境目を曖昧にすると新しいモノが生まれる
「境目」といえば、業種・業態などといった分け方があります。ところが、これによって新たな可能性や発展を止めているケースが非常に多いと思っています。
今回は「境目」について、セルフプロデュースの観点からお話してみたいと思います。
「境目」が、発想を止める
例えば「片づけ」について考えてみましょう。私と妻である片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんは、片づけを通して身の周りの環境や、自分自身の心から頭まで整う経験や価値をお伝えしています。
もし「片づけは、こういうものだ」という決めつけがあった場合、どうでしょうか?新しい発想やチャレンジは生まれにくいと思います。
また、業種や職業で考えた時にも、その境目が自分の発想を止めるケースがあります。例えば、自分は「著者」だから、「専門職」だからと考えてしまうと、その枠組みの中でしか考えることができません。
ビジネスとエンターテインメントの境目を曖昧にする
私は、ビジネスとエンターテインメントの境目を曖昧にすることが、非常に重要だと考えています。
「ビジネス=お金を稼ぐための仕事」として捉えると、その範囲内でしか考えることができなくなります。また「エンターテインメント=面白いもの」と限定して考えてしまうと、そこにも境目が生まれてしまいます。
私は「ビジネスはエンターテインメントから学び、エンターテインメントはビジネスから学ぶべきものがある」と考えています。
なぜ、このように考えるようになったのか。その原点は、私のキャリアにあります。
20代の頃、人材系の教育コンサルティング会社に勤めていました。人を採用・育成し、どのように企業の生産性や価値を上げていくかに取り組んできました。営業目標やマーケティング、ブランディングなどさまざまな業務がありますが、それぞれ単体の領域として考えていると、あるところで壁にぶつかります。
一顧客として「なぜそれを選んだのか?」を言語化する
ビジネスにおいて、どのように動機づけして自分たちの商品・サービスを選んでもらうかは非常に重要です。なぜなら、顧客が自分たちの商品・サービスを購入するまでの思考プロセスにポイントがあるからです。
その思考プロセスを考える上で重要なのは、エンターテインメントから学ぶことです。
さまざまなエンターテインメントがある中で、自分や顧客は何を選ぶのか。
現在は文章、写真、動画などが掲載されているプラットフォームや、無料で入手できるエンターテインメントがたくさんあります。
余談ですが、私は漫画が好きです。きっと多くの方も好きだと思います。
これらのエンターテインメントに、ビジネスとして学ぶべきエッセンスがあると考えています。自分自身が顧客として「なぜこれを選んでいるのか」「なぜこれが好きなのか」を考えることに大事なポイントがあります。
多くの場合は「なんとなく好き」という感覚を持っていると思います。それを、左脳を使って論理的に感覚を理解していくことで、なぜ自分という顧客がそれを選んでいるのかが、より明確にわかるようになるのです。
論理的な理由こそが、自分がサービスを作る時に「選ばれる要素を満たせているのか」と考える基準になります。その結果、届けたい人に届いたり、選んでもらえたりする理由につながります。
境目を曖昧にし、片づけを「楽しい」に変える
実際に、私が取り組んできたことをお伝えします。
ときめくかどうかの基準で残すものを決める「こんまりメソッド」を世の中に広く伝えて、片づけの魅力に気付いてもらいたい。一人でも多くの人に実践してもらいたいと思い、日々仕事をしてきました。
ポイントは、自分の中の感情です。
多くの方にご理解いただけると思いますが、片づけは本来やらなければならない、億劫なことです。私も「面倒だ」と思っていた一人でした。
しかし、麻理恵さんは片づけが大好きで、5歳から実践していました。彼女にとって片づけは”楽しいこと”であり、”自分がやりたいこと”だったのです。
この差は、一体なんでしょうか?
それは、片づけをすることによって「何が得られるのか」を明確に理解していることです。つまり、体験を通して片づけ=楽しいこと、人生に大きな変化や価値をもたらすことと理解しているのです。
麻理恵さんの著書「人生がときめく片づけの魔法」は現在、世界で42カ国1,200万人以上の方に読んでいただいています。この本の中で、片づけは楽しいことであると伝えているのですが、一つのエンターテインメントにまで昇華しているからこそ、魅力が伝わっていると思います。
動画配信サービス「Netflix」では「KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法」という番組を作り、片づけは「しなければならないこと」ではなく「楽しいことである」と表現してきました。現在は、世界190カ国でご覧いただいています。これは、麻理恵さん自身が境目を取り払って楽しさを伝えるようになったからだと思います。
「自分は〇〇だから」と決めつけるのではなく、そこにある本質的な価値を見るようにする。
そうすると、境目が曖昧になっていきます。そこに一つの答えや心理があると、日々感じています。
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