れのマリンライフをサポートする夏の男のスキンケア」に変え、その後、女子高生をターゲットに「青春の汗ケア」へとコンセプトを変え、売り上げを伸ばしていった。
ただし自己満足のポエムになっていないか、ちゃんと確認すること。

4.シンプルな言葉になっているか

コンセプトは簡単に理解でき、覚えられ、流通するもの
一度聞いただけで忘れられない「記号性」を高められるものであること。無駄をそぎ落とし、明確であることが大事。

そして最後に「体温を上げる言葉であるか」を問うてみましょう。

コンセプトとは似て非なるもの

コンセプトはキャッチコピーではない

キャッチコピーは実体を魅力的にする言葉。コンセプトは実体を作る言葉。

コンセプトはアイデアではない

アイデアはビジネスを実現するための方法や理由。顧客目線でアイデアを再構成して、初めてコンセプトになる。

コンセプトはテーマではない

テーマとは「向き合うべき課題」であり、コンセプトは「固有の答え」である。iPodのテーマは「デジタル時代の音楽体験」コンセプトは「1000曲をポケットに」



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