働くことは苦しいことだ
皆さんは「働く」と聞いて、どのようなイメージがありますか?
苦しいこと?お金を稼ぐこと?
10代の頃は私はそう思っていました。しかし、今は違います。
「世界に役立つことをする、自分の命を使うこと、それが働くこと」
「自分が好きな人と一緒にいていいための理由づくり」
これが今の私にとっての「働く」です。
なぜ、そう思うようになったのか、順を追って振り返ってみたいと思います。
「働くことは、お金のためにすること」だと思っていた10代
私が10代の頃にイメージしていた「働く」は、「お金のためにすること」「嫌なことを我慢すること」でした。私の目には、周りにいる大人たちの働く姿が、そう映っていたのです。
「お金を稼ぐのは大変だ」と実感したアルバイト
私が初めてお金をもらって働いた仕事は、「年越し蕎麦に海老天をのせる」工場でのアルバイトでした。「パック詰めの蕎麦に天ぷらをのせて完成させる」という単純作業を、立ちっぱなしで行っていました。
工場内は、天ぷらを取り扱っていたので油臭く、蕎麦を取り扱っていたので暖房を効かすことができず、寒い中での作業でした。作業内容と環境が相まって、本当に辛かった記憶があります。
「お金を稼ぐのは大変だ」と思ったのが、一番最初に働いて実感したことです。
「頑張ること=働くこと」だった会社員時代
次は、社会人になってから会社員として働いた時の話です。前職の会社では、朝から晩まで働いていました。私が入社した会社は、まだ3期目で、若い社員が中心だったので、時間を気にせず思いきり働いていました。
家に帰らず、ソファーで寝て起きて、会社の近くに住んでいる同期の家に行ってシャワーを浴びて、また会社に帰ってきて…という生活をしていた時期がありました。
会社員時代の「働く」ということは、「とにかく、がむしゃらにやる」「頑張ること=働くこと」だと思っていました。
しかしこの時期は、お金はあまり稼げていませんでした。やりがいがあり、働くこと自体は楽しかったです。「人の役に立てること、仕事を通して自分の力が付く」ということで満たされていました。
「どうしたら幸せに働いてもらえるのか」を考えはじめた経営者時代
妻である麻理恵さんと一緒に仕事をするようになり、この辺りから考え方が変わってきました。
「自分が働く」ということはもちろんですが、今度は「働いてもらう」という考え方になったのです。どうしたら幸せに働いてもらえるのか、どうしたら成果が出るのか、ともにより良い結果を出すためにはどうしたらいいのか、を常に考えるようになりました。
「人類のためになっているか」を問われた、シリコンバレーでの経験
会社を経営していく上で、資本主義では稼ぐことや売上を上げること、利益を出すことを良しとするのは明確な事実です。しかし、「それだけではない」ということを強く感じたのが、アメリカに移住したあとのことです。
シリコンバレーでは、「その仕事は誰のためにあるのか」とよく問われます。さらに、「自分のやっている仕事は、人類を前に進めることになっているのか」と聞かれたことがあります。
私を含め、多くの人は「人類のためになっているか」までは考えていないと思います。だからこそ衝撃を受けました。
「世界に役立つことをする、自分の命を使うこと、それが働くこと」そのために自分のことを知ろう
「働くとは何か?」と問われたら、「自分の持っている才能や資源、強みで人類を前に進めること」と私は答えます。
そのためには、「自分のことを知る」ということが重要なポイントになります。なぜなら、自分という存在が何に役立つのか、何が強みなのか、何をしていると喜びを感じるのか、ということを知らないままでは、自分自身をどのように使っていいか分からなくなってしまうからです。
「世界に役立つことをする、自分の命を使うこと、それが働くこと」
自分らしさを活かして働く先に本当の喜びがあり、それでしか得られない達成感や幸せがある、ということを強く感じるのです。
「自分らしさを活かして働くこと」のコツの掴み方は、自転車の乗り方に似ている
「自分らしさを活かして働くこと」は「自分が求めて動き出せば誰でも得られる」と確信を持っています。そして、一回そのコツを掴むと、何回でもできるようになるのです。これは、自転車の乗り方に似ていると思っています。
以前、娘と一緒に自転車の練習をしていました。最初は、乗り方を知らないので何度も転んでしまいます。転ぶのは怖いと思っているため、なかなか補助輪も外せません。しかし、一度乗れるようになると、今度は転べなくなります。それどころか、嬉しくて何度も自転車に乗りだすのです。
「自分らしく生きること、自分らしさを活かして働くこと」は、一度身につけると、そのコツはなくなりません。
働くこととは、「自分が好きな人と一緒にいていいための理由づくり」
大人になると、それぞれの生活があります。家族や恋人、友人など、好きな人とただただ一緒にいるのは難しくなるでしょう。だからこそ一緒に仕事をする、一緒に仕事を作るように関わると、好きな人とずっと一緒にいて良くなります。
私にとって働くことは、「自分が好きな人と一緒にいるための理由づくり」というのが、大きなポイントです。そうしていると、何が仕事で、何が遊びで、誰が仕事仲間で、誰がただの友達なのか、という境目がなくなってきます。
私のカレンダーを見ると、仕事と遊びの境目がありません。見方によっては、ずっと働いているようにも、ずっと遊んでいるようにも見えるでしょう。本当に好きなことばかりさせてもらえて、楽しく働けるのでありがたい限りです。
逆に、仕事のための仕事ができなくなってきました。昔の私であれば、「いや、そんな綺麗事はありえないだろう」と絶対に思うでしょう。しかし、間違いなくその生き方ができています。
「仕事と遊びの境目がない、楽しく働く生き方」は、特別な人だけのものではなく、みんな自分で選んで作ることができます。
「仕事と遊びの境目がない、楽しく働く生き方」をしている人に触れてみる
「仕事と遊びの境目がない、楽しく働く生き方」は、頭で考えてみるだけでは分かりません。そのような生き方をしている人に会って、実際に触れると「本当なんだ」と体感できます。
私自身も、憧れる生き方の人たちに出会うところから始まりました。そして、「どうしたらそのように生きられるのだろう」と模索して今があります。
このことから、私は「仕事と遊びの境目がない、楽しく働く生き方」を皆さんに届けたく、自分らしさをテーマに発信しています。「Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書」という本を執筆し、「SENSE-自分らしさ探究室-」というオンラインサロンを運営しているのも、すべて繋がっているのです。
働くことは楽しいことだ
「働くことは、お金のためにすること」だと思っていた10代、「頑張ること=働くこと」だった会社員時代を経て、今は「働くことは楽しいこと」だと確信しています。
それは、働いていく上で「世界に役立つことをする、自分の命を使うこと、それが働くこと」だと知ったからです。また、働くことを「自分が好きな人と一緒にいていいための理由づくり」にすることで、「仕事と遊びの境目がない、楽しく働く生き方」を手に入れることができたからです。
私は、そんな生き方を、これからも私自身の人生で証明したいと思っています。そして、次の方にバトンを渡して、みんなが幸せに一人でも多くの人が楽しく働くことができる、そんな未来を作りたいなと思っております。
(構成/執筆:中村綾)